ボルタレン®︎錠・ボルタレン®︎SRカプセルとはどんな薬か?
ボルタレン*とは
ボルタレン*(成分名:ジクロフェナクナトリウム)は炎症をおさえ、腫れや痛みなどの症状を緩和させる解熱鎮痛薬です。
ボルタレン*の成分「ジクロフェナクナトリウム」は、痛みを増強し炎症を引き起こす原因物質プロスタグランジンが、体内で産生されるのをおさえるNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)という種類の成分です。
そのほかのNSAIDsには、イブプロフェン・ロキソプロフェンナトリウム・インドメタシンなどが知られています。
ボルタレン*の剤形ごとの効能・効果
ボルタレン*にはさまざまな剤形があります。
こちらで説明するのは飲み薬であるボルタレン*錠とボルタレン*SRカプセルですが、ほかにもボルタレン*には座薬やローション、ゲルなどのさまざまな剤形があり、それぞれ効能・効果に違いがあります。
ボルタレン*錠
効能・効果
1.下記の疾患ならびに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、歯痛2. 手術ならびに抜歯後の鎮痛・消炎
3. 下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)ボルタレン錠25mg添付文書
ボルタレン*SRカプセル
効能・効果
下記の疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群
ボルタレン*サポ(座剤)
効能・効果
◯下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、後陣痛◯手術後の鎮痛・消炎
◯他の解熱剤では効果が期待できないか、あるいは、他の解熱剤の投与が不可能な場合の急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の緊急解熱
ボルタレン*ゲル・ボルタレン*ローション・ボルタレン*テープ
効能・効果
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛
ボルタレン*の飲み薬は頭痛や生理痛には効くの?
【頭痛】
ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルの添付文書の「効能・効果」の欄には、「頭痛」の記載はありません。
ただし、医師の判断により、ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルを片頭痛や筋収縮性頭痛(緊張型頭痛)に対して処方されることがあります。
【生理痛】
生理痛が特にひどく、日常生活に支障をきたすものは「月経困難症」と呼ばれます。
ボルタレン*錠は月経困難症に効果があり、医師から処方されることがあります。
ボルタレン*錠とボルタレン*SRカプセルの違い
ボルタレン*錠とボルタレン*SRカプセルには、錠剤とカプセルという以外にも作用の持続時間に大きな違いがあります。
ボルタレン*SRカプセルは、通常のボルタレン*錠よりも、持続時間を延ばすように製造された薬です。
ボルタレン*錠
使用後、血液中のジクロフェナクナトリウムの濃度が最高の値に達するまでは、3時間前後と比較的早いのが特徴です。作用の持続時間は9時間前後(6〜10時間ほど)だと考えられます。
ボルタレン*SRカプセル
ボルタレン*SRカプセルは作用の発現が早い速溶性顆粒と、作用の発現が遅い徐放性顆粒を混合した「徐放性製剤」です。
これにより、ボルタレン*錠に比べ作用持続時間が長いというメリットがあります。
腰痛や関節リウマチに使用する場合、ボルタレン*錠が1日3回の使用を基本とするのに対して、ボルタレン*SRカプセルは1日2回の使用で済みます。
ボルタレン*の主な副作用!眠気はでる?
ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルの主な副作用
どんな薬であっても副作用はあります。
ボルタレン*の主な副作用は、食欲不振・胃痛・吐き気などの消化器症状です。
市販後の調査ではそれぞれ、ボルタレン*錠では6.63%、ボルタレン*SRカプセルでは2.48%の方に何らかの副作用が認められています。
副作用を避けるためには、医師の指示通り使用することが大切で、自宅にボルタレン*が余っていても、自己判断での使用は避けましょう。
ボルタレン*で眠気はでる?
ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルでは、眠気の副作用も報告されています。
ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルどちらでも1%未満の発生頻度です。
もし、ボルタレン*を使用していて、眠気・めまい・かすみ目などが起こった場合は、自動車の運転などの危険をともなう機械の操作を中止しましょう。
眠気・めまいなどがひどい方や、どうしても自動車の運転など危険をともなう作業が必要な方は医師に相談しましょう。
使用上の注意|飲み合わせ・妊娠中・授乳中の使用について
飲み合わせ
【トリアムテレン】
利尿薬であるトリアムテレン(トリテレン)を使用している方が、ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルを使用することは禁止されています。
ボルタレン*と使い合わせることにより、トリアムテレンの腎臓への障害を増大させてしまうおそれがあり、急性腎障害の原因になると考えられています。
そのほか、利尿剤・降圧剤・抗血栓剤・アスピリンなど多くの薬剤との飲み合わせに注意が必要となっています。他になにか薬を服用している場合には、受診の際に医師に相談しておきましょう。
【アルコール】
添付文書ではアルコールとの併用に関する注意は特にされていません。
ただし、薬の成分の吸収や代謝に影響が出てしまうことは考えられ、過度な飲酒は薬の効果を落としたり、副作用を出やすくしたりする原因になるおそれがあります。
飲酒は控えめにしましょう。
【ロキソニン*1】
ボルタレン*とロキソニン*1はどちらもNSAIDsで、同じグループの解熱鎮痛剤です。
ボルタレン*とロキソニン*1を一緒に服用してしまうと、相互に胃腸障害などの副作用が増強されるおそれがあります。
ボルタレン*を処方された場合、自宅にロキソニン*1が残っていても、ボルタレン*使用中は服用しないようにしてください。
また、市販のロキソニン*1Sなどの解熱鎮痛薬も同様です。
そのほか、市販の総合風邪薬も成分に解熱鎮痛薬が配合されているものがほとんどのため、使い合わせには注意が必要です。
妊娠中・授乳中の使用について
ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルは、妊婦中または妊娠している可能性のある方の使用は禁止されています。
ボルタレン*の成分であるジクロフェナクナトリウムは血液胎盤関門を通過するものと考えられ、動脈管収縮・閉鎖、徐脈、羊水過少が起きたとの報告があり、赤ちゃんの安全性面から使用が禁止となっています。
また、授乳中の使用に関しては医師の判断が必要となります。
授乳中の方は医療機関を受診して、医師の指示に従って薬を使用しましょう。
子どもの使用について
ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルを子どもに使用するかどうかには、医師の判断が必要になります。
症状・年齢によって使用する量が変わり、場合によってはボルタレン*が適さないケースもあるため、自宅にボルタレンが余っていても自己判断で使用しないでください。
おわりに
ボルタレン*錠・ボルタレン*SRカプセルは医師の指示を守って使用すれば、優れた解熱鎮痛作用を示す薬です。
また、ボルタレン*錠とボルタレン*SRカプセルでは使用目的・作用持続時間などにも違いがあるため、使い方が異なります。
自宅に余っていても、自己判断での使用は絶対にやめましょう。
※ボルタレンはノバルティス アクチエンゲゼルシャフトの登録商標です。
※1ロキソニンは第一三共株式会社の登録商標です。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル
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