家庭でできる!感染性胃腸炎の対策ガイド
感染性胃腸炎とは?
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌によって引き起こされる病気です。主な原因ウイルスとして、ノロウイルスやロタウイルスが挙げられます。これらのウイルスは手指や食べ物を介して体内に入り、嘔吐や腹痛、下痢を引き起こします。特に高齢者や子どもが感染すると重症化することもありますので、早めの受診を心がけましょう。
感染性胃腸炎を引き起こす主なウイルス
● ノロウイルス
ノロウイルスは、秋から冬(11月〜3月)に流行することが多く、特に12月頃がピークです。感染してから1〜2日の潜伏期間を経て、下痢や嘔吐、発熱などの症状があらわれます。症状は1〜2日で落ち着くことが多いですが、その間は感染力が非常に高いので注意が必要です。
● ロタウイルス
主に1月〜5月にかけて流行し、特に乳幼児に多く見られるウイルスです。潜伏期間は1〜2日で、白っぽい水様の下痢や嘔吐、発熱が続きます。症状は3〜8日ほど続きますが、重症化を防ぐために乳幼児向けの予防接種が推奨されています。
感染性胃腸炎の主な感染経路は主に3つ
感染性胃腸炎の感染経路は大きく3つに分けられます。
① 人から人への感染
嘔吐物や便を処理した手指を介した接触感染や、嘔吐物の飛沫を吸い込むことで感染します。
② 調理器具を介した感染
ウイルスが付着した調理器具や食品を介して感染が広がります。
③ 食品からの感染
汚染された食品(特にカキなどの二枚貝)を十分に加熱せずに食べると感染します。
感染性胃腸炎はうつりやすい!
ノロウイルスの場合は100個ほど、ロタウイルスの場合は10~100個ほどのウイルスが体内に入ると感染してしまいます。症状がある人の嘔吐物や下痢便に含まれるウイルス量は、1gあたり100万~数億個です。家族に感染性胃腸炎の患者が発生した場合、適切な感染対策をとっていないと次々と家庭内感染が起こるおそれがあります。症状が落ち着いたあとも、長ければ3週間以上ウイルスが便中に排出されることがあるので、排便後やおむつ交換後はしっかり手を洗いましょう。
家庭内感染を防ぐための対策
嘔吐物や便の処理
感染性胃腸炎を家庭内で広がらせないために、嘔吐物や便を処理するときには次の3原則を守りましょう。
① 迅速に処理する
嘔吐物や便は放置せず、すぐに片付けましょう。
② 乾燥を防ぐ
ウイルスは乾燥した状態で空気中に舞いやすくなるため、湿った状態で処理します。
③ 適切に消毒する
一般的なアルコールではなく、次亜塩素酸ナトリウムを使うのが効果的です。
家庭用塩素系漂白剤を薄めて消毒液を作る
家庭用塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)には次亜塩素酸ナトリウムが5~6%入っています。ここでは、500mLペットボトルを利用した薄め方をご紹介します。なお、次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、次の注意点を守ってください。
- 酸性の洗剤と混ぜると塩素ガスが発生するため、決して混ぜないでください。
- 薄めた液でも目に入ると失明のおそれがあります。メガネをかけるなどご注意ください。
- 手の消毒には使えません。皮膚についたときはすぐに水で洗い流してください。
- 時間がたつと消毒効果がなくなるため、薄めたあとは24時間以内に使い切ってください。
- 保管の際には誤って飲むことがないように、消毒液であることをはっきり明記して、子どもの手の届かないところに保管してください。
■ 0.1%次亜塩素酸ナトリウムの作り方
0.1%次亜塩素酸ナトリウムは嘔吐物や便等が直接付着して汚れた床や衣類の消毒に使用します。ペットボトルのキャップ2杯分の原液に水を加えて約500mLにします。
■ 0.02%次亜塩素酸ナトリウムの作り方
0.02%次亜塩素酸ナトリウムは感染者が直接触れたトイレのドアノブなどの消毒に使用します。ペットボトルのキャップ半分の原液に水を加えて約500mLにします。
嘔吐物などで汚れた場所の対処法
汚れた床の拭き方
① ペーパータオルなどで汚物を覆い、外側から内側へ向けてしっかり拭き取ります。汚物が残っている状態で消毒液を使用しても、ウイルスに対する消毒効果が十分に発揮できません。
② 拭き取りに使ったペーパータオルなどは、ただちにゴミ袋に入れ、密封したうえで廃棄します。可能であれば、0.1%次亜塩素酸ナトリウムを入れてから、密閉して廃棄します。
③ 汚物を拭き取った後の床は、0.1%次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭きます。
④ 10分後に水拭きをします。
※ 作業時はガウン(エプロン)、マスクと手袋を使用し、換気を十分に行いましょう。
※ 使用後の手袋やペーパータオル等はビニール袋に入れて捨てましょう。
汚れた衣服の消毒方法
① ペーパータオルなどで汚物を覆い、付着した汚物中のウイルスが飛び散らないようにしながら汚物を取り除きます。
② 汚物を取り除いたあと、洗剤を入れた水の中で、静かにもみ洗いをします。
③ 0.1%次亜塩素酸ナトリウムに30分程度つけこみます。
④ 汚染されていない衣類とは分けて洗濯します。
※色落ちが心配なものには、次亜塩素酸ナトリウムではなく、85℃1分以上の熱湯につけることでもウイルス消毒効果があります。
※洗濯が難しいカーペット、ソファ、布団などはスチームアイロンや布団乾燥機を利用しましょう。
トイレのドアノブや床、水洗レバーの拭き方
① 0.02%次亜塩素酸ナトリウムを浸したペーパータオルなどで拭きます。
② 塩素系漂白剤は金属腐食性があるので、拭き取り部位が金属の場合は、念入りに水拭きしてください。
症状がなくなっても1週間程度は便からウイルスが排泄されるため、治った後も1週間ほどは消毒を続けましょう。
日常生活で気をつけること
手洗い
- トイレ後や食事前、嘔吐物処理後は、石けんで30秒以上手を洗いましょう。
- 汚れが残りやすい指先や爪の間、手のしわは特に注意して洗いましょう。
- 家族間でタオルを共有せず、ペーパータオルを使うのがおすすめです。
調理
- 感染性胃腸炎に感染した人は、調理をしてはいけません。
- 使用した調理器具は、よく洗い、熱湯(85℃で1分以上)または0.02%次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
- 湯通しではウイルスが死滅しないため、カキなどの二枚貝は中心部まで十分に加熱(85℃で1分以上)します。特に高齢者や乳幼児では注意しましょう。
- 野菜や果物などの生鮮食品は、水道水で十分に洗いましょう。
- 二枚貝の調理に使用したまな板や包丁は、すぐに熱湯消毒しましょう。
お風呂
- 下痢の症状がある間はシャワーのみにするか、最後に入浴しましょう。
- 浴槽の水は毎日換え、浴槽、床、洗面器、いすも洗剤を使用して掃除をしましょう。
- 身体を拭くタオルは他の家族と共用しないようにしましょう。
感染性胃腸炎になったときの登園・登校目安
感染性胃腸炎にかかった場合に幼稚園、保育園、学校を休む法律上のきまりはありません。それぞれの園や学校が定めたルールに従うことになるため、登園や登校については園や学校にご確認ください。なお、厚生労働省が定めた保育所における感染症対策ガイドラインによると、登園の目安は「嘔吐、下痢などの症状が治まり、普段の食事がとれること」とされています。
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