妊娠中・授乳中でも飲める解熱剤はある?|頭痛などの痛み・発熱に
妊娠中・授乳中でも飲める解熱剤はある?
解熱剤とは解熱鎮痛薬とよばれる薬で、かぜによる熱を下げるだけでなく頭痛などの痛み止めにも使うことができます。
ただし、妊娠中・授乳中の使用については赤ちゃんへ影響をおよぼす薬もあるため注意が必要です。
妊娠中について
『産婦人科診療ガイドライン2020』によると、妊娠中の解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが勧められています。
市販薬でもアセトアミノフェンを含む薬は数多く販売されていますが、妊娠の経過や体調・体質は個々で異なり、アセトアミノフェンが服用できない可能性もあるため、服用をご希望の際はかかりつけ医にご相談ください。
また、妊娠中の場合は非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)に注意が必要です。妊娠後期に非ステロイド抗炎症薬を使うと動脈管という血管が収縮し、胎児に影響が出るおそれがあるため、妊娠後期は服用が禁止されています。
妊娠中の薬の使用については、妊娠時期や薬の性質を考慮しながら使用できる薬を選ぶ必要があるため、まずはかかりつけ医にご相談いただくことが大切です。
授乳中について
国立成育医療研究センターでは『授乳中に安全に使用できると考えられる薬』として、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが紹介されています。したがって、軽い頭痛などですぐに病院を受診できない場合はアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが配合された薬を使用するとよいでしょう。
ただし、薬によっては解熱鎮痛成分以外の成分が一緒に配合されていたり、他の薬との飲み合わせや授乳頻度など気をつけなければいけないこともあるため、市販薬を購入する際は薬剤師にご相談いただくことをおすすめします。また、服用の際は添付文書に記載の使用期間や用法・用量を守り、服用は短期間にとどめ、症状が改善しない場合はかかりつけの産婦人科や内科を受診しましょう。
市販の解熱剤|妊娠中の方
アセトアミノフェンを含む市販の解熱剤を紹介します。
タイレノールA
タイレノールAは、アセトアミノフェンのみを配合した市販薬です。1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。
●用法・用量
・15歳以上の場合、1回1錠、1日3回を限度として使用してください。
・服用間隔は4時間以上あけてください。
・風邪による発熱時は、なるべく空腹時を避けて服用してください。(風邪による発熱以外で痛み止めとして飲むときは空腹時でも飲めます。)
・妊婦または妊娠していると思われる方は、服用前に医師・薬剤師に相談してください。
市販の解熱剤|授乳中の方
アセトアミノフェンやイブプロフェンが配合された市販薬を紹介します。
タイレノールA
タイレノールAは、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。
●用法・用量
・15歳以上の場合、1回1錠、1日3回を限度として使用してください。
・服用間隔は4時間以上あけてください。
・風邪による発熱時は、なるべく空腹時を避けて服用してください。(風邪による発熱以外で痛み止めとして飲むときは空腹時でも飲めます。)
リングルアイビー錠α200
リングルアイビー錠α200は、1錠中にイブプロフェン200mgを含む小型の錠剤タイプの薬です。
●用法・用量
・15歳以上の場合、1回1錠、1日2回を限度として使用してください。(ただし再度症状があらわれた場合は3回目を服用可能)
・服用間隔は4時間以上あけてください。
・なるべく空腹時を避けて服用してください。
・授乳中の方は服用前に医師・薬剤師に相談してください。
リングルアイビーα200
リングルアイビーα200は、1カプセル中にイブプロフェン200mgを含むカプセルタイプの薬です。
●用法・用量
・15歳以上の場合、1回1カプセル、1日2回を限度として使用してください。(ただし再度症状があらわれた場合は3回目を服用可能)
・服用間隔は4時間以上あけてください。
・なるべく空腹時を避けて服用してください。
・授乳中の方は服用前に医師・薬剤師に相談してください。
授乳中の方|解熱剤を飲むタイミングについて
授乳中の場合、血液中の薬の濃度が高い時の授乳はなるべく避ける必要があります。
血液中の薬の濃度は飲んですぐに上がるわけではなく、徐々に血液や母乳に移行していきます。一般的には赤ちゃんへの影響を考慮し、薬の服用直前あるいは直後に授乳をするとよいと言われています。もしくは、赤ちゃんがまとまって寝る時間の直前に服用するのもよいでしょう。
最高濃度に達する時間は薬によって異なるため、服用に適したタイミングは医師や薬剤師による判断が必要です。授乳中の方は服用前に医師・薬剤師にご相談いただくと安心です。
コロナワクチンの副反応に使える?
厚生労働省はワクチン接種後の発熱や痛みに対して、市販の解熱鎮痛成分の中でもアセトアミノフェンであれば妊娠中・
ただし、症状が重い場合や、咳やのどの痛み、鼻水、味覚・嗅覚の消失、息切れなどの症状がみられる場合、数日が経過しても改善しない場合は病院を受診してください。また、予防目的での服用は推奨されていません。
この記事では、アセトアミノフェンを含む市販薬としてタイレノールAを紹介しておりますが、コロナワクチンの副反応に使用するときの注意事項も通常の服用時と同じです。
外部リンク:厚生労働省|ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。
解熱剤の種類
解熱剤とは、頭痛・生理痛や、風邪などによる発熱に使用される薬のことで、薬局や通販サイトでも市販されています。
解熱剤はイブプロフェンなどのNSAIDsと呼ばれるグループとアセトアミノフェンの2つに大きく分けられます。
●NSAIDsとは?
NSAIDsは、非ステロイド性抗炎症薬の略称で、炎症や痛みをおさえる作用がある薬の総称です。痛みや炎症の元となるプロスタグランジンの生成をおさえます。
イブプロフェンの他にも、ロキソプロフェンやエテンザミドなどの解熱鎮痛成分がNSAIDsに分類されます。
イブプロフェン・ロキソプロフェンの特徴
NSAIDsに分類されるイブプロフェンやロキソプロフェンは、アセトアミノフェンよりも解熱鎮痛効果が高いとされています。
ただし、15歳未満の方は服用できず、副作用として胃腸障害があらわれることがあります。
一方で、アセトアミノフェンの市販薬には、15歳未満の方が服用できる小児用の薬もあります。
また、アセトアミノフェンはNSAIDsの特徴のひとつである胃腸障害が起こりにくく、授乳中の方にも使いやすい薬です。NSAIDsはインフルエンザによる発熱には使用できませんが、アセトアミノフェンはインフルエンザによる発熱にも使用できます。
| 特徴 | |
|---|---|
| イブプロフェン ・ ロキソプロフェン |
・市販薬では15歳未満は服用できる薬がない ・アセトアミノフェンに比べて解熱鎮痛効果が強い ・アセトアミノフェンに比べて胃への副作用が出やすい |
| アセトアミノフェン |
・15歳未満も服用できる小児用の薬がある ・NSAIDsに比べて解熱鎮痛効果がおだやか ・NSAIDsに比べて胃への副作用が出にくい |
使用上の注意|治らない場合は病院へ
妊娠中の方が解熱剤の服用を希望する場合は、まずかかりつけ医にご相談いただくことが必要です。
授乳中の方については、母乳へ移行する量が多く、赤ちゃんに影響が出る可能性のある薬を除き、短期間に通常の量を飲む場合であれば使用できるものあります。
ただし薬によっては他の薬との飲み合わせや授乳頻度など気をつけなければいけないこともあるため、市販薬をご購入の際は薬剤師にご相談いただくことをおすすめします。また、服用の際は添付文書に記載の使用期間や用法・用量を守り、症状が改善しない場合はかかりつけの産婦人科や内科を受診しましょう。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル

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