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打ち身に湿布は使える?湿布の選び方や打ち身に使える湿布を紹介
更新日
2024.11.20
薬剤師監修日
2024.05.20

打ち身に湿布は使える?湿布の選び方や打ち身に使える湿布を紹介

打ち身に湿布を使うことで、痛みを和らげるとともに腫れの悪化を防ぐ効果が期待できます。症状や経過に合わせて冷湿布や温湿布、NSAIDs配合の湿布を選びましょう。打ち身に使える湿布を解説します。
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編集
岡本妃香里
監修薬剤師
薬剤師岡本妃香里

転倒などにより皮膚を強くぶつけると、患部が熱をもったり腫れたりして、痛みを感じることがあるでしょう。これを打ち身(打撲)といい、セルフケアしたい場合、症状の程度によっては湿布を活用できます。

市販の湿布は大きく冷感タイプと温感タイプ、そして痛みを和らげる効果が高いNSAIDs配合タイプに分けられ、症状や経過に合わせた製品を選択することが大切です。

この記事では、打ち身に対する湿布の効果や症状緩和に使える市販の湿布を紹介します。

湿布は打ち身に効果がある?

打ち身が起きやすい部位は肩や腰、腕、すねなどさまざまですが、症状の程度によっては市販の湿布で症状を和らげることが可能です。打ち身が起きた箇所では、筋肉に炎症が起きたり、毛細血管が傷ついたりしています。これに対し湿布には、炎症を抑えたり、冷やすことで血管を収縮させて腫れの悪化を防ぐ効果が期待できます。

打ち身や肉離れ、捻挫などの外傷には、RICE処置という基本的な応急処置を施す必要があります。

・R:REST(安静にする)
・I:ICE(冷却する)
・C:COMPRESSION(圧迫する)
・E:EREVATION(高くする)

たとえば足に打ち身を負った場合、布などで患部を固定しながら冷やすタイプの湿布を使うことで、RICE処置のうち「ICE(冷却)」の工程として腫れを防ぎやすくなるでしょう。打ち身には痛みが伴うことも多いため、鎮痛成分を配合した湿布も選択肢になります。

打ち身に使う湿布の選び方

打ち身をした部分が熱をもっている場合には冷湿布、つらい痛みを和らげたいときには非ステロイドの抗炎症薬であるNSAIDsを配合した湿布を選んでみてください。打ち身をしてから数日経った回復期には、温感湿布も使用できます。

患部が熱をもっている場合は冷湿布を選ぶ

打ち身をしたばかりで患部が熱をもっているときには、冷湿布を使いましょう。冷やすことで毛細血管が収縮し、炎症を鎮めやすくなります。打ち身をしてから2~3日間ほどは急性期と呼ばれ、腫れの悪化を防ぐためにも患部を冷やすことが重要です。

なお、打ち身をした部分に目立つ傷ができていなくても、強く圧迫されたことで炎症が起き、患部は刺激に敏感になっています。温湿布は、血行を促進するトウガラシチンキなどが配合されており、皮膚への刺激となりかねないため、打ち身になったばかりのタイミングでの使用は避けたほうがよいでしょう。

痛みを軽くしたいならNSAIDs配合の湿布を選ぶ

打ち身は、皮膚の内側の筋肉や靭帯、毛細血管などが傷ついている状態であり、痛みを伴うこともあります。痛みがつらい場合、ロキソプロフェンやインドメタシン、フェルビナクなどの非ステロイド性抗炎症薬が配合された湿布を検討しましょう。

ただし、これらの成分を含んだ湿布は、製品ごとに使用可能な年齢が定められている他、1日に使用できる枚数に上限があります。また、一緒に痛み止めの内服もしたい場合には、あらかじめ薬剤師や登録販売者に相談し、用法を守って使うことが大切です。

我慢できないほどの痛みがある場合、打ち身以外の原因があるかもしれません。症状の悪化を防ぐためにも、医療機関を受診するようにしましょう。

温めるタイプの湿布は打ち身の回復期に使用

打ち身の急性症状である熱や腫れが落ち着いてきたら、温めるタイプの湿布が使えます。目安としては、打ち身になってから約4日目以降です。

温湿布は、打ち身になったときにできた「あざ」の回復に役立ちます。温めるタイプの湿布に含まれるカプサイシンやノニル酸ワニリルアミドが血管を拡張し、血流をよくしてくれるためです。血流がよくなると新陳代謝が高まり、あざが早く治りやすくなるでしょう。

あざは最初は赤かったものが青く変化し、回復とともに黄色くなっていきます。

打ち身に使える湿布

打ち身に使える湿布は、温冷のどちらかを選べます。応急処置として炎症を抑えるには冷やすタイプ、症状が回復してきたら温めるタイプを使用するとよいでしょう。痛みが気になるときには、NSAIDs配合の湿布が適しています。

応急処置に使える冷やすタイプの湿布

冷やすタイプの湿布は、冷感を与えるl‐メントールなどが含まれており、患部の炎症を抑えやすくなります。関節など動きが多い部分に使用するときには伸縮性・粘着性が高いテープ剤を選んだり、テーピングやサポーターで湿布がはがれるのを防ぎつつ、患部を軽く固定したりするとよいでしょう。

商品名
【第3類医薬品】のびのびサロンシップフィットα 10枚
【第3類医薬品】のびのびサロンシップフィットα 10枚
【第3類医薬品】百草シップII 10枚
【第3類医薬品】百草シップII 10枚
形状パップ剤パップ剤
用法・用量
表面のプラスチックフィルムをはがし、患部に1日1〜2回貼付
特徴
・鎮痛・消炎成分|サリチル酸グリコール
・パップ剤
・1日1~2回貼り替え可能
・子どもも使用できる
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冷感パスマンシップS

粘着性のある基剤と伸縮性のある不織布を使用していますので、はがれやすい部位にもピッタリとフィットします。炎症を抑えるサリチル酸グリコールの他、冷感を与えるl‐メントールを配合しています。1日1~2回、患部が乾いた状態で貼り付けましょう。

効能効果
腰痛、打撲(うちみ)、捻挫、肩こり、関節痛、筋肉痛、筋肉疲労

のびのびサロンシップフィットα

【第3類医薬品】のびのびサロンシップフィットα 10枚

消炎効果のあるサリチル酸グリコールと血行を促進するトコフェロール酢酸エステルを配合しており、患部の症状を鎮めて痛みを和らげます。l‐メントール無配合で、シップ独特の「におい」をなくした、ここちよい冷感の無臭性の湿布です。

伸縮自在で、関節部位にもぴったりフィットします。

効能効果
筋肉痛、筋肉疲労、打撲、捻挫、肩こり、腰痛、関節痛、しもやけ

百草シップII

【第3類医薬品】百草シップII 10枚

サリチル酸グリコールと生薬の力を活かした冷感湿布です。オウバク軟エキス・サンシシ軟エキス・アルニカチンキの3種の生薬成分が、消炎作用や血行促進をサポートします。表面のフィルムをはがし、患部に1日1~2回貼って使用しましょう。

効能効果
腰痛、打撲、捻挫、肩こり、関節痛、筋肉痛、筋肉疲労、しもやけ

痛みを軽くするNSAIDs配合の湿布

打ち身による痛みを軽くしたいときには、非ステロイド性抗炎症薬である、NSAIDsを配合した湿布を検討してみてください。使用年齢や枚数に制限があるため、使用上の注意をよく読んでから購入するようにしましょう。

商品名
【第2類医薬品】バンテリンコーワパットEX 56枚
【第2類医薬品】バンテリンコーワパットEX 56枚
【第2類医薬品】ロキソニンSパップ 7枚
【第2類医薬品】ロキソニンSパップ 7枚
【第2類医薬品】フェイタス5.0 10枚
【第2類医薬品】フェイタス5.0 10枚
形状パップ剤パップ剤パップ剤
用法・用量プラスチックフィルムをはがし、1日2回を限度として患部に貼付
表面のライナー(フィルム)をはがし、1日1回患部に貼付
表面のフィルムをはがし、1日2回を限度として患部に貼付
特徴・鎮痛・消炎成分|インドメタシン
・ソフトな貼り心地のパットタイプ
・温感タイプ
・1日2回まで
・鎮痛・消炎成分|ロキソプロフェンナトリウム
・パップ剤
・1日1回まで
・鎮痛・消炎成分|フェルビナク
・テープ剤
・1日2回まで
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ロキソニンSパップ

【第2類医薬品】ロキソニンSパップ 7枚

鎮痛消炎成分としてロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した、冷感タイプの湿布です。肌から吸収された有効成分は活性型に変化し、痛みの芯に直接働きかけます。伸縮性がありはがれにくく、肩や腰など広い範囲にも使いやすいのが特徴です。

使用は1日1回までで、1回あたり2枚を超えて使うことはできません。また、15歳未満の小児は使用しないようにしましょう。

効能効果
腰痛、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、捻挫

フェイタス5.0

【第2類医薬品】フェイタス5.0 10枚

有効成分としてフェルビナクを配合した、鎮痛消炎作用のあるテープ剤です。患部の血行を促進するビタミンEと、清涼感のあるl‐メントールも配合されています。湿布特有の香りが抑えられているため、就寝時や出先でも使用しやすいでしょう。

ただし、使用は1日2回までを限度とする必要がある他、15歳未満の小児は使えません。

効能効果
関節痛、筋肉痛、腰痛、腱鞘炎(手・手首・足首の痛みとはれ)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、ねんざ、肩こりに伴う肩の痛み

バンテリンコーワパットEX

【第2類医薬品】バンテリンコーワパットEX 56枚

インドメタシン・アルニカチンキ・l‐メントールの3種の鎮痛処方で、患部のつらい痛みに直接アプローチします。含水製剤ですが一般的なテープ剤に劣らない付着性で、貼り心地はソフトです。貼り直しがしやすく、はがすときも皮膚の角層への影響が少なくなるよう設計されています。

1日2回を限度として、患部に貼り付けて使用しましょう。15歳未満の方は使えません。

効能効果
肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、関節痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、捻挫

打ち身の回復期に使用する温めるタイプの湿布

打ち身をしてから目安として4日目以降は回復期となり、温めるタイプの湿布が適しています。温湿布にはトウガラシエキスやノナン酸バニリルアミドなどの温感成分が含まれており、打ち身の他、腰痛や肩こり、筋肉痛、捻挫にも使用可能です。

商品名
【第2類医薬品】ロキソニンS温感テープL 7枚
【第2類医薬品】ロキソニンS温感テープL 7枚
【第3類医薬品】サロンパス30ホット 20枚
【第3類医薬品】サロンパス30ホット 20枚
形状パップ剤硬膏剤
用法・用量
1日数回、患部に貼付
特徴
・鎮痛・消炎成分|サリチル酸グリコール
・温感タイプ
・1日数回貼り替え可能
・子どもも使用できる
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温感パスマンシップS

消炎鎮痛作用のあるサリチル酸グリコールを含んだ温感湿布です。血行を促進するサリチル酸グリコール、爽快感を与えるl-メントール、温感成分のトウガラシエキスが配合されており、打撲の腫れが引いたあとに使用できます。

粘着性にすぐれ、関節などのはがれやすい場所にもフィットする伸びのよい不織布製です。

効能効果
腰痛、打撲(うちみ)、捻挫、肩こり、関節痛、筋肉痛、筋肉疲労

サロンパス30ホット

【第3類医薬品】サロンパス30ホット 20枚

植物性成分を配合した肌に優しい湿布剤です。トウガラシエキスによるマイルドな温感刺激で、肩こりや腰痛、筋肉痛などに効果を発揮します。柔軟性のある素材で貼り心地がよく、はがすときにも痛みを感じにくいのが特徴です。

効能効果
肩こり、腰痛、筋肉痛、筋肉疲労、打撲、捻挫、関節痛、骨折痛、しもやけ

ロキソニンS温感テープL

【第2類医薬品】ロキソニンS温感テープL 7枚

痛みの芯まで有効成分が浸透し、肩や腰、筋肉の痛みに効き目をあらわします。3分割フィルムで貼りやすく、はがれにくい密着・伸縮タイプです。広範囲な部位に使える大判サイズですが、ベージュ色のテープなので目立ちません。

ロキソニンS温感テープのなかでも、Lサイズは1日あたり2枚を超えて使用しないようにしましょう。また、15歳未満の使用も不可となっています。

効能効果
腰痛、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘など)、打撲、捻挫

打ち身に湿布を使用するときの注意点

打ち身をした部位に傷やかぶれなどのけががある場合、湿布の使用は控えましょう。また、湿布も医薬品である以上は副作用があるため、正しい使い方をすることが大切です。

患部に傷やけが・かぶれがある場合には使用しない

打ち身になったときには、皮膚表面もダメージを受けているケースがあります。湿布を貼る前に、患部に傷がないかどうかをきちんと確認しておきましょう。傷がある場合、その上から湿布を直接貼るのは避け、少しずらした場所に貼るようにしてください。

また、人によっては、湿布を長時間貼り続けることで、患部がかぶれてしまう可能性があります。かゆみや赤み、かぶれが生じているときには湿布を貼らないほうがよいでしょう。湿布によるかぶれを防ぐには、以下のような工夫もできます。

・湿布剤を貼る前には患部を清潔にする
・毎回同じ場所に貼らず、ずらして貼る
・湿布剤を貼り替える際は1~2時間ほど時間を空ける
・温感湿布を貼ったまま入浴しない

湿布は、入浴後などの清潔な状態で貼るのが望ましいといえますが、肌の水分をきちんと拭き取ってから使用するのがポイントです。

副作用に気を付ける

湿布を使ったあと、場合によっては副作用があらわれる方もいます。主な副作用としては、発疹、発赤、かゆみ、かぶれ、ヒリヒリ感などが挙げられ、なかでも肌が敏感な方や高齢の方は肌のバリア機能が強くないため注意が必要です。

また、湿布に含まれる成分の影響から、次のような副作用が出る可能性もあります。

・ロキソプロフェンを含む湿布:消化器官の痛みや不快感
・ケトロプロフェンやジクロフェナクを含む湿布:使用中に紫外線に当たると、光線過敏症(発疹やかゆみ)が起こるケースがある
・NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む湿布:アスピリン喘息がある方の喘息発作

副作用を避けるためには、定められた用法用量を守ることが肝心です。薬でアレルギーを起こした経験がある場合、使用前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

対象年齢を確認する

湿布を使用する際は、対象年齢の確認が必須です。たとえば、非ステロイド性抗炎症薬のNSAIDsを含有する湿布は、小児への使用が認められていません。「大人用の湿布を小さく切って貼る」という場合でも、小児へ使用することはできません。

NSAIDsのなかには胎児に影響を与えるおそれがあるため、妊婦や妊娠の可能性がある方は使用できないものもあります。お子さんや妊娠中の方が打ち身に湿布を使用したい場合、医師や薬剤師に相談するか、サリチル酸グリコールの鎮痛成分を配合した製品を検討してみてください。

症状が回復しない場合は病院を受診する

湿布を使っても打ち身の症状が回復しない、痛みが悪化する、腫れが引かないといった場合は、医師の診察を受ける必要があります。脱臼や靭帯断裂など、打ち身とは異なるけがが原因となっている可能性も考えられるため、放置は禁物です。

特に、痛みがひどく、患部以外にも腫れや内出血が広がっているときには、骨折も考えられます。間違った方法で自己治療をしようとすると、症状が長引くばかりか悪化を招きかねません。打ち身かどうか判断に迷うときや症状の改善が見られないときには、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

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薬剤師
岡本妃香里
2014年に薬剤師の資格を取得後、大手ドラッグストアにて勤務。調剤とOTC販売の両方を経験したのち、2018年からライター業に転身。医療や健康に関する正しい知識を届ける医療ライターとして活動を続けている。

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