プロクトセディル軟膏・坐薬は市販されている?
プロクトセディル軟膏・坐薬と全く同じ成分が含まれた市販薬はありませんが、代わりにいぼ痔・きれ痔に使える市販薬は販売されています。
プロクトセディル軟膏・坐薬は、いぼ痔やきれ痔による出血、痛み、腫れ、かゆみの治療などに用いられる処方薬です。
プロクトセディルの剤形は軟膏と坐薬の2種類で、用途や症状などに合わせて処方されます。
また、プロクトセディル軟膏には『ヘモレックス軟膏』というジェネリック医薬品がありますが、プロクトセディル坐薬にはジェネリック医薬品はありません。
プロクトセディル軟膏・坐薬の成分
プロクトセディル軟膏・坐薬には4つの成分が含まれており、それぞれの特徴は以下の通りです。
特徴 | |
---|---|
ヒドロコルチゾン | ステロイドの一種で、炎症をおさえる作用があります。 |
フラジオマイシン硫酸塩 | 抗生物質の一種で、患部の細菌増殖を防ぎます。 |
ジブカイン塩酸塩 | 局所麻酔成分で、患部の感覚を一時的に麻痺させ、痛みやかゆみを鎮めます。 |
エスクロシド | 出血をおさえます。 |
プロクトセディル軟膏・坐薬は“ウィーク”のステロイド
ステロイドの薬は、作用の強さによって5種類にランク分けされています。症状や部位などに応じて適した強さが異なります。
プロクトセディル軟膏・坐薬の成分『ヒドロコルチゾン』はウィークに分類され、同じ強さの市販薬も販売されています。
痔の種類|いぼ痔・きれ痔は市販薬で対処できる
痔は大きく分けて、いぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛)、痔ろう(痔瘻)の3つに分けられます。
いぼ痔ときれ痔は市販薬で治療できますが、痔ろうは手術が必要なこともあるため、なるべく早く病院を受診しなければなりません。
患部の場所や症状によって適した薬が異なるため、まずはご自身の痔がどの種類に該当するのかを把握しましょう。
痔の種類 | 特徴 | |
---|---|---|
いぼ痔 | 内痔核 |
・肛門の内側にできるいぼ痔 ・痛みが少ない ・排便時に出血する |
外痔核 |
・肛門の外側にできるいぼ痔 ・痛みがある ・大きく腫れると痛みが激しくなる |
|
きれ痔 |
・肛門の皮膚が切れたり裂けたりした状態 ・排便時に強い痛みを感じる ・出血は少ない |
|
痔ろう |
・お尻から膿が出ている ・お尻が熱い ・肛門周辺が腫れてズキズキと痛む |
いぼ痔(内痔核・外痔核)
いぼ痔は、肛門にいぼのような突起や腫れができる痔です。直腸の内側にできたいぼを内痔核、直腸の外側にできたいぼを外痔核といいます。内痔核はあまり痛みを感じないため、出血が起こって初めて気がつくこともあります。
きれ痔(裂肛:れっこう)
きれ痔は、肛門の皮膚が切れたり裂けたりする痔です。出血がみられる傾向がありますが、出血量はそれほど多くありません。排便時・排便後に痛みを感じることが多いのが特徴で、比較的強い痛みを感じることが多くあります。
痔ろう(あな痔)
痔ろうは、肛門部周辺に膿が溜まり体外に出てしまう痔です。
化膿と炎症が進むと、膿を排出するための穴が肛門周辺の皮膚との間に貫通し、膿が体外へ漏れだします。膿を出しきると症状は楽になりますが、すぐに膿が溜まってしまうため、手術で穴を塞ぐ必要があります。
市販薬での治療はできないため、痔ろうの症状が疑われた場合、なるべく早く病院を受診しましょう。
プロクトセディル軟膏・坐薬の代わりに使える市販薬
オシリア|プロクトセディル軟膏の代わりに
オシリア 10g【指定第二類医薬品】
ステロイド成分としてヒドロコルチゾン(ヒドロコルチゾン酢酸エステル)が配合された商品です。
軟膏タイプは肛門の奥深くに塗りづらいため、外痔核やきれ痔など肛門の外側にできた痔に適しています。
5種の有効成分が炎症や腫れをおさえ、我慢できないかゆみをしずめます。
2種類のかゆみ止めが配合されているため、特にかゆみが気になる方にも適しています。
プリザエース坐剤T|プロクトセディル坐薬の代わりに
プリザエース坐剤T 10個【指定第二類医薬品】
ステロイド成分としてヒドロコルチゾン(ヒドロコルチゾン酢酸エステル)が配合された商品です。
坐薬タイプは肛門に差し込んで使うため、内痔核や肛門内側にできたきれ痔に適しています。
7種の有効成分がつらい痛みや急な出血、腫れ・かゆみに効きます。
出血をおさえる成分(塩酸テトラヒドロゾリン)が配合されているため、特に出血が気になる方にも適しています。
幅広く使える注入軟膏
いぼ痔・きれ痔に効く市販薬には軟膏、坐薬の他に注入軟膏があります。
注入軟膏は、肛門の内側には注入し、肛門の外側には塗って使うことができます。
内痔核、外痔核、きれ痔のいずれにも適しており、肛門の内と外の両方に症状がある方にもおすすめです。
痔の症状と適した剤形
軟膏 | 坐薬 | 注入軟膏 | |
---|---|---|---|
内痔核 | × | 〇 | 〇 |
外痔核 | 〇 | × | 〇 |
きれ痔 | 〇 | △(※) | 〇 |
(※)内側にできたきれ痔にのみ効果を発揮します。
ラホヤA注入軟膏EX|ステロイド配合
ラホヤA注入軟膏EX【指定第二類医薬品】
6種の有効成分が、きれ痔(さけ痔)・いぼ痔の痛み・かゆみ・はれの緩和に効果をあらわします。注入と塗布、2通りの使い方ができる注入軟膏剤です。
ラホヤA注入軟膏EXは、無理なく続けられるリーズナブルな価格です。痔の薬と気づかれにくいパッケージも特徴の一つです。
ボラギノールA注入軟膏|ステロイド配合
ボラギノールA注入軟膏 2g×10個【指定第二類医薬品】
4種の有効成分がきれ痔・いぼ痔による痛み・かゆみ・腫れ・出血に効果を発揮します。
注入軟膏であるため肛門の内側・外側、肛門付近にも使えます。
ステロイドの強さは、ウィークに分類されます。
特徴として、内部に挿入する時の異物感が少なく、患部や軟膏に手を触れずに塗布できることがあげられます。
ステロイド無配合の市販薬
いぼ痔・きれ痔に効く市販薬には、ステロイドが含まれていない薬もあります。
特にステロイドに抵抗のある方におすすめです。
ボラギノールM軟膏|肛門の外側・肛門付近にできた痔に
ボラギノールM軟膏 20g【第二類医薬品】
主に肛門の外側・肛門付近にできた痔に使える軟膏タイプの薬です。
ステロイドは含まれておらず、4種の有効成分が痔による痛み・かゆみに効果を発揮します。
なめらかですべりのよい油脂性基剤が使われているのが特徴です。
ボラギノールM坐剤|肛門の内側にできた痔に
ボラギノールM坐剤 10個【第二類医薬品】
主に肛門の内側にできた痔に使える坐薬タイプの薬です。
4種の有効成分が、痔による痛み・かゆみを鎮めます。
体温ですみやかに溶け、患部に直接作用する製剤設計となっているのが特徴です。
いぼ痔・きれ痔に効く飲み薬
いぼ痔・きれ痔に効く市販薬には飲み薬もあります。飲み薬は体の中から痔の症状を改善し、痛みなどをおさえます。
ただし塗り薬や坐薬に比べ時間をかけて効果が現れるため、早く治したい時や症状がつらい時は医師や薬剤師にご相談の上、塗り薬や坐薬と併用してもよいでしょう。
本草乙字湯エキス顆粒-H|いぼ痔・きれ痔などに
本草乙字湯エキス顆粒-H 30包【第二類医薬品】
漢方処方「乙字湯」を煎じて、エキス顆粒(分包)とした製品です。
6種類の生薬から抽出した乙字湯エキスが、いぼ痔、切れ痔、軽度の脱肛、便秘に効果をあらわします。
1日2回(朝夕)の服用のため、昼間にオフィスや外出先で服用することなく続けられます。痔の薬と気づかれにくいパッケージも特徴の一つです。
効能効果 |
---|
体力中等度以上で、大便がかたく、便秘傾向のあるものの次の諸症:痔核(いぼ痔)、きれ痔、便秘、軽度の脱肛 |
ツムラ漢方乙字湯エキス顆粒|いぼ痔・きれ痔などに
ツムラ漢方乙字湯エキス顆粒 12包(第2類医薬品)【第二類医薬品】
いぼ痔・きれ痔の他、便秘や軽度の脱肛にも効きます。
乙字湯は漢方薬の一種で血液の流れを改善し、患部のとどこおった血の巡りに効果が期待できます。
顆粒タイプで個包装されているため、外出の際の携帯にも便利です。
効能効果 |
---|
体力中等度以上で、大便がかたく、便秘傾向のあるものの次の諸症:痔核(いぼ痔)、きれ痔、便秘、軽度の脱肛 |
ヘモリンド|いぼ痔専用
ヘモリンド 20錠【第二類医薬品】
いぼ痔(内痔核・外痔核)のみに使える薬です。
舌の下で溶かして服用する舌下錠(ぜっかじょう)タイプです。
有効成分の静脈血管叢(じょうみゃくけっかんそう)エキスが舌の裏から吸収され、血流に乗っていぼ痔の内側に直接届き、うっ血を改善することで、いぼそのものを小さくしていきます。
水なしで服用できるため、場所を選ばずに服用できます。
使用上の注意|治らない場合は病院へ
医師から処方された薬の代用として市販薬を使用する場合は、使用しても問題ないか医師や薬剤師に相談しましょう。
また上記の市販薬を使用する際は、薬の説明書(添付文書)に記載された使用期間や用法・用量を守り、症状がよくならない場合や他にも気になる症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。