ヒルドイドの効果とは?特徴や効果的な使い方を解説
肌トラブルなどで皮膚科を受診したときに、ヒルドイドを処方されたことがある人もいるでしょう。保湿効果のあるヒルドイドは、幅広い年齢の患者様に使用可能な薬です。近年は「美容効果がある」とも噂されますが、本当なのでしょうか?本記事では、ヒルドイドの効果や、副次的な美容効果を示す明確な根拠がないこと、効果的な使い方などを紹介します。
ヒルドイドの効果
ヒルドイドは、ヘパリン類似物質を主成分とする外用薬です。
高い保湿能を有し、血行促進作用、抗炎症作用の効果に加えて、線維芽細胞増殖抑制作用があります。
それぞれ見ていきましょう。
保湿効果
ヒルドイドの効果のなかでも代表的なものが、皮膚の保湿効果です。
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質が皮膚内に浸透し、水分を引き寄せて保持することで、保湿効果を示します。
また動物実験では、乾燥した皮膚において角質に水分を保持する作用の増強が認められています。
血行促進効果
ヘパリン類似物質には、血行促進効果があります。
しもやけによる痛みは血行障害などが要因であるため、ヒルドイドによって血行が促進され、痛みの緩和につながります。
ほかにも、血行促進効果により、打撲や捻挫などの外傷後の腫れをおさえたり、筋肉痛や関節痛を和らげたりする効果も期待できます。
抗炎症効果
抗炎症効果も、ヘパリン類似物質で認められる効果の一つです。
前述した血行促進効果と抗炎症効果を合わせて、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)に効果を示します。
また、後述する線維芽細胞増殖抑制効果と抗炎症効果を合わせて、肉芽形成を抑えることが動物実験で認められています。
線維芽細胞増殖抑制効果
ヘパリン類似物質には、線維芽細胞の増殖を抑える作用があります。
線維芽細胞は、切り傷や手術などによって皮膚に傷ができたとき、傷を修復する役割を担っています。
しかし炎症が長引いたり、コラーゲンが過剰に生成されたりすると、皮膚が盛り上がる肥厚性瘢痕やケロイドになります。
そのため、線維芽細胞の増殖を抑える作用のあるヒルドイドは、肥厚性瘢痕やケロイドの治療と予防として使用されます。
ヒルドイドに期待できる副次的な美容効果
ヒルドイドに美容効果もあると聞いたことがある人は少なくないでしょう。
前提として、本来ヒルドイドは美容目的で購入するものではありません。
また、先述した効果の結果、副次的な美容効果に期待を持たれる方もいますが、十分な根拠がないことを理解しておくことが大切です。
ニキビ改善
ヒルドイドには、ニキビへの直接的な効果や毛穴のつまりを改善する効果はありません。
しかしヒルドイドは、肥厚性瘢痕やケロイドの治療と予防に使用されるため、ニキビあとの傷痕の改善は期待できます。
目の下にあるクマの改善
ヒルドイドによって、目の下のクマが改善する明確な根拠はありません。
クマの一種である青クマは、肌を下に引っ張ると色が薄くなるのが特徴で、主な原因は血行不良です。
ヘパリン類似物質には血行促進作用があるため、医師の判断で使用されることがあります。
顔のシミ・シワの改善
ヒルドイドによるシミ・シワの改善効果について明確な根拠はありません。
乾燥肌は、バリア機能が低下しており刺激を受けやすい状態です。
乾燥を放置すると、紫外線などの刺激によって肌は炎症を起こし、シミが発生します。
また、乾燥小ジワの原因も、その名のとおり肌の乾燥です。
ヘパリン類似物質には保湿効果があるため、こうした皮膚の乾燥に使用されることがあります。
【効果は同じ】ヒルドイド軟膏・クリームの違い
ヒルドイドには、軟膏やクリームなど種類があります。
剤形が違うことで、塗りやすさや使いやすさが変わりますが、効果に大きな差はありません。
ヒルドイドソフト軟膏
ヒルドイドソフト軟膏は、白いクリーム状のチューブタイプの薬です。
一般的にヒルドイドと聞くと、この軟膏を思い浮かべる人が多いでしょう。
薬のベースは油がメインで、内部に水を含むタイプ(油中水型)のものです。
そのため、少し油っぽく、伸びずらさはありますが、乾燥しづらい特徴があります。
ヒルドイドクリーム
ヒルドイドクリームは、水分がメインで内部に油を含むタイプ(水中油型)であり、伸びがよく、べたつき感が少ないのが特徴です。
ベタベタ感が苦手という方におすすめです。
ヒルドイドと同じヘパリン類似物質を有効成分に含む薬は、市販薬として購入できます。
詳細は以下のページよりご確認ください。
ヒルドイドの効果的な使い方
ヒルドイドは、症状を改善したい部位に、1日1回から数回、適量を塗布します。
塗った部位がテカテカと光り、ティッシュペーパーが付着する程度が適量です。
医薬品であるため人によって用法・用量が異なる場合があります。
そのため、医師や薬剤師の指導のもとに正しく使用しましょう。
ヒルドイドの効果に関するよくある質問
ここからは、ヒルドイドの効果や使い方についてよくある質問と、その回答を紹介していきます。
ヒルドイドは使わないほうが良いって本当?
インターネットで「ヒルドイドを使うと顔がたるむ」といった、口コミを見たことがある人もいるかもしれません。
この噂に対して、現在医学的根拠は認められていません。
噂の発端として考えられるのが、ヘパリン類似物質にある線維芽細胞増殖抑制作用です。
過剰に生成されるコラーゲンを抑制する作用があり、ケロイドを改善・予防します。
あくまで、過剰生成された場合の抑制であり、肌に必要なコラーゲンまでは抑制されませんが、この作用が「顔がたるむ」という口コミにつながっていると考えられます。
ヒルドイドの副作用には何がある?
ヒルドイドの主な副作用は、「皮膚が赤くなる」「かゆくなる」「発疹が出る」などです。
主な副作用の発現頻度は、0.1%〜5%未満と報告されており、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を含めて、重大な副作用は認められていません。
ただし、使用中に気になる症状がある際には、使用を中止し早期に医師に相談しましょう。
ヒルドイドにはどんな種類がある?
ヒルドイドはソフト軟膏やクリームの他に、ローションやフォームタイプなどがあります。
ローションタイプは、塗り広げやすい乳液のような質感で、毛が生えている部位にも塗布が可能です。
フォームタイプは、泡状できめ細かく、油分を含まないため、べたつきが苦手な方におすすめです。
ヒルドイドを長期使用しても大丈夫?
ヒルドイドは、症状に合わせて長期間使用される場合もありますが、使い続けることで副作用が出やすくなるなどといった報告はありません。医師の指示にしたがって使用してください。
ただし、使用中にいつもと違う刺激やかゆみを感じた場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
ヒルドイドは赤ちゃんの肌にも使用できる?
ヒルドイドは、生後間もない赤ちゃんにも保湿剤として使用可能です。
赤ちゃんに塗る際は、入浴後やおむつ交換後など清潔なタイミングで塗布します。
なお、ヘパリン類似物質には血を固まりにくくする作用があるため、かぶれや出血している部位への塗布は避けましょう。

この記事は参考になりましたか?
新着記事
ご利用に当たっての注意事項
- 掲載している情報は、セルフメディケーション・データベースセンターから提供されたものです。
- 適正に使用したにもかかわらず副作用などの健康被害が発生した場合は(独)医薬品医療機器総合機構(TEL:0120-149-931)にご相談ください。
- より詳細な情報を望まれる場合は、購入された薬局・薬店の薬剤師におたずねください。
- 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラ及び、セルフメディケーション・データベースセンターではその賠償の責任を一切負わないものとします。
掲載情報について
掲載している各種情報は、株式会社ミナカラが調査した情報をもとにしています。出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。 掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラではその賠償の責任を一切負わないものとします。情報に誤りがある場合には、お手数ですが株式会社ミナカラまでご連絡をいただけますようお願いいたします。 使用されている写真はイメージです。実際の内容と異なる場合があります。


