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季節の変わり目に起こる頭痛の原因と予防法は?早く治したい場合の対処法
更新日
2024.05.14
薬剤師監修日
2024.05.14

季節の変わり目に起こる頭痛の原因と予防法は?早く治したい場合の対処法

季節の変わり目に起きる一般的にみられる代表的な頭痛として、片頭痛と緊張型頭痛の2種類があります。片頭痛の原因は気温・気圧の変化などさまざまですが、緊張型頭痛は気温の低下の他、ストレスによっても起きやすいのが特徴です。
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編集
岡本妃香里
監修薬剤師
薬剤師岡本妃香里

季節の変わり目に頭が痛くなる原因として、主に片頭痛と緊張型頭痛が考えられます。

片頭痛は頭の片側もしくは両側が脈打つように痛むのに対し、緊張型頭痛は、頭全体が締めつけられるような痛みを感じるのが特徴です。それぞれ原因が異なり、誤った方法でケアしようとすると悪化を招く恐れもあるため、正しい対処法で痛みを予防しましょう。

この記事では、季節の変わり目になぜ頭痛が発生するのか、原因と適切な対処法を解説します。

季節の変わり目に頭痛が起こる原因は?

季節の変わり目に発生しやすい頭痛は主に「片頭痛」と「緊張型頭痛」で、いずれも寒暖差の大きい春に痛みが起きやすい傾向にあります。それぞれ原因や痛みの起こり方、悪化の引き金となる行動などに違いがあるため、自分の頭痛はどちらのタイプなのか探ってみましょう。

片頭痛と緊張型頭痛を合併している方も少なくないため、どちらの要素も当てはまるようなら合併型も疑ってみてください。
 

 片頭痛緊張型
頭痛
原因は?ホルモンバランスの影響、寝不足、空腹などさまざま主に身体的・精神的ストレス
どんな痛み?ズキンズキンと脈打つギューッと締めつけられる
その他の症状は?光や音がわずらわしい、吐き気首や肩のコリ
頭のどこが痛む?片側または両側頭全体
痛みの影響は?人によっては動けず寝込む寝込むほどではない
体を動かすと
痛みは?
悪化しやすい悪化しない
入浴すると
痛みは?
悪化しやすい楽になる

季節の変わり目に片頭痛が起こる原因

季節の変わり目に頭の片側や両側が脈打つように痛いという場合、片頭痛の可能性があります。動くことで悪化しやすく、人によっては吐き気や嘔吐を伴うため、普段どおりの生活ができなくなることもあるでしょう。

片頭痛の原因ははっきりとはわかっていませんが、脳が過敏になることで温度や圧力の変化、ストレスなどの影響を受けて起こるとされています。また、引き金は一つでなく、片頭痛を抱えている方の半数以上が、4~9個の誘因を持っていることが研究でわかりました。

片頭痛が出る前には、きらきら・ギザギザとした光が見える閃輝性暗点(せんきせいあんてん)という現象が起きる場合もあります。

温度や圧力の変化

片頭痛は、気温や気圧が急に変化するときに発生しやすいのが特徴です。日本は季節の変わり目に気圧が激しく変化し「菜種梅雨(3~4月頃)」「梅雨(6~7月頃)」「秋の長雨(9~10月頃)」などと呼ばれる雨が降りますが、これらが片頭痛の引き金になることもあります。

冬から春にかけて暖かい日と寒い日が交互にやってくる三寒四温のタイミングや、台風前などで気圧が急激に変化するときなどは要注意です。温度差を頻繁に体感して自律神経が乱れることも、片頭痛の引き金と考えられています。

不安・ストレス

不安やストレスも、片頭痛を引き起こす誘因の一つです。季節の変わり目は、環境が変化しやすいタイミングでもあります。特に春は引越しや進学、異動など、慣れない環境で疲れが溜まったり眠れなかったり、食事がのどを通らなかったりすることもあるかもしれません。

片頭痛の場合、ストレスにさらされているときだけでなく、ストレスから開放されて一息ついたときに起きる可能性もあるのが特徴です。

季節の変わり目に緊張型頭痛になる原因

季節の変わり目に起きやすい緊張型頭痛は、後頭部から首すじにかけて頭が重いようなだるい感覚がする他、ベルトで頭を締めつけられているような圧迫を感じます。日本人の頭痛として最も多いのがこのタイプです。原因はストレスや筋肉の過度な緊張とされており、20~50代の社会人に多いことも特徴に挙げられます。

片頭痛と同様に、緊張型頭痛も季節の変わり目に起きやすくなりますが、メカニズムが異なることから対処法も違う点に注意しましょう。

急な温度の低下

片頭痛は温度や気圧の急激な変化が引き金になりますが、緊張型頭痛は肩こりなどの筋肉のこわばりによって引き起こされます。秋から冬にかけて突然寒くなると、体が縮こまってついつい力が入ってしまうでしょう。人間は寒さを感じると、自律神経の働きで体を震わせ筋肉を動かしたり、血管を収縮させ筋肉を硬くしたりして体温を維持しようとします。

こうした筋肉の緊張が、緊張型頭痛や肩こりの原因です。また、寒くなるとコートなどの防寒着を着る機会も増えますが、その重さに筋肉が疲れ、緊張型頭痛のきっかけとなる場合もあります。

環境の変化

緊張型頭痛は、精神的なストレスによっても発生しやすい疾患です。上記でも触れたとおり、春は仕事や学業での変化が多く、季節の変わり目に加えて新しい環境に身を置くことの緊張からストレスを感じ、緊張型頭痛が起きやすくなります。ストレスから来る寝不足も原因の一つです。

また、長時間同じ姿勢をとり続けるデスクワークなどは、筋肉が凝り固まりやすく、肩こりが増え、結果的に頭痛も発生しやすくなります。さらに職場の人と気が合わない、仕事がハードでつらいといった場合、身体的ストレスだけでなく精神的ストレスも伴って、緊張型頭痛につながる可能性があるでしょう。

季節の変わり目の頭痛を予防する方法

季節の変わり目に頭痛が出やすい場合、予防のための対策を取り入れてみてください。片頭痛は複数の誘因が引き金となっているケースも多いため、慎重な見極めが必要です。また、緊張型頭痛が疑われる方は、身体的・精神的ストレスを溜めすぎないような生活を心がけましょう。

生活習慣を整える

生活習慣を整えることで、頭痛発作が少なくなる場合があります。片頭痛の引き金を避けるためにも、主に以下のようなポイントを意識してみてください。

・毎日3食を決まった時間にとる
・アルコールを飲みすぎない
・睡眠時間を適切にとる
・余裕を持ったスケジュールを立てる
・片頭痛が起こりそうなときは入浴を控える
・ストレス発散のためにも適度な運動をする

ただし、あまり神経質になるとフラストレーションが溜まりやすくなってしまう可能性もあります。片頭痛に対して逆効果にならないよう、無理のない範囲で対策しましょう。

外出は人混みを避ける

片頭痛は光が引き金になって症状が出るケースもあるため、直射日光が当たる場所に出るときはサングラスをかけるのがおすすめです。また、人の多いにぎやかな場所や、寒い・暑いなど適温ではない場所、湿気が高すぎる場所などは片頭痛が誘発されることもあります。外出時は、人混みや換気の悪い場所をできる限り避けたほうが快適に過ごしやすいでしょう。

また、空腹が原因で片頭痛が起こる場合もあるため、血糖値が下がりすぎないよう、外出の際には飴などを舐めるのも一つの手段です。

パソコン・スマートフォンなどを使いすぎない

太陽だけでなく室内の照明、車のランプなどによって片頭痛の発作が引き起こされたり、症状がひどくなったりすることもあります。特にパソコン・スマートフォンなどモバイル端末の画面から出る強い光は、片頭痛の引き金となりうることが研究でわかりました。パソコン・スマートフォンの長時間の使用はできるだけ避け、目や肩が疲れてしまう前に休憩をはさむなどしましょう。

また、片頭痛を起こしやすい方は、白色LEDの照明を不快に感じやすいという研究結果もあります。リビングや寝室などリラックスできる空間では、低色温度(暖色)の明るすぎない照明を用いるのがおすすめです。

頭痛日記をつける

「どのようなタイミングで、どのような痛みがあったか」を記録する頭痛日記をつけると、片頭痛の対策を立てやすくなります。片頭痛は原因が多岐にわたるうえに、人によっては複数の引き金を抱えているケースもある疾患です。頭痛日記をつけるうちに片頭痛が起きやすいタイミングやシチュエーションを把握できれば、原因を突き止めやすくなるでしょう。

天気や気圧と頭痛の関係性を確認できる、スマートフォンのアプリも開発されています。繰り返し片頭痛が起きる方は、自分にとって最適な対策を立てるためにも、頭痛日記やアプリの活用も検討してみてください。

緊張型頭痛を予防する方法

肩こりや筋肉のこわばりが原因となる緊張型頭痛は、15歳以上の日本人の五人に一人が抱えている疾患ですが、仕事を休むほどの痛みにはならないケースが一般的です。それだけに、痛みを我慢して学業や仕事をがんばる方も多いかもしれません。

片頭痛同様、処方薬を使った予防療法も選択できるため、つらいようなら医療機関の受診も検討しましょう。

運動やマッサージをする

緊張型頭痛は、同じ姿勢をずっと続けたときなど、筋肉がこわばった場合に発生しやすくなります。筋肉の緊張をほぐすには、軽い体操やストレッチが効果的です。

1.ひじを軽く曲げた状態で鎖骨のあたりに握りこぶしを持ってきて、前を向いたまま両肩を前後にぐるぐると回す(前後各10回)
2.ひじを軽く曲げ両手を胸の前に持ってきて、正面を向いたまま両肩を腕ごと左右に振る(2分間)

立って行う場合、足は軽く開きます。椅子に座った状態でもできるため、デスクワーク中に肩こりを感じそうになったら取り入れてみましょう。ただし、医師に運動を制限されている場合は必ず医師に相談してから行いましょう。

姿勢を整える

デスクワークなどで同じ姿勢を長時間とっていたり、猫背やうつむきがちな姿勢が癖になっていたりすると、体の重心のバランスがずれてしまいます。体に合わない寝具によって姿勢が崩れてしまっている方もいるでしょう。

姿勢が崩れると、首や背中など決まった部位の筋肉だけを酷使することになり、筋肉がこわばって、緊張型頭痛を引き起こしやすくなります。以下のような工夫で、正しい姿勢に近づけるようにしてみてください。

・椅子の高さを調整する
・作業台の高さを見直す
・作業位置を変える
・キーボードの位置を変える
・自分に合った枕を選ぶ

立った状態であれば、耳・肩・腰・膝・くるぶしまでが一直線になるのが理想的な姿勢です。

温めて血流をよくする

緊張型頭痛は筋肉のこわばりによって発生しやすくなるため、首や肩を温めて血流を改善し、筋肉をほぐしてみてください。首や肩をホットタオルなどで温める、ゆったりと入浴する他、日常的な運動の習慣をつけるのもよいでしょう。

また、冷え込む季節は外出時にマフラーなどの防寒具を活用し、首や肩を冷えから守ることで緊張型頭痛を予防してみてください。

リラックス方法を見つけ実践

精神的なストレスも緊張型頭痛を招く要因となりえます。疲れや不調を感じたら、無理なく休息をとるようにしましょう。適度な運動やゆったりとしたバスタイム、家族や友人と過ごす時間を持つなど、自分に合ったリラックス方法を見つけることがポイントです。

意識的に深呼吸をするだけでも、ちょっとしたリラックスにつながります。

季節の変わり目に起こる頭痛の対処方法

季節の変わり目に起きる頭痛が片頭痛と緊張型頭痛のどちらなのかによって、対処法が異なります。特に、片頭痛は冷やすと症状が軽くなりやすいのに対し、緊張型頭痛は温めたほうが改善しやすく、対応が逆です。間違ったケアで症状を悪化させないよう、自分の頭痛がどちらなのか見極めたうえで対処しましょう。

片頭痛の対処方法

ズキンズキンと脈打つような片頭痛が起きたときには、横になって安静に過ごす、痛む部分を冷やすなどの対処法が有効です。ひどい場合には吐き気や嘔吐なども伴うため、症状が重くなる前に市販薬の活用も検討してみてください。

部屋を暗くして安静にする

片頭痛が起きたら、部屋を暗くした状態で横になり、できれば安静に過ごしましょう。過敏になっている脳の興奮を抑えるため、そのまま眠ってしまうのも一つの方法です。横になれない場合でも、できるだけ静かな場所で目を閉じ、座って休むようにします。

冷やす・圧迫する

ズキズキと脈打つ場所を冷やしたり圧迫したりすると、拡張した血管が収縮しやすくなり、痛みが軽くなる場合があります。冷却シートや保冷剤、氷枕などをタオルで包んだものなどを押しあててみましょう。

市販薬を使う

頭痛には、市販薬の鎮痛薬を使用できます。なお、頭痛の症状がひどくなってから飲むと、効果を得にくくなる場合がある点に注意が必要です。痛みを我慢しすぎず、予兆を感じたタイミングや痛み始めたタイミングで飲むようにしましょう。

また、鎮痛薬の飲みすぎにも注意しなければなりません。複合鎮痛薬(無水カフェインなど含む) であれば 月10日、単一成分の鎮痛薬なら 月15日以上服用している場合、その痛みは薬物濫用頭痛かもしれません。市販薬のなかには漢方処方のものもあるため、そちらを上手に活用する他、頭痛専門医の受診も検討してみてください。

頭痛薬の一覧

医療機関を受診する

季節の変わり目になると毎日頭痛が続くという場合、痛みによって仕事や生活にまで影響するようであれば、医療機関を受診したほうがよいでしょう。医療機関では、本当に片頭痛が原因なのかどうかを判断し、必要であれば予防薬などを処方してもらえます。

また、日常的に頭痛に悩まされている人は、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎といった命の危険を伴う頭痛も、普段の症状と同じだと勘違いしてしまいかねません。つらい症状は我慢しすぎず、医師に相談することをおすすめします。

緊張型頭痛の緩和方法

頭全体をギューッと締めつけられるような痛みは緊張型頭痛の可能性があるため、首周辺を温める、軽い運動をするなどの対処法が有効です。肩こりや筋肉の緊張が引き金となっている人であれば、湿布などの市販薬も活用できます。

温める

緊張型頭痛の症状を予防するには、首から肩にかけての血流を改善し、筋肉をゆるめてあげるのが効果的です。ぬるめの湯船に浸かる他、カプサイシン(唐辛子成分)などを配合した温湿布を活用すると、効果的に患部を温めることが可能です。

軽く運動する

緊張型頭痛を持っている方には、肩を回す、首すじをストレッチするなどの軽い運動も適しています。早く改善しようと激しい運動をすると、筋肉に負担がかかって逆効果となりかねないため、無理のない範囲で行いましょう。

もし運動をするなかで痛みが悪化するようであれば、緊張型頭痛ではなく片頭痛の可能性があります。その場合は運動など体を動かす行為が逆効果になるため、しばらく安静にして様子を見てみてください。

市販薬を使う

片頭痛の対処法と同様に市販の鎮痛薬を使えます。あわせて肩こりや筋肉のこわばりにアプローチできる湿布・塗り薬なども活用してみましょう。

頭痛薬の一覧

医療機関を受診する

緊張型頭痛の根本には、精神的な原因が隠れている場合もあります。頭痛が長引いたり、症状が日に日に強くなったりするときには、鎮痛薬の量を増やすなどの自己判断をする前に医療機関で診察を受けてみてください。重大な病気の初期症状として、頭痛があらわれている可能性もあるためです。

高頻度で発生する反復性緊張型頭痛や慢性緊張型頭痛に対しては、医療機関で抗うつ薬などの予防薬などが処方されることもあります。その他にもストレスマネジメント、リラクゼーション、理学療法などが推奨されているため、医師と相談しながら実施してみてください。

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薬剤師
岡本妃香里
2014年に薬剤師の資格を取得後、大手ドラッグストアにて勤務。調剤とOTC販売の両方を経験したのち、2018年からライター業に転身。医療や健康に関する正しい知識を届ける医療ライターとして活動を続けている。

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