
ゲンタシン®軟膏は陰部に使える?症状別に効く薬のおすすめの選び方も解説


ゲンタシン®はどんな薬?
ゲンタシン*(成分名:ゲンタマイシン硫酸塩)は医療機関で医師から処方される薬です。
ゲンタマイシン硫酸塩の作用により、殺菌効果を発揮します。ただし大部分の嫌気性菌(酸素を嫌う細菌)には抗菌力を示しません。
ゲンタシン*には注射剤・軟膏・クリームの3つの剤形があり、この記事では軟膏タイプ・クリームタイプのゲンタシン*について解説します。
ゲンタシン*の軟膏とクリームは何が違う?
ゲンタシン*軟膏・ゲンタシン*クリームは、有効成分の配合量に違いはありません。主に使い心地や患部の保護力に違いがあり、症状や生活のスタイルに合わせて処方されます。
ゲンタシン*軟膏は市販されている?
ゲンタシン*軟膏の主成分であるゲンタマイシン硫酸塩を成分とした市販薬は販売されていません(2024年10月時点)。
ただし、ゲンタシン*軟膏とは抗生物質の成分は違いますが、同じように抗生物質を含んでいる外用薬(塗り薬)は販売されています。
テラマイシン軟膏は抗生物質オキシテトラサイクリン塩酸塩とポリミキシンB硫酸塩を配合した薬です。
化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)に効果を示します。
ドルマイシン軟膏は、タイプの異なる2種類の抗生物質『コリスチン硫酸塩』と『バシトラシン』が効果をあらわします。
傷・やけどによる化膿の予防と治療、とびひ、毛包炎(毛嚢炎)、おできなど、細菌による皮膚の炎症に使用できます。
■市販薬を使用するときの注意点
ひどいただれや赤み、傷などがあるときは、市販薬を使用せずに病院を受診してください。
また、市販薬を使用した後に、かゆみやかぶれ、発疹などの症状があらわれた場合は市販薬の使用を中止して医師にご相談ください。
ゲンタシン*の効果と副作用
ゲンタシン*の効果
ゲンタシン*は細菌の増殖を防ぎ、部分的な感染症を治療します。主に皮膚の感染症によって化膿した部分、毛包炎、とびひ、びらんなどの治療に用いられます。
また、あせも、すり傷、切り傷、やけどの傷口からの細菌感染を予防するために処方されることもあります。
ただし、ゲンタシン*にはかゆみや炎症を抑える効果はないので、皮膚炎からの細菌感染予防に使用する場合は、多くの場合がかゆみ止めや炎症止めと合わせて処方されます。
〈適応菌種〉
ゲンタマイシン*に感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属(肺炎球菌を除く),大腸菌,クレブシエラ属,エンテロバクター属, プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属, 緑膿菌〈適応症〉
表在性皮膚感染症,慢性膿皮症,びらん・潰瘍の二次感染
ゲンタシン*の副作用
ゲンタシン*は、比較的副作用の現れにくい薬ですが、副作用が全く現れないというわけではありません。
主な副作用には発疹などが報告されています。
また、まれに腎障害や難聴の副作用が出るおそれがあるため、長期間の連用を避けてください。もし、発疹・音が遠い・聞こえにくいなどの症状が出た場合は使用を中止して、医師の診療を受けてください。
正しい使い方|陰部や顔への使用について
ゲンタシン*は1日1~数回、患部に少し広めに塗るか、あるいはガーゼなどにのばしたものを患部に貼り付けます。
耐性菌(ゲンタシン*が効かない菌)を作らないために、症状が緩和されてきたからといって医師の指示なしに使用を中止しないでください。
また、ゲンタシン*をはじめとするアミノグリコシド系の抗生物質やバシトラシンに対して過敏症を起こしたことのある人はゲンタシン*を使用することができないため注意してください。
成分名を明確に覚えていない場合は、過敏症を起こした時の症状や覚えている限りの薬の特徴などを担当の医師に伝えて、対応してもらえるようにしましょう。
陰部に使用する場合
ゲンタシン*は、医師の指示があれば陰部(デリケートゾーン)にも使うことができます。下着が汚れるのが気になる場合は、ガーゼなどを使用すると良いでしょう。
顔に使用する場合
ゲンタシン*は顔や唇にも使う事ができます。ただし、目の周りに使用する場合は目に入らないように注意しましょう。もし入った場合はすぐに水で洗い流してください。
■性器ヘルペスへの使用について
ゲンタシン*軟膏の効能効果に性器ヘルペスはありません。性器ヘルペスの疑いがある場合は病院(女性は婦人科、男性は泌尿器など)を受診しましょう。
ニキビ・ヘルペス・水虫などには使える?
ゲンタシン*には抗菌作用があるため、菌などの感染による皮膚トラブルに使ってしまいがちですが、症状によってはゲンタシン*が効かない菌やウイルスが原因の場合があります。
症状ごとにゲンタシン*の使用可否を解説します。
ニキビへの効果
ゲンタシン*はニキビの原因菌である「アクネ菌」には効果を発揮しないため、ニキビへの効果は期待できません。
ただし、ニキビが化膿してしまっている場合や、皮膚に細菌が感染して起こる毛嚢炎(もうのうえん)では、細菌感染への治療としてゲンタシン*が処方されることがあります。
毛嚢炎は見た目がニキビに似ているため、「ニキビにゲンタシン*が処方された」と勘違いされてしまうことも少なくありません。
ニキビを治療したい場合は皮膚科を受診するか、アクネ菌を殺菌する成分が配合された市販薬を選びましょう。
ペアアクネクリームW
ペアアクネクリームWは抗炎症成分イブプロフェンピコノールと殺菌成分イソプロピルメチルフェノールという2種類の有効成分によってニキビをもとから治してくれます。
肌に乗せると透明になるので、朝のメイク前にも使用できます。
■効能効果
| 吹き出物、ニキビ | 
■有効成分
| イブプロフェンピコノール(IPPN)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP) | 
メンソレータム アクネス25 メディカルクリームEXa
メンソレータム アクネス25 メディカルクリームEXa はイソプロピルメチルフェノールとイブプロフェンピコノールが配合された塗り薬です。
イソプロピルメチルフェノールがニキビの原因菌であるアクネ菌を殺菌し、イブプロフェンピコノールが赤ニキビの炎症をおさえます。またアラントインが傷ついた皮膚の修復を助けます。肌にのばすと透明になるクリームのため、塗った上からメイクをすることもできます。
■効能効果
| ニキビ、吹き出物 | 
■有効成分
| イブプロフェンピコノール、イソプロピルメチルフェノール、アラントイン | 
ニキビに効く市販薬については、以下の記事でも詳しく解説しています。
口唇ヘルペスへの効果
口唇ヘルペスは「細菌」ではなく「ウイルス」によって起こるものです。細菌感染の治療薬であるゲンタシン*では口唇ヘルペスに効果がありません。
初めて口唇ヘルペスになった場合には、皮膚科を受診する必要があります。
再発の口唇ヘルペスの場合には薬局やドラッグストアでお薬を購入することが可能です。
ヘルペシアクリーム
抗ウイルス成分アシクロビルが配合された薬です。塗り広げやすいクリームタイプで、軟膏特有のテカリが気になる方におすすめです。
妊婦または妊娠していると思われる方、授乳中の方は使用前に医師または薬剤師に相談してください。
■効能効果
| 口唇ヘルペスの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る) | 
■有効成分
| アシクロビル | 
アラセナS
アラセナSは、抗ウイルス成分ビダラビンが配合されています。皮膚保護機能が高い軟膏タイプです。
妊婦または妊娠していると思われる方、授乳中の方は使用前に医師または薬剤師に相談してください。
■効能効果
| 口唇ヘルペスの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る) | 
■有効成分
| ビダラビン | 
口唇ヘルペスに使える市販薬について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
水虫・たむしへの効果
水虫やたむしの原因である白癬菌は「細菌」ではなく「真菌」というカビの仲間です。細菌感染の治療薬であるゲンタシン*では真菌に効果がありません。
水虫やたむしを治療したい場合は皮膚科を受診するか、原因菌である「白癬菌(はくせんきん)」に効果を発揮する市販薬を使用しましょう。
ハイミズムシールEXクリーム
ハイミズムシールEXクリームは抗真菌成分テルビナフィン塩酸塩をはじめとする4種類の有効成分を配合する水虫・たむし治療薬です。
妊婦または妊娠していると思われる方は使用前に医師または薬剤師に相談してください。
■効能効果
| みずむし、いんきんたむし、ぜにたむし | 
■有効成分
| テルビナフィン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール | 
ダマリングランデX液
ダマリングランデX液は、水虫に効く抗真菌成分に加え、かゆみ止め成分と殺菌成分、抗炎症成分、清涼感をもたらす成分が配合された水虫薬です。
液体タイプは、さらりとした使い心地が特徴で、カサカサと乾燥している水虫におすすめです。
妊婦または妊娠していると思われる方は使用前に医師または薬剤師に相談してください。
■効能効果
| 水虫、いんきんたむし、ぜにたむし | 
■有効成分
| テルビナフィン塩酸塩、イソプロピルメチルフェノール、リドカイン、グリチルレチン酸、l-メントール | 
水虫に使える市販薬について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
カンジダへの効果
カンジダも水虫と同様に「細菌」ではなく「真菌」の仲間です。細菌感染の治療薬であるゲンタシン*では真菌に効果がありません。
カンジダを治療したい場合は医療機関を受診し、適切な薬を処方してもらいましょう。
過去に医師より膣カンジダ症の診断を受けた事がある方は、市販薬で治療を行うことができます。
| 症状がある部位 | 適切な薬 | 
| 腟のみ | メディトリート(腟坐剤)など | 
| 腟・外陰 | メディトリート(腟坐剤) メディトリートクリーム(外陰用クリーム)など | 
| 外陰のみ | メディトリートクリーム(外陰用クリーム)など ※膣内に感染しているおそれがあるため膣坐剤との併用が好ましい | 
メディトリート
抗真菌薬ミコナゾール硝酸塩を主成分として膣内に直接挿入し使用する薬です。1日1回寝る前に使います。腟カンジダの再発によるデリケート部位のおりものやかゆみに効果を発揮します。
妊婦または妊娠していると思われる方は使用しないでください。授乳中の方は使用前に医師または薬剤師に相談してください。
■効能効果
| 腟カンジダの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る) | 
■有効成分
| ミコナゾール硝酸塩 | 
メディトリートクリーム
抗真菌薬ミコナゾール硝酸塩を主成分とする外陰部に塗布するクリームタイプの塗り薬です。
1日2~3回使います。腟カンジダの再発による、発疹を伴う外陰部のかゆみに効果を発揮します。
妊婦または妊娠していると思われる方は使用しないでください。授乳中の方は使用前に医師または薬剤師に相談してください。
■効能効果
| 腟カンジダの再発による、発疹を伴う外陰部のかゆみ(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る) ただし、腟症状(おりもの、熱感等)を伴う場合は、必ず腟剤(腟に挿入する薬)を併用してください | 
■有効成分
| ミコナゾール硝酸塩 | 
膣カンジダに使える市販薬の使い方について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
まとめ
ゲンタシン*は切り傷や化膿などに使うことができます。しかし、先にあげたように症状の原因によっては合わない場合もあります。間違った薬を使用していると、その間に症状が悪化してしまうことも考えられます。
症状の見極めが難しい、どの薬が自分に合うかわからない、という時には病院を受診するか、薬剤師に相談をして適切な治療を行うようにしましょう。
※ゲンタシンは高田製薬株式会社の登録商標です。


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