ミナカラ
ミコナゾールとは?作用と効果、使える症状や市販薬について紹介
更新日
2024.05.21
薬剤師監修日
2024.05.20

ミコナゾールとは?作用と効果、使える症状や市販薬について紹介

ミコナゾールは、腟カンジダ再発治療薬やタムシ・白癬の市販薬に含まれている他、医療の現場でも幅広く使われている薬です。この記事では、ミコナゾールが使える症状や使用上の注意点を解説します。
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桜会ふみ子
監修薬剤師
薬剤師桜会ふみ子

ミコナゾールは、真菌の増殖を抑える抗真菌薬であり、医療の現場では外用薬や注射薬、経口薬など幅広い形で使われている薬です。薬局やドラッグストアでも、腟カンジダ再発治療薬や白癬(はくせん)の塗り薬として、薬局やドラッグストアでも手に入れることができます。購入して使用するときには、正しい使い方を知っておくことが大切です。

この記事では、ミコナゾールの作用や効果、使われる症状の例とともに、ミコナゾールを含む市販薬を紹介します。

ミコナゾールとは

ミコナゾールは、構造にイミダゾールを含むアゾール系抗真菌薬です。日本で繁用されている医薬品が収載されている日本薬局方には、ミコナゾールとミコナゾール硝酸塩の2つの物質が収載されています。ともに真菌感染症の治療薬として使われ、一般に「ミコナゾール」と呼ばれています。

真菌とはいわゆるカビのことで、膣カンジダや水虫などを引き起こす菌が含まれます。ミコナゾールは、これら真菌の細胞膜や細胞壁に作用して、増殖を抑えます。

また、ミコナゾールは、低濃度では抗菌作用を示します。また、高濃度では真菌の細胞を壊死させ殺菌的に作用すると考えられています。

ミコナゾールの作用と効果

ミコナゾールは、医療用の医薬品として「フロリード」という製品名で販売され、注射や坐剤など多くの剤型が販売されています。ミコナゾールがどんな働きを持ち、剤型によって、どんな疾患に効果があるのかについてまとめました。

ミコナゾールの作用

ミコナゾールは、病気の原因となっている真菌に対して抗菌作用を示す薬です。主な真菌としては、腟カンジダ症などの外陰・腟真菌症を引き起こすカンジダ属や、水虫・タムシをおこす白癬菌属や小胞子菌属、表皮菌属があります。

なお、ミコナゾールは黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌にも抗菌作用を示しますが、大腸菌などのグラム陰性菌には作用しません。

ミコナゾールの効果

ミコナゾールは、医療用製剤としてフロリードという名前で販売されています。フロリードは、用途によって剤型が異なります。

各剤形が効果があるとされる疾患には、以下のようなものが挙げられます。

腟坐剤:カンジダによる腟炎および外陰腟炎
外用剤:カンジダによる腟炎および外陰腟炎および皮膚炎、水虫・いんきんたむし・ぜにたむし、癜風(マラセチア菌による感染症)
注射剤:真菌血症、肺真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
経口剤:口腔カンジダ症、食道カンジダ症

ミコナゾールが配合されている市販薬には、腟坐剤や外用薬があります。市販薬が使用できるのは腟カンジダの再発のほか水虫、いんきんたむし、ぜにたむしといった白癬菌の感染による皮膚炎に限られています。

ミコナゾールを含んだ薬が使われる症状の例

先ほどの見出しで挙げたとおり、ミコナゾールが配合されている市販薬の効能効果は限られています。それぞれ詳しく解説します。

腟カンジダ

腟カンジダは、腟内常在菌であるカンジダ菌によって起こる腟炎です。腟カンジダ症は女性の約5人に1人が経験するといわれる病気で、一般的に以下のような症状があらわれます。

外陰部の強いかゆみ
おりものの変化(量が増える、白く濁る、ぽろぽろとした塊が混じるなど)
外陰部に疼痛を感じることもある
性交疼痛

かゆみとおりものの変化は、腟カンジダの典型的な症状です。おりものの量が増えるだけでなく、酒かす状やヨーグルト状、カッテージチーズ状などに変化することもこの疾患の特徴に挙げられます。

白癬:水虫、いんきんたむし、ぜにたむし

白癬は、皮膚糸状菌である白癬菌によって引き起こされる皮膚表面の感染症を指します。皮膚糸状菌は真菌の一種ですが、他の多くの真菌とは違い、皮膚の表面の角層や爪にあるケラチンというたんぱく質を栄養源にして増殖します。白癬菌が分解した代謝産物が刺激になり、皮膚に炎症を起こしたものが水虫、いんきんたむし、ぜにたむしの総称である白癬です。

白癬は場所によって名前が違います。手や足にできると水虫、足の付け根やデリケートゾーンにできる股部の白癬は「いんきんたむし」、それ以外の体にできた白癬は銭形になりやすいので「ぜにたむし」ともいわれます。

ミコナゾールを含む市販薬

ミコナゾールを含む市販薬は、腟カンジダの再発には膣坐薬とクリーム、白癬にはクリームや外用液などが販売されています。症状や使いやすさに合わせて剤形を選ぶとよいでしょう。

腟カンジダの再発に使える市販薬

腟カンジダの再発に使える市販薬には、膣坐薬とクリームがあります。かゆみなど外陰部だけに症状を感じている場合でも、腟坐剤を併用するのが望ましいでしょう。

商品名
【第1類医薬品】メディトリート 6個
【第1類医薬品】メディトリート 6個
【第1類医薬品】メディトリートクリーム 10g
【第1類医薬品】メディトリートクリーム 10g
形状坐剤(外用薬)その他の剤形
用法・用量成人(15歳以上60歳未満)1日1回、1錠を腟深部に挿入
6日間毎日続けて使用する
成人(15歳以上60歳未満)、1日2〜3回、適量を患部に塗布
特徴・膣カンジダ再発治療薬
・膣坐剤
・膣カンジダ再発治療薬
・発疹を伴う外陰部のかゆみに
・クリームタイプ
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メディトリート

【第1類医薬品】メディトリート 6個

おりものやかゆみの症状に使える腟カンジダ再発時のための腟坐剤です。入浴後やぬるま湯でデリケートゾーンを清潔にしたあと、1日1回1個を就寝前に使います。6日間連続で使う必要があるため、期間の途中で治ったと感じても中断しないでください。

3日間使用しても症状が改善しない、もしくは6日間使用しても症状がおさまらない場合は、医療機関を受診しましょう。

効能効果
腟カンジダの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)

メディトリートクリーム

【第1類医薬品】メディトリートクリーム 10g

腟カンジダの原因菌であるカンジダ菌に抗菌作用を示し、腟カンジダ再発による発疹をともなう外陰部かゆみを改善します。適量を1日2〜3回、患部に塗布してください。腟内にもカンジダ菌が潜んでいる可能性があるため、おりものや熱感などの腟症状を伴う場合はクリームと腟剤を併用しましょう。

効能効果
腟カンジダの再発による、発疹を伴う外陰部のかゆみ(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)

水虫、いんきんたむし、ぜにたむしに使える市販薬

水虫、いんきんたむし、ぜにたむしなど、白癬の諸症状に使える市販薬には、ミコナゾールの他にかゆみや炎症を抑える成分も配合されているものもあります。ただれのひどい場所などには使用できない製品もあるため、添付文書を確認してください。

商品名
【第2類医薬品】小林タムシチンキb 30mL
【第2類医薬品】小林タムシチンキb 30mL
【第2類医薬品】ダマリンL 15g
【第2類医薬品】ダマリンL 15g
形状外用液剤クリーム剤
用法・用量1日数回、患部に適量を塗布
1日1回、適量を患部に塗布
特徴・抗真菌成分、かゆみ止め成分、殺菌成分、角質を柔らかくする成分配合
・スーッとした使い心地
・ハケで塗る液体タイプ
・抗真菌成分、抗炎症成分、かゆみ止め配合
・厚くなった角質をやわらかくする尿素配合
・クリーム剤
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ダマリンL

【第2類医薬品】ダマリンL 15g

有効成分ミコナゾール硝酸塩が白癬菌を殺菌し、水虫の不快な状態を改善する塗り薬です。製剤技術によりミコナゾール硝酸塩の皮膚への付着性を高め、角質に浸透してとどまるようにできています。

1日1回、患部に適量を塗布して使用しましょう。クロタミトンやリドカインが患部のかゆみを一時的に抑え、グリチルリチン酸ニカリウムが患部の炎症を改善します。白癬菌は、症状のある範囲より広い部分にいる可能性があるので、薬剤を患部より広めに塗るようにしてください。

効能効果
水虫、いんきんたむし、ぜにたむし

小林タムシチンキb

【第2類医薬品】小林タムシチンキb 30mL

主成分のミコナゾール硝酸塩の他にサリチル酸を含有している水虫・たむしの塗り薬です。かゆみ止めのクロルフェニラミンマレイン酸塩やリドカインがかゆみを鎮めます。1日数回、製品についているハケで適量を患部に塗布してください。

効能効果
みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし

ルーフ水虫液

ミコナゾール硝酸塩を主成分に、角質層をやわらかくして薬を浸透しやすくするサリチル酸を配合した水虫の塗り薬です。かゆみや痛みを緩和するリドカインやジフェンヒドラミン塩酸塩、皮膚の炎症を抑えるグリチルレチン酸も配合しています。1日1〜2回、患部に適量を塗布してください。

効能効果
みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし

ミコナゾールの副作用や使用時の注意点

ミコナゾールの副作用や使用時の注意点をまとめました。特に血栓を防ぐために使われるワルファリン(商品名:ワーファリン)を服用中の方は、ミコナゾールの膣坐剤、経口薬などを使用できませんので注意してください。また、ミコナゾールを一定期間使って症状が改善しない場合には使用を中止し、医療機関を受診しましょう。

ワルファリンを服用している場合

すでに服用している薬がある場合、ミコナゾールを使用し始めるときには、併用できるかどうか確認してください。

なかでも、ワルファリン(商品名:ワーファリン)はミコナゾールの膣坐剤、経口薬などとの併用が禁忌とされています。ミコナゾールの作用により、ワルファリンの血中濃度が高まる恐れがあるためです。

ミコナゾールとワルファリンを併用して、重篤な出血症例が起きた事例も報告されています。ミコナゾールとワルファリンを併用できるかどうかは剤形によっても異なります。医療用医薬品や市販薬を問わず、ワルファリンを服用している場合は医師や薬剤師にご相談いただくとよいでしょう。

腟カンジダ再発の場合

腟カンジダが再発したときにはミコナゾール配合の市販薬を使えますが、6日間使用しても症状が改善しないときや副作用があらわれたときは、他の原因があるかもしれません。早めに医療機関を受診しましょう。また、デリケートゾーンを清潔に保つことも大切です。

副作用

腟カンジダ再発薬である腟坐剤・クリームともに、かゆみや発疹、発赤の副作用があらわれる場合があります。さらに腟坐剤では腟の刺激感や熱感、クリームでは外陰部の刺激感やかぶれ、熱感の症状が出る可能性があります。

これらの症状があらわれたら、使用を中止して医療機関を受診しましょう。場合によっては、アレルギーを起こしている可能性もあります。使用した市販薬の箱や添付文書などを持参すると、医師の診断に役立ちます。

使用時の注意点

ミコナゾールを配合した市販の腟坐剤やクリームを使うときには、以下に注意しましょう。

症状がなくなっても、使用開始から6日間は継続する
授乳中の方や薬の使用によりアレルギー症状を起こしたことがある人は、事前に医師へ相談する
パートナーへの感染を防ぐために、薬剤使用中は性行為を控える

また、腟カンジダ再発時はミコナゾールを含む薬を使用するとともに、日常生活でも次のような工夫をすると、症状の改善を助けやすくなります。

下着は通気性のよいものにする
おりものシートはこまめに交換する
お手洗いの際は、腸に常在しているカンジダ菌の感染を避けるために前から後ろに向かって拭く
刺激や感染が広がらないように、かゆみがあっても外陰部はかかない

カンジダは温度や湿度の高い環境で繁殖しやすい菌です。デリケートゾーンはできるだけ通気性のよい状態を保つようにしてください。

病院を受診するタイミング

ミコナゾールを含む市販薬を3 日間使用しても症状が改善しない、もしくは6日間使用しても症状がおさまらない場合は医療機関を受診しましょう。重症の腟カンジダか、他の病気になっている可能性があります。自己判断でケアを続けていると、治るまでに長期間かかったり、症状が他の場所まで広がったりしてしまう可能性もあります。

また、腟カンジダは性交渉やタオルの共有などで、パートナーや家族にうつるリスクがあります。症状が続くとパートナーの健康にも影響を与えかねないため、早めに産婦人科などを受診するのがベターです。

水虫、いんきんたむし、ぜにたむしの場合

ミコナゾールを配合した市販薬を2週間使っても白癬の症状がよくならないときには、他の疾患の可能性があります。間違った自己治療で症状が悪化してしまう前に、医師へ相談しましょう。

副作用

水虫やいんきんたむし、ぜにたむしでミコナゾールを使っているときに、皮膚に以下のような症状があらわれた場合は副作用の可能性があります。

発疹、発赤
かゆみ、かぶれ
刺激感
熱感
落屑(皮膚の角質がボロボロとはがれ落ちること)
ただれ
乾燥・つっぱり感
水疱
ヒリヒリ感

これらの症状に気付いたら使用をすぐに中止し、医師や薬剤師、登録販売者に相談してください。

使用時の注意点

ミコナゾール配合の市販薬を白癬(水虫、いんきんたむし、ぜにたむし)に使う際には、以下の注意点を守ってください。

定められた用法用量を守る
患部を洗ってから使用する
小児は保護者の指導監督下で使用する

授乳中の方や薬の使用でアレルギー症状を起こしたことがある方は、使用前に医師へ相談することをおすすめします。また、かゆみがなくなっても白癬菌が皮膚に残っている可能性があるため、1か月間は使用を継続してください。

日常生活に気をつけることも、症状を改善するためには大切なポイントです。次の3点を心がけてみてください。

患部を乾燥させる
患部はよく洗い、清潔にする
衣類やスリッパ、浴室マットを清潔にする

また、白癬菌は、症状があらわれている範囲よりも感染が広がっている場合が多いので、薬剤は広めに塗布してください。

病院を受診するタイミング

ミコナゾールを含む市販の外用薬を2週間ほど使ってもよくならない場合は、使用を中止し、医療機関を受診しましょう。ミコナゾールで症状が改善しないのは、もともと白癬ではない疾患にかかっているからかもしれません。足の皮がむけたりかゆみが起きたりする皮膚疾患には、他にも汗疱状湿疹などがあります。

白癬かどうか見た目だけでは判断できないことが多いので、受診して皮膚科医の診断を受けましょう。

また、医薬品によってかぶれが生じる(接触皮膚炎)こともあります。市販薬を使って、症状が悪化した、発疹やかゆみが強くなったと感じる場合には、放置せず病院を受診するようにしましょう。

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監修薬剤師
桜会ふみ子
薬剤師
桜会ふみ子
薬局を営む家庭に育ち1990年薬剤師資格取得。以降、医薬品メーカーで市販薬の製造・品質管理に携わる。2020年から薬剤師ライターに転身。福山大学出身。

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