エピペン®︎は保険適用される?価格や副作用を解説
エピペン*とは
エピペン*はアナフィラキシー反応が現れたとき、医師の治療を受けるまでの間に症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐために使われる補助注射剤です。有効成分はアドレナリンで、筋肉注射をすることによって症状を緩和します。
アナフィラキシーの進行が急激な場合、アナフィラキシーの発現から心停止までの時間はわずか30分とされており、手遅れになることを防ぐために開発されました。
しかしながら、あくまでも補助として使用する注射剤のため、注射後に症状が回復したとしても必ず医師による診察を受ける必要があります。注射後はすぐに病院を受診しましょう。
また、エピペン*は医師からの処方が必要な医薬品ですが、医師であれば誰でも処方できるというわけではありません。講習を受けてエピペン*の処方医登録をした医師だけが、エピペン*を処方することができます。
エピペン*の効能・効果
蜂毒・食物・薬物などのアレルギー原因物質によって、全身性にアレルギー反応が生じ、生命に危機を与える可能性がある病状をアナフィラキシーといいます。アナフィラキシーに加えて、血圧低下や意識障害をともなう場合をアナフィラキシーショックといいます。
エピペン*は、アナフィラキシー反応を一時的に緩和し、ショックを防ぐ補助治療として使われます。
有効成分であるアドレナリンは、心筋の収縮力を高め心拍数を増加させる作用や、血圧をあげる作用、気管支を拡げて呼吸をしやすくする作用などがあります。また、気道粘膜のむくみを改善する作用があります。
エピペン*の使い方
エピペン*の使用量は年齢や体重をもとに決定されます。
通常、成人には0.3mg製剤を、小児には体重によって0.15mg製剤または0.3mg製剤を筋肉注射で使用します。
エピペン*の詳しい使い方に関しては、必ず医師からの指示に従ってください。適切に使用できるように指導を受けることが大切です。
エピペン*の製造元であるヴィアトリス製薬株式会社のエピペンのページにも、詳しい使い方の説明や動画が載っています。
エピペン*講習会と練習用トレーナー
安全な使用のために各機関がエピペンの講習会を開いています。近くで開催されるものがあれば講習会に参加してみると良いでしょう。
また、実際にエピペン*を正しく使用できるように、エピペン*が処方されると針や薬液がついていない練習用トレーナーが付属しています。いざというときに確実にエピペン*を注射できるように、本人や周りの人はトレーナーを使って継続的に練習しておきましょう。
エピペン*を使用すべきタイミングと症状
下記のような症状が1つでもみられたら、できるだけ早くエピペン*を使用し、救急車を呼んでください。
・繰り返し吐き続ける
・持続する我慢できないほどの腹痛
・のどや胸が締めつけられる
・声がかすれる
・犬が吠えるような咳や持続する強い咳こみ
・ゼーゼーする呼吸や息苦しさ
・唇や爪が青白い
・脈がふれにくかったり不規則な脈
・尿や便をもらす
・意識がもうろうとしている
・ぐったりしている
エピペン*の価格と保険適用について
エピペン*の価格(薬価)は0.15mg製剤が9,673円、0.3mg製剤が10,203円です。(※2025年5月)
通常、成人には0.3mg製剤を使用し、小児には体重に応じて0.15mg製剤もしくは0.3mg製剤を使用します。
エピペン*は2011年9月から保険適用となったため、保険診療での処方が可能となっています。アナフィラキシーの既往歴がある方、またはアナフィラキシーの危険性がある方が保険の対象ですが、実際には医師の判断となります。
エピペン*の副作用
主な副作用として、動悸・めまい・頭痛・不安・吐き気・嘔吐・発汗などがあります。
頻度は少ないですが重大な副作用として、肺水腫(初期症状として異常な血圧上昇)・呼吸困難・心停止(初期症状として頻脈・不整脈・動悸・胸が苦しい状態)が現れる可能性があります。使用後に異常を感じた場合は、すぐに病院を受診してください。
エピペン*は飛行機内に持ち込める?
医師から処方されているエピペン*は、機内への持ち込みが可能です。
保安検査の際に自己注射器(針)であることを知らせてください。空港の保安検査が通りやすくなる可能性があるため処方箋や主治医の証明書などを携帯すると良いでしょう。詳しくは、利用する航空会社の規定をご確認ください。
なお、海外の空港においては、国によって基準が異なる場合があるため、出発前に各国大使館などの関係機関へ問い合わせて、持ち込みが可能かどうかの確認しておくことをおすすめします。
エピペン*の使用期限と廃棄方法
エピペン*には使用期限があり、エピペン*注射器本体のラベルに表示されています。使用期限切れや使用済みのエピペン*は医療機関にて医療廃棄物として廃棄します。
エピペン*には使用期限切れを防ぐための「重要なお知らせ通知プログラム」があります。エピペン*を処方されたら、必ず製品に同梱されているハガキかWebで登録をしてください。使用期限の約1か月前に使用期限切れを知らせる連絡が入ります。
処方後に使用しなかった場合は、未使用のエピペン*を処方を受けた医療機関に持って行き、新たにエピペン*の処方を受けて再度登録をする必要があります。
また、使用した場合も使用後に病院を受診した際に、医師に使用済みのエピペン*を渡してください。
おわりに
エピペン*は必ず医師の指示に従って使用しましょう。疑問点や不安点が出た場合は、処方した医師や薬剤師に確認を行い、自己判断での使用は避けましょう。
いつでも使えるように自宅では手の届くところに置き、外出時には携帯しましょう。
エピペン*の有効成分であるアドレナリンは光によって分解しやすいため、携帯用ケースにいれて保存・携帯してください。
エピペン*は15~30℃で保存することが望ましいため、日光の当たる高温の場所や夏場の車のダッシュボードの中などに放置しないように気をつけましょう。また、冷蔵庫の中などの冷所には置かないでください。そのほか、幼児の手の届かないところに保管するように注意しましょう。
注射器の窓から見える薬液が変色していたり、沈殿物がある場合は使用せず、新しいエピペン*の処方を受けてください。
※エピペンはマイラン・インコーポレイテッドの登録商標です。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル
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