酸化マグネシウムの効果とは?特徴や副作用について解説
酸化マグネシウムは便秘改善などに使用されている医薬品です。医薬品の規格基準書である「日本薬局方」に記載されており、国内でも繁用されている薬剤の一つです。本記事では、酸化マグネシウムの効果や特徴、副作用について詳しく解説します。
酸化マグネシウムの効果
酸化マグネシウムに期待される効果として、以下の3点があげられます。このうち、尿路結石への予防効果は処方薬のみに認められており、市販薬には尿路結石への予防効果を目的としたものは販売されていません。
- 便秘の改善効果
- 胃腸症状の改善効果
- 尿路結石の予防効果
便秘の改善効果
酸化マグネシウムには、便秘の改善効果があります。
便秘の原因の一つが、大腸内の水分不足です。
便は大腸で水分を吸収して大きくなり、その刺激で腸のぜん動運動が行われて排便が促されるという仕組みですが、大腸内の水分が不足すると、便が硬くなり膨らみません。
つまり、腸のぜん動運動が起こらず、便秘となってしまうのです。
ここで効果を示すのが、酸化マグネシウムです。
酸化マグネシウムは、「浸透圧性下剤」の「塩類下剤」に分類され、浸透圧を利用して大腸内に水分を引き寄せます。
引き寄せられた水分が便と混ざるため、便に含まれる水分量が増えて膨らみ、柔らかくなることでスムーズな排便につながります。
便秘改善を目的とした酸化マグネシウムを配合した薬は市販されています。
■酸化マグネシウム配合の市販の便秘薬
酸化マグネシウムが配合された非刺激性の便秘薬です。腸を直接刺激しないため、腹痛や腹部の不快感が起こりにくく、連続服用してもクセになりにくいという特徴があります。
酸化マグネシウムには、固くなった便に水分を集めることで、便を柔らかくし自然なお通じを促す働きがあります。便秘や便秘にともなう頭重、腹部膨満感、肌荒れなどに効果をあらわします。
メタスルーは、続けやすいリーズナブルな価格です。便秘薬と気づかれにくいパッケージも特徴の一つです。
胃腸症状の改善効果
酸化マグネシウムには、胃酸を中和して胃を守る「制酸剤」としての働きがあります。
酸化マグネシウムは、胃酸(塩酸)と反応することで「塩化マグネシウム」になります。
このとき胃酸が中和されるため、過剰な胃酸から胃を守り、胃酸過多による胃痛や胸やけの改善が期待できるのです。
尿路結石の予防効果
病院では尿路結石の予防目的として酸化マグネシウムが処方されることがあります。市販薬には認められていない効果のため、尿路結石の予防を目的とする場合は病院受診が必要です。
尿路結石の成分の一つは「シュウ酸カルシウム」です。
このシュウ酸カルシウムが凝集して結石を形成することで、尿路結石などが引き起こされます。
酸化マグネシウムには、腸管内と尿中でシュウ酸カルシウムが生成されにくくする働きがあります。
腸管内でマグネシウムがシュウ酸と結合すると、体内へのシュウ酸の吸収が抑えられ、尿中へのシュウ酸排泄が減るためと考えられています。
また、尿中でシュウ酸と結合することで、カルシウムとシュウ酸が結合するのを抑え、結石を予防します。
酸化マグネシウムの特徴
酸化マグネシウムには、上記で紹介した効果の他にもいくつかのメリットがあります。
具体的には、便秘薬として使用する際に、耐性が生じにくく、腹痛を起こしにくい点です。
耐性が生じにくい
便秘薬の中には、長期間服用すると身体に耐性がついてしまい、効果が弱くなったり、より多くの服用量が必要になったりする場合があります。
しかし酸化マグネシウムは、便に水分を促す薬なので、耐性が生じにくく、長期間服用しても効果が落ちにくいと考えられています。
なお、腸に直接働きかける便秘薬のことを「刺激性」、そうでないものを「非刺激性」と呼び、酸化マグネシウムは「非刺激性便秘薬」に分類されます。
腹痛が起きにくい
非刺激性便秘薬の一つである酸化マグネシウムは、大腸や小腸を直接刺激することがないため、腹痛などの副作用があらわれにくい特徴があります。
一方、刺激性便秘薬を使用すると、腸そのものに働きかけるため、腹痛などに悩まされることもあるでしょう。
酸化マグネシウムによる副作用症状
酸化マグネシウムを服用した場合、下痢を引き起こすことがあります。
下痢が続いたり、ひどくなる場合には、服用を中止して医師、薬剤師に相談してください。
また、非常にまれなことではありますが重大な副作用として高マグネシウム血症が挙げられます。悪心・嘔吐、口渇、血圧低下、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、傾眠などの症状があらわれ、呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止に至ることもあります。
そのため、医師の指示や市販薬の添付文書に記載された用法用量を超える量の服用は避けましょう。
酸化マグネシウムの効果に関するよくある質問
ここまで紹介した以外で、酸化マグネシウムに関するよくある質問です。
Q.効果が出るまではどれくらいかかる?
おおむね服用から8~10時間程度で効果がみられます。効果発現に個人差があるため、あくまで目安として参考にしてください。
Q.服用に注意が必要な人は?
処方薬の酸化マグネシウムを服用する場合、以下に該当する方は注意が必要です。
医師や薬剤師の指示に従って慎重に服用しましょう。
- 妊娠・授乳中の方
- 腎障害のある方
- 心機能障害のある方
- 高齢者の方
- 下痢のある方
- 高マグネシウム血症のある方
また、牛乳やカルシウム製剤と一緒に服用すると、高カルシウム血症を助長させるおそれがあるため注意が必要です。
また、一部の抗生物質と酸化マグネシウムを飲み合わせることで、抗生物質の作用を弱めてしまうものもあります。
他の薬をすでに服用している場合は、医師や薬剤師にご相談ください。
Q.効果が出る用法・用量は?
酸化マグネシウムは、期待する効果によって用法・用量が異なります。ここでは、処方薬のマグミット細粒83%の添付文書をもとに解説します。
- 制酸剤として使用する場合:
成人の場合、通常1日0.5〜1.0gを数回に分けて服用します - 便秘薬として使用する場合:
成人の場合、通常1日2gを食前または食後の3回に分けて服用、または就寝前に1回服用します - 尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防に使用する場合:
成人の場合、通常1日0.2〜0.6gを多めの水とともに服用します
いずれも年齢や症状によって服用量が変わる可能性があるため、医師の指示に従いましょう。
Q.妊娠中・授乳中でも効果はある?
酸化マグネシウムは、妊婦や授乳中の方の便秘にも使用されています。
酸化マグネシウムは体内にほとんど吸収されず、効果を示すためです。
ただし、酸化マグネシウムに限らず、妊婦が便秘薬を大量に服用すると、子宮の収縮を誘発するおそれがあるため、服用する場合は用法・用量を守りましょう。
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