ドネペジル塩酸塩とは
ドネペジル塩酸塩は日本で開発されたアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の進行を抑制する成分です。先発薬では「アリセプト」という商品名で発売されています。
錠剤を飲むことが難しい方のも服用しやすいようにとさまざまな種類が販売されています。また、ジェネリックの種類も豊富で、「ドネペジル塩酸塩+剤形+製薬会社名」などの商品名で販売されています。
ドネペジル塩酸塩の種類
先発薬のアリセプトには錠剤・D錠・内服ゼリー・ドライシロップ・細粒があります。
なお、錠剤や内服ゼリーなど、薬の種類によって効果が変わることはありません。
ドネペジル塩酸塩の作用機序
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、脳の中にある神経伝達物質のアセチルコリン濃度が減少することがわかっています。ドネペジル塩酸塩はアセチルコリンを分解する酵素を阻害することで、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症における認知症状の進行を防ぎます。
ドネペジル塩酸塩の副作用
副作用の中でも頻度が高いのは消化器系の症状であり、吐き気、食欲不振、嘔吐、下痢などが多いとされています。特に薬を服用し始めた頃は、消化器系の副作用がでやすい傾向があるため少量から始めることになっています。しばらくするとこれらの症状が改善することもありますが、長引いたり、つらいと感じたときには医師に相談しましょう。
また、他にも気になる症状があったときは相談してください。重大な副作用の発見につながることもあります。
重大な副作用
ドネペジル塩酸塩には以下のような重大な副作用の報告もあります。中には、命に関わるものもあるため、使用後の体調の変化には十分注意しましょう。
副作用と思われる変化が現れた場合は、薬を処方した医師に相談してください。
・QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含 む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック、失神
・心筋梗塞、心不全
・消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血
・肝炎、肝機能障害、黄疸
・脳性発作、脳出血、脳血管障害
・錐体外路障害
・悪性症候群(Syndrome malin)
・横紋筋融解症
・呼吸困難
・急性膵炎
・急性腎障害
・原因不明の突然死
・血小板減少
ドネペジル塩酸塩の用法・用量
ドネペジル塩酸塩は症状に合わせて医師の診察のもと使用量が調整されます。
アルツハイマー型認知症の場合、通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始します。服用後1〜2週間後に、医師の診察のもと5mgに増量します。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量します。なお、症状により適宜減量することがあります。
レビー小体型認知症の場合、通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与します。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量しますが、症状により5mgまで減量することもできます。
なお、食事による影響は受けないため、どのタイミングで使用しても問題ありません。
時間を決めて服用しましょう。
ドネペジル塩酸塩の使用上の注意
ドネペジル塩酸塩の効果が感じられないからといって、自己判断で薬の使用を中止することはやめてください。
また、認知症状が変化しないことも、症状の進行をおさえている薬の効果といえます。薬の服用に心配や不安がある場合は、担当医に相談してください。
妊娠中・授乳中の使用
妊娠中や授乳中の場合は必ず医師に申告してください。