スミチオンは花や樹木類に使える園芸用殺虫剤
住友化学園芸 スミチオン乳剤
スミチオンは、草花や果樹など広範囲の害虫駆除に使用可能な園芸用殺虫剤です。扱いやすいため、プロの農家の方から趣味で園芸を行っている方まで、多くのシーンで使用されています。
有機リン系の殺虫剤であり、フェニトロチオンという成分が使用されています。
害虫が薬の成分に触れたり、薬の成分が付いている植物を食べることで効果を発揮します。
スミチオンの中毒症状
日本中毒情報センターが報告している農薬中毒の症状と治療法(第17版)では、スミチオンを含む有機リン剤の中毒症状として、以下のような症状の報告があります。
軽度 | 食欲不振、胸部圧迫感、発汗、流涎、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、倦怠感、不安感、頭痛、めまい、軽度の縮瞳 |
中程度 | (軽症の諸症状に加え)視力減退、縮瞳、顔面蒼白、筋けいれん、血圧上昇、頻脈、言語障害、錯乱状態 |
重度 | 失禁、縮瞳、気管支分泌増加、湿性ラ音、肺水腫、呼吸困難、全身けいれん、呼吸筋麻痺、意識混濁、昏睡、体温上昇(37~38℃) |
これらの症状はいったん落ち着いた後に、再度悪化する場合があります。
また、まれに殺虫剤に曝露した6~21日後に遅発性の末梢神経障害があらわれることがあります。
スミオチンの使い方
薬液を水で薄めて散布して使用します。薄め方は使用する作物によって異なるため、薬剤の説明書を確認してください。
散布するときは、農薬用のマスク、手袋、長袖長ズボンなどを適宜着用し、手や目に付着しないように気をつけます。皮膚がかぶれやすい方は特に皮膚につかないように注意しましょう。
また、薬剤使用中は飲食または喫煙をしてはいけません。
作業中や散布当日は散布区域にこどもやペットが入らないように注意してください。
作業後の注意
作業が終わった後は、手足や顔を石けんを使用してよく洗い、洗顔・うがいをして作業着を着替えましょう。
塗装の変色に注意
自動車や壁の塗装部分に薬剤が付着すると、塗装汚染や変色するおそれがあります。また、大理石、御影石などにも影響を与えるおそれがあります。
散布時は風向きなども考え、周囲の物(人家、自動車、洗濯もの、ペット、おもちゃなど)に付着しないように注意してください。
スミオチンの応急処置
皮膚に付いた場合
スミチオンが付着した衣服、靴を速やかに脱ぎます。薬剤が付着した皮膚を水またはぬるま湯で十分に洗い流します。その後、石けんを使って洗います。これは、成分のフェニトロチオンはアルカリ性にすると分解しやすい性質を持つためです。
また、汚染された衣服を再使用する場合には洗濯する必要があります。
吸い込んでしまった場合
スミチオンは揮発性のため、蒸気を吸い込まないように注意します。万が一吸い込んでしまった場合は、すぐに新鮮な空気の場所に移動し、衣服をゆるめて深呼吸しましょう。
多量に吸入した場合は、すぐに医療機関を受診してください。
飲み込んでしまった場合
万が一飲み込んでしまった場合は、ただちに医療機関を受診してください。医療機関では、必ず有機リン剤を使用した旨を伝えましょう。医療機関では、中毒症状に合わせて解毒に効果的な薬を使用するなどして治療します。
受診前に水で口をゆすぐことも有効です。一方、無理やり吐き出させると症状が悪化するおそれがあるため吐き出させることはやめましょう。
目に入った場合
目に入ったらすぐに流水で十分に洗い流しましょう。その後すみやかに眼科医を受診することをおすすめします。
おわりに
スミチオンは稲、果樹、野菜などにつく害虫に効果を発揮する園芸用殺虫剤です。
薬液の希釈倍率は使用する作物によって異なります。また、安全に使用するためには守らなくてはいけないこともあります。
製品のラベルの注意事項を必ずよく読んでから使用してください。