突然の嘔吐や下痢…冬に多いウイルス性胃腸炎の症状と復帰の目安
冬の感染性胃腸炎とは?
主にウイルスが原因の急性胃腸炎
感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌などの病原体に感染することで起こる急性胃腸炎を指します。冬場に流行する胃腸炎はウイルス感染、夏場に流行する胃腸炎は細菌感染によるものが多いです。
ウイルス性胃腸炎の主な原因ウイルスにはノロウイルスやロタウイルスなどがあります。
主な症状と流行時期
ノロウイルスとロタウイルスの特徴をまとめました。

ノロウイルス
ノロウイルスは、秋から冬(11月〜3月)に流行することが多く、特に12月頃がピークです。感染してから1〜2日の潜伏期間を経て、下痢や嘔吐、発熱などの症状があらわれます。症状は1〜2日で落ち着くことが多いですが、その間は感染力が非常に高いので注意しましょう。一度かかっても、遺伝子型が違うノロウイルスに何度もかかることがあります。
カキなど二枚貝の生食もしくは加熱不足による食中毒のほか、感染者の嘔吐物や便にふれた手指を介したり、空気中に飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。
ロタウイルス
主に春頃(3月〜5月)に流行する、特に乳幼児に多く見られるウイルス性胃腸炎。5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、約半数はロタウイルスが原因です。重症化を防ぐために乳幼児向けの予防接種が推奨されています。多くの人は5歳までにかかるため、大人が発症しても軽症で済んだというケースは少なくありません。
潜伏期間は2〜4日で、白っぽい水様の下痢や嘔吐、発熱が続きます。症状は3〜8日ほど続きます。
感染者の嘔吐物や便にふれた手指、汚染された食品などを介して感染します。
ウイルス性胃腸炎への対処法
ウイルス性胃腸炎にかかったときには、症状の程度に合わせて
①自宅でのセルフケア
②市販薬を服用
③医療機関を受診
で対処しましょう。
自宅でのセルフケア
安静に過ごす
原因ウイルスそのものを抑える薬はないため、自然治癒力で治していきます。
体力・免疫力の回復・維持のためにも、嘔吐や下痢、発熱といった胃腸炎の症状が現れている間は、無理せず自宅でゆっくり過ごして体を休めましょう。
水分をしっかり摂る
嘔吐や下痢が続くと、体内の水分も外に出てしまうため、脱水状態に陥りやすくなります。
脱水症状を防ぐため、嘔吐が落ち着いたら少しずつこまめに水分・塩分を補給しましょう。
水、麦茶などのほか、スポーツドリンクや経口補水液で水分補給するのもおすすめです。
次のような症状は脱水のサインです。療養中や看病中に現れた場合は、早めに対面診療を受診して必要な処置を受けてください。
| 脱水のサイン |
・口の中が乾く |
|---|
食事は胃腸に負担をかけないものを
嘔吐や下痢の症状がひどい間は、無理に食事を摂る必要はありません。ただし、水分・塩分はしっかり補給してください。野菜スープや野菜ジュース、スポーツドリンクなどは水分とともに塩分やビタミンを補給できます。
症状が落ち着いてきたら、無理のない範囲で食事を摂りましょう。初めのうちは脂っこいもの、食物繊維が多いもの、刺激物、冷たいもの、乳製品を避けましょう。下痢のときは、
| ・おかゆ ・やわらかいうどん ・食パン ・柔らかく煮た野菜 ・白身魚 ・ささみ |
など、食べやすく消化しやすいものがおすすめです。
下痢が落ち着くのに合わせて、少しずついつもの食事に戻していきます。
市販薬を服用する
感染性胃腸炎の原因ウイルスそのものを抑える市販薬はありません。しかし、現れている症状を抑える市販薬を使うことはできます。
腸内環境を整える整腸剤や熱を抑える解熱薬を、症状に合わせて選びましょう。
感染性胃腸炎の時は、基本的には下痢止めを使用しないでください。
感染性胃腸炎にかかった時に、嘔吐や下痢が起こるのは、体内にいる病原体を外へ排出しようとする体の防御反応です。そのため、薬で嘔吐や下痢を無理に抑えると、かえって症状が長引くことになります。症状がつらくて、下痢止めを使いたい場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
医療機関を受診する
感染性胃腸炎は自然治癒する病気のため、セルフケアで様子をみることもできますが、次のような場合は、早めに医師に相談しましょう。
| 受診の目安 |
・なかなか症状が改善しない |
|---|
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感染性胃腸炎になったときのお休み・復帰の目安
学校や保育園の出席停止はいつまで?
感染性胃腸炎は第三種学校感染症に指定されており、主治医から感染のおそれがあるため登校を控えるように指示された場合は出席停止となります。
詳しい欠席日数や登園・登校許可証の有無については、園や学校、自治体によって異なるため、事前に確認しましょう。
嘔吐・下痢が治まった後も、数週間は便にウイルスが排泄されます。復帰後も手洗いを徹底し、学校・保育園・幼稚園など集団生活ではタオルなどの共用を避けましょう。
仕事は休むべき?いつから行けるか
感染性胃腸炎は、法律による出勤停止は特に定められていません。しかし、症状が出ている間は、仕事を休み、しっかりと療養することがおすすめです。
症状が落ち着いて出勤する際は、手洗いをこまめに行うなど、周りの人へうつさないようにしっかり感染対策を行いましょう。
特に、医療・保育関係や、食品を扱う職種では、職場のルールが定められてる場合があります。また、法的な義務はありませんが、職場によっては医師の診断書などを求めることがあるため、事前に規則を確認しておきましょう。
いつまでうつるのか
症状が落ち着いても、2週間ほどは便中にウイルスが排出されるため、その間は注意が必要です。家族に感染性胃腸炎にかかった人がいる場合は、家庭内感染を防ぐためにしっかり対策をしましょう。
| ・トイレ、オムツ替えのあとや食事の前後はこまめに手洗い・消毒する ・替えたオムツは放置せず、すみやかに適切に処理する ・お皿やコップ、スプーンなどを共用しない ・トイレやドアノブ、スイッチなど人の手がよく触れるところを消毒する ・タオルを共用を避けて、ペーパ-タオルを活用する ・感染者の看病の際は、マスクや使い捨て手袋を着用する ・汚物処理の際はマスクや使い捨て手袋などを使用する |


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