二日酔いに効く漢方薬の選び方|おすすめの漢方薬を症状別に紹介
お酒を飲みすぎて二日酔いになると、頭痛や下痢などの症状に襲われます。二日酔いの症状改善にはさまざまな方法がありますが、その一つに漢方薬の服用があります。胃のむかむか感や頭痛、むくみなど、症状別に効果的な漢方薬があるため、自身の症状に合ったものを選びましょう。
二日酔いに効く漢方薬の選び方
二日酔いに効く漢方薬は、どのような症状を改善させたいのかで選びましょう。
症状別に選ぶ
二日酔いになると、頭痛や吐き気、下痢などの胃腸症状だけではなく、だるさやむくみが出ることがあります。それぞれの症状に効果的な漢方薬は以下のとおりです。
ほてり
ほてりなどの症状には、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」がおすすめです。
黄連解毒湯は、「清熱」と呼ばれる熱を冷ます効果があるといわれており、のぼせ気味やイライラしている症状を改善します。
黄連解毒湯には、苦味が強いとされている黄連(オウレン)・黄柏(オウバク)・黄芩(オウゴン)が含まれていますが、丸剤であれば口の中に広がらないため、苦みを抑えられるでしょう。
頭痛・むくみ
頭痛やむくみには、「五苓散(ごれいさん)」が有効です。
五苓散は、体内の水分バランスを整える「四岺湯(しれいとう)」に気のめぐりを改善する「桂皮(ケイヒ)」を加えたものです。
水分バランスを調節する生薬を多く含む漢方薬のため、利水効果を示します。
利水効果と聞くと、利尿剤のように強制的に尿量を増加させる作用を浮かべてしまいますが、そうではありません。
五苓散は体の中で水が足りていないところがあれば分配し、不要な水分を尿として排出します。
吐き気などの胃腸症状
みぞおちのつかえ感や吐き気、軟便・下痢などの胃腸症状がある方には、「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」と「五苓黄解(ごれいおうげ)」が効果的です。
半夏瀉心湯は、吐き気や胃のむかむか感、軟便・下痢の症状がある場合におすすめです。
体の熱を冷ます成分と胃腸を整える成分があるため、ストレスからくる胃腸症状の場合にも使用できます。
五苓黄解は、五苓散と黄連解毒湯を組み合わせた漢方薬です。
二日酔いだけではなく、食べ過ぎによる吐き気や胃腸症状も改善します。
だるさ
二日酔いによるだるさや集中力の低下を感じる人には、黄連解毒湯や「茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)」がおすすめです。
黄連解毒湯は上記でも触れましたが、熱を冷まし、神経を落ち着かせる働きがあるため、そわそわして集中できなかったり、火照ったりしたときに効果的です。
茵蔯五苓散は、五苓散に茵蔯蒿(インチンコウ)を加えたもので、茵蔯蒿には「清熱」作用の他に「利胆」作用や肝保護効果があるといわれています。
翌朝までお酒が残ってしまっていると感じる方に、特におすすめの漢方薬です。
下痢・軟便
嘔吐や長引く下痢、おなかがゴロゴロと落ち着かないといった症状には半夏瀉心湯が効果的です。
胃腸に熱がこもっていると上記のような症状が出ます。
半夏瀉心湯はそのような胃の熱をほどよく解消します。
また、半夏瀉心湯は感染性胃腸炎による吐き気や嘔吐、下痢に対してもよく使用される漢方薬です。
二日酔いの症状全般
前述した五苓散は、二日酔いの症状全般に効果を示します。
水の循環が悪いとされる口の渇きや尿量低下に伴う下痢や吐き気、むくみ、めまい、頭痛などに効果があります。
漢方薬は体力によって使用の可否を判断しますが、五苓散は体力に関係なく服用できます。
尿量も少ないと感じる二日酔い症状がある場合には、五苓散が効果的でしょう。
【ケース別】二日酔いにおすすめの漢方薬
ここでは、漢方薬の有効成分や効能、用法・用量について解説します。
ほてり:黄連解毒湯
ツムラ漢方黄連解毒湯エキス顆粒Aは「黄連解毒湯」から抽出したエキスです。
熱を冷まし、神経症状を緩和させる効能があるため、ほてりや神経症に効果が期待できます。
成人(15歳以上)は、1回1包を1日2回、食前に服用します。
| 有効成分 |
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黄連解毒湯エキス |
| 効能・効果 |
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体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症: 注)血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴ってあらわれる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことである。 |
むくみ:五苓散
ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒Aは、五苓散エキスが配合された市販薬です。
五苓散エキスが、体内の水分バランスを調節することで、二日酔いの症状やむくみを抑えます。
成人(15歳以上)は、1回1包を1日2回、食前に服用します。
| 有効成分 |
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五苓散エキス |
| 効能・効果 |
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体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症: 注)しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことである。 |
宇津救命丸五苓散は、ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒A同様、五苓散エキスが配合された市販薬です。
五苓散のエキスを抽出し乾燥エキスにした後に顆粒剤にしているため、服用しやすいのがポイントです。
成人(15歳以上)は、1回1包を1日3回、食前または食間に服用します。
| 有効成分 |
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五苓散料乾燥エキス |
| 効能・効果 |
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体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔い 〈効能・効果に関連する注意〉 |
吐き気などの胃腸症状:五苓黄解
吐き気や嘔吐、胃のむかむか感などには五苓黄解内服液が効果的です。
五苓黄解は、五苓散と黄連解毒湯を組み合わせた漢方薬です。
二日酔いや食べ過ぎによる吐き気、胃のむかつきといった症状に効果を示します。
成人(15歳以上)は、1回1本を1日3回、食前または食間に服用します。
| 有効成分 |
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水製乾燥エキス(I)(日局タクシャ、日局ブクリョウ、日局ケイヒ、日局チョレイ、日局ビャクジュツ) |
| 効能・効果 |
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飲み過ぎ、食べ過ぎ、はきけ(二日酔・悪酔のむかつき、むかつき、胃のむかつき、嘔気、悪心)、食欲不振、もたれ、胃部・腹部膨満感、胸やけ、胸つかえ、胃弱、嘔吐、消化不良 |
だるさ:茵蔯五苓散
アルピタンγは、飲酒翌日の酒残り(二日酔い)に効く茵蔯五苓散です。
茵蔯五苓散は肝臓の働きを助け、アルコールの分解を促進します。
大人(15歳以上)は、1回4錠を1日2回、食前または食間に服用します。
| 有効成分 |
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茵チン五苓散料エキス |
| 効能・効果 |
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体力中等度以上をめやすとして、のどが渇いて、尿量が少ないものの次の諸症:嘔吐、じんましん、二日酔、むくみ |
下痢・軟便:半夏瀉心湯
ツムラ漢方半夏瀉心湯エキス顆粒は、嘔吐、食欲低下、下痢といった症状がある場合に効果を示します。
「半夏瀉心湯」から抽出したエキスより作っているため、服用しやすい顆粒です。
成人(15歳以上)は、1回包を1日2回、食前に服用します。
| 有効成分 |
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半夏瀉心湯エキス |
| 効能・効果 |
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体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症: |
ストレージタイプGも、嘔吐、食欲低下、下痢といった症状に対し効果を示します。
なおかつ、飲みやすい黄かっ色の顆粒(スティック包装)になっているため、出掛け先でもポーチに忍ばせてすっと飲めるのがポイントです。
15歳以上は、1回1包を1日2回、食前に服用します。
| 有効成分 |
|---|
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半夏瀉心湯エキス |
| 効能・効果 |
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体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症: |
二日酔いの症状に効く薬は、漢方に限らずさまざまあります。
市販薬について知りたい方はこちらもあわせて参照してください。
二日酔いに効く漢方薬に関するよくある質問
二日酔いに効く漢方薬で、よくある質問と、その回答をまとめました。
Q.葛根湯は二日酔いには効かないの?
葛根湯は二日酔いに対しては効果は期待できません。
葛根湯は発熱、悪寒、咳などの感冒症状が出た場合に、体を温め、免疫力を高めてくれるものです。
そのため、風邪の引きはじめには有効ですが、二日酔いに対して効果はないでしょう。
Q.二日酔いの際に漢方を飲むタイミングは?
一般的な漢方薬は、食前または食間に飲むことが推奨されています。
食前や食間だと、おなかに何も溜まっておらず、吸収を阻害するものがないためです。
とはいえ、漢方薬によっては飲むべきタイミングが異なるため、服用の際にはきちんと確認しましょう。
たとえば五苓散は、二日酔い症状に効果が期待できるため、必要時に服用して問題ありません。
Q.漢方薬は二日酔いに対して即効性がある?
五苓散の用法・用量には、頓服での指示はありません。
つまり、1日2回食前に服用して効果を示します。
Q.二日酔い対策で漢方薬を飲む際の注意点は?
二日酔い症状がひどいからといって、薬を何度も飲んだり大量に飲んだりしてはいけません。
多く飲んだらその分効果が出るわけではなく、副作用や気分不快につながってしまう可能性があります。
必ず用法・用量に従って服用してください。

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