旅行・帰省後の発熱…コロナ・インフル・風邪の見分け方と受診目安
帰省や旅行のあとに体調を崩しやすい理由
普段と異なる環境で過ごす旅先では、知らず知らずのうちに体に負担がかかっています。
移動による長時間の体勢維持や過密なスケジュール、普段と異なる気候や室内の冷暖房による寒暖差などは、自律神経の働きを乱す要因のひとつとなります。
また、非日常の楽しさから緊張感がほぐれた帰宅直後は、疲労が一気に表面化しやすいタイミングでもあります。
疲労や自律神経の乱れによる発熱の特徴
身体的な疲労や精神的な緊張が続いたあとに起こる発熱は「機能性高体温症」や「心因性発熱」などと呼ばれることがあります。
これは自律神経のバランスが崩れることで体温調整機能が一時的にうまく働かなくなる状態であり、医学的には発熱ではなく「高体温」と呼ばれる状態です。
37度台の微熱や全身のだるさが中心となり、のどの激しい痛みや咳、鼻水といった感染症状があまり目立たない傾向があります。しっかりと睡眠をとり体を休めることで、自然と治まっていくことが多いのも特徴の一つです。
ただし、感染症の初期にも同じような症状が現れることがあります。症状だけで疲労によるものと判断することは難しいため、次項もあわせて確認してみましょう。
旅先で感染した場合、症状は何日後に出るのか(潜伏期間の目安)
一方で、旅先の混雑した場所や人混みでウイルスに感染した可能性も考えられます。
発熱を伴う代表的な感染症には、一般的なかぜ、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなどがあります。ウイルスが体に侵入してから症状が現れるまでの「潜伏期間」は、感染症の種類によって異なります。
● 一般的な風邪:約1〜3日
●インフルエンザ:約1〜4日(平均2日程度)
●新型コロナウイルス感染症:約2〜5日
旅行や帰省から戻ってどのくらいの日数が経ってから発熱したかを振り返ることで、疲労によるものか、感染症によるものかを考える一つの手がかりになります。
かぜ・コロナ・インフルエンザの違いと見分け方
一般的なかぜ、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、それぞれの症状の特徴を整理して確認してみましょう。
発熱やのどの痛みが中心の場合(コロナ・一般的なかぜなど)
一般的なかぜや新型コロナウイルス感染症の特徴は、のどの痛みが強く、続いて発熱や咳、鼻水などの症状です。
新型コロナウイルス感染症では、発熱やのどの痛みに加えて、においや味が分かりにくくなったり、強い倦怠感が長く続いたりすることもあります。初期症状は一般のかぜと酷似しているため、症状の強さだけで見分けるのは容易ではありません。
急な高熱や全身の倦怠感がある場合(インフルエンザなど)
インフルエンザは、38度以上の急激な高熱とともに、強い全身のだるさ、関節痛、筋肉痛、頭痛などが一気に現れることが特徴です。
のどの痛みや咳などの気管支症状も伴いますが、発症初期から全身のつらさが強く出ることが大きな特徴です。秋から冬にかけての流行期に多く見られますが、近年は時期を問わず発生することもあります。
腹痛や下痢などの消化器症状がある場合(胃腸炎・風邪など)
感染性胃腸炎や消化器症状を伴う風邪の場合は、発熱に加えて、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状があります。旅先での食生活の変化や冷え、ウイルスの体内侵入などが原因となります。水分補給を意識し、安静に過ごすことが大切です。
症状の違いを一覧で確認(比較表)
それぞれの感染症における主な特徴を以下にまとめました。
|
項目 |
一般のかぜ |
新型コロナウイルス感染症 |
インフルエンザ |
感染性胃腸炎 |
|---|---|---|---|---|
|
発熱の傾向 |
微熱〜38度程度 |
37度台〜高熱まで様々 |
38度以上の急激な高熱 |
微熱〜38度程度 |
|
のどの症状 |
いがらっぽさ、軽度の痛み |
強い痛み、イガイガ感 |
痛むことがある |
少ない |
|
全身症状 |
軽い倦怠感 |
強いだるさ、関節痛など |
非常に強い倦怠感、関節痛・筋肉痛 |
全身のだるさ、脱水傾向 |
|
消化器症状 |
まれ |
まれに見られる |
まれ |
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 |
|
流行しやすい時期 |
通年 |
通年 |
主に秋〜冬(流行期あり) |
通年(冬場に増加傾向) |
上の表はあくまでも特徴をまとめたものです。症状だけで原因を確定することは難しく、正確な判断には医師の診察が必要です。
市販の抗原検査キットを活用したセルフチェック
体調に違和感がある際、自宅で手軽に状況を確認する方法のひとつに、市販の抗原検査キットを活用する手段があります。
同時検査キット(第1類医薬品・体外診断用医薬品)とは
薬局やドラッグストアなどでは、新型コロナウイルスとインフルエンザのウイルスを同時に検出できる市販の抗原検査キットが販売されています。
購入する際は、国が性能を認めた「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」と表示されたものを選ぶことが推奨されます。「研究用」として販売されているものは精度が十分に確認されていない場合があるため注意が必要です。取扱説明書をよく読み、正しく検体を採取して判定を行いましょう。
陰性でも症状が続くときは医療機関へ
検査キットで「陰性」と出た場合でも、必ずしも感染していないとは言い切れません。
発症直後でウイルスの量が少ない時期に検査を行うと、実際は感染していても陰性と表示される「偽陰性」が起こることがあります。
インフルエンザの検査であれば一般的に、発熱や喉の痛みなどの症状が出てから12〜48時間以内が、検査に最も適したタイミングとされています。
検査結果が陰性であっても、高熱が続いていたり、体のつらさが強かったりするときは自己判断で済ませず、医療機関への受診を検討することが大切です。
受診を検討する目安と自宅での過ごし方
症状が現れた際、どのタイミングで医療機関を受診すべきか、自宅でどのように過ごせばよいかを整理しておくと落ち着いて対応できます。
無理をせず様子を見てよいケース
発熱が37度台の前半であり、水分や食事をしっかり摂ることができていて、横になって休息が取れている場合は、慌てずに自宅で安静にして経過を見ることも選択肢の一つです。水分補給をこまめに行い、室温や湿度を適度に保ちながら体を休めましょう。
早めの医療機関受診を考えたい症状の目安
一方で、以下のような症状が見られる場合は無理をせず、早めに対面で医療機関を受診することが望まれます。
【すぐに救急外来の受診や救急要請を検討したい症状】
・意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い
・息苦しさや強い胸の痛みがある
・自力で立てないほど強いだるさやめまいがある
・水分が十分に摂れず、尿の量が減っている など
【早めに医療機関の受診を検討したい症状】
・高熱が数日続いている など
症状の変化に注意を払い、辛さを感じたときは我慢せずに医療を受けることをおすすめします。
インフルエンザの場合の受診目安
抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。
ただし、ウイルスは発症直後から急速に増えるため、薬の使用が遅れるとウイルスの増殖がピークを迎えてしまい、薬の効果が弱くなってしまいます。
そのため、発症から48時間以内、できれば24時間以内に服用を開始することが、重症化を防ぎ、発熱期間を短くするカギになります。
ただし、以下のような場合は、発症から48時間を過ぎても使用されることもあります。
● 高齢者、乳幼児など重症化リスクが高い場合
● 基礎疾患(心疾患、糖尿病、喘息など)がある人
● 症状が重く進行していると判断された場合
● インフルエンザ脳症などの合併症の疑いがあるとき
上記のような場合など、医師の判断により治療のメリットが大きいと考えられる場合には、48時間以上経過していても薬が処方されることがあります。
熱が出たとき、何科を受診すればよいか
大人の方で発熱や風邪症状がある場合は、内科を受診するのが一般的です。
のどの痛みや耳の奥の違和感が強い場合は耳鼻咽喉科でも診察を受けられます。
発熱がある状態で対面受診をする際は、あらかじめ電話等で発熱がある旨を伝えなければならない病院もあるため注意しましょう。
忙しい方のための「オンライン診療」という選択
社会人の方は、旅先から帰ってすぐに病院へ行く時間を確保するのが難しいことも多いでしょう。そのような場合の手段として、オンライン診療という選択肢があります。
移動時間や待ち時間を抑えるメリット
オンライン診療は、スマートフォンやPCを使って自宅や職場から受診できるため、通院にかかる移動時間を削減できます。仕事の合間や帰宅後の時間を有効に活用できる点が、忙しい時期には大きなメリットとなります。
▼ 診療予約はこちら ▼
●お薬は配送、または、お近くの薬局での受け取りを選ぶことが可能
●診察の結果、医師の判断により希望のお薬が処方されないこともあります。
●オンライン診療についてのお問い合わせはこちら:https://e-clinic.minacolor.com/pages/contact
まとめ
旅行や帰省のあとに生じる発熱やだるさは、単なる疲れによるものから感染症までさまざまな原因が考えられます。まずは無理をせず、水分補給を行って体を休めることが基本です。
症状が長引く場合や辛さが強い場合は、市販の検査キットや医療機関をうまく活用し、ご自身の体調を第一に優先してください。日中の通院が難しいときには、オンライン診療などの利便性の高いサービスも選択肢に入れながら、落ち着いて回復を目指しましょう。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
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薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
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•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
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