花粉症チャレンジプログラム

第7回:知らないと悪化する花粉症の“全身症状”とは?見落としがちな症状と正しいケア
花粉症というと鼻水やくしゃみのイメージが強いですが、実際には喉のかゆみ、咳、肌荒れ、だるさ、眠気など、全身にさまざまな不調を引き起こすことがあります。花粉によるアレルギー反応は鼻や目にとどまらず、日常生活に支障をきたすことも。今回は、花粉症がもたらす意外な症状の理由と、部位ごとの治療・対処法をまとめてわかりやすく解説します。
はじめに ― 花粉症は鼻水だけの病気じゃない
花粉症というと、鼻水やくしゃみ、目のかゆみといった症状が思い浮かびます。しかし実際には、花粉症は鼻や目に限らず、口や肌、気管支、頭痛、さらには全身の倦怠感にまで影響を与えることがある、いわば“全身疾患”とも言えます。
花粉症は全身に影響する
花粉が鼻や目の粘膜に触れると、免疫細胞が過剰に反応し、ヒスタミンなどの化学物質が放出されます。これが鼻づまりやくしゃみといった花粉症に典型的なアレルギー症状を引き起こします。しかし、アレルギーに伴う免疫の反応は、鼻や目だけではなく、全身に影響を与えてしまうのです。
花粉症が引き起こす“意外な症状”とは
アレルギー反応で起きる体の変化
花粉症によるアレルギー反応は、鼻や目以外の場所にも影響を与えます。
鼻水がのどに流れ込むことで咳が増えたり、気道自体が敏感になって喘息が悪化したりすることもあります。
皮膚のバリア機能が弱まり、顔や首に赤みやかゆみ、肌荒れなどが出ることもあります。
また、鼻詰まりで呼吸が浅くて速くなることや、花粉症の薬の副作用によって、眠気やだるさ、集中力の低下といった症状が表れることもあります。花粉症の季節になると仕事や勉強に集中しづらくなる人が多いのは、これらの影響が大きいと考えられています。
症状にあわせた薬の考え方
鼻の症状が中心なら抗ヒスタミン薬とステロイド点鼻薬を、目の症状がひどい時には点眼薬を使用するなど、「症状が出ている場所」に応じて薬を使用することが基本となります。
咳が続く場合には鼻だけでなく気道にも炎症が及んでいるため、吸入薬が必要になることもあります。
肌のかゆみや赤みが強い場合は、保湿を徹底しながら外用薬を併用することで治療します。
鼻水や目のかゆみだけでなく、なにか気になる症状がある場合には医師に相談するようにしましょう。
花粉症と口のかゆみ―花粉症で口のアレルギー?
花粉症の人が特定の果物や野菜を食べた際に、口の中や唇、喉にアレルギー症状(かゆみ、腫れ、ピリピリ感など)が現れる場合には、口腔アレルギー症候群(OAS)の可能性もあります。OASは、最近では花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)と呼ばれることもあります。
果物や大豆でアレルギー症状が出ることも
花粉に含まれるアレルゲンと、特定の果物や野菜、大豆に含まれるタンパク質の一部の構造が非常によく似ているため、身体が“同じもの”だと誤認してアレルギー反応を起こすことがあります。
代表的なのが、シラカンバやハンノキの花粉とバラ科の果物の組み合わせです。具体的には、シラカンバやハンノキの花粉にアレルギーがある人が、りんご、桃、さくらんぼなどを食べたときに口の中や唇、喉にアレルギー症状(かゆみ、腫れ、ピリピリ感など)が現れる場合があります。
他の季節の花粉症の場合、メロンやスイカ(ウリ科)、キウイフルーツ(マタタビ科)で同様の症状が出る場合もあります。
何か特定の果物や野菜を食べて異変を感じたら、アレルギー学会の専門医のいる医療機関に相談しましょう。医師の指示のもと、関連する食物を控えたほうがよい場合があります。アレルギー検査の結果と、症状とを照らし合わせて総合的に判断する必要があります。
対処法について
OASの症状は、果物や野菜を加熱調理することで軽減されることもあります。原因となるアレルゲンは熱に弱いものが多く、生のまま食べるよりも、コンポートにしたりジャムにするなど、アレルゲンを変性させる工夫が有効な場合があります。
一方で、すりおろしたりジュースにするとアレルゲンはそのまま残る上に、粘膜に触れやすくなるため症状が出やすくなります。
抗ヒスタミン薬を服用することで口のかゆみなどが軽くなることもありますが、アレルゲンを避けることが基本です。自己判断することは危険なため、症状が強い場合や、何に反応しているかわからない場合はまずはアレルギー専門医へ相談するのが安心です。
花粉症と咳 ― 鼻と気管は繋がっている
鼻と気管はひと続き
花粉症というと鼻や目の症状を思い浮かべますが、実は 鼻・のど・気管はひと続きの「気道」です。 そのため、鼻で起きたアレルギー反応がのどや気管にも影響するのは、ごく自然なことです。 この考え方は “one airway, one disease(気道はひとつ、病気もひとつ)” と呼ばれています。
鼻の炎症がのどへ流れる ― 後鼻漏
花粉症で鼻が炎症を起こすと、鼻水がのどへ流れ込む「後鼻漏」が起こりやすくなります。
この鼻水がのどを刺激し、痰の絡んだ咳が続く原因になります。 さらに、鼻づまりで口呼吸が増えると、乾燥した空気が直接のどに触れ、咳が出やすくなることもあります。
気管が敏感になる ― 気道過敏性
アレルギー反応は、気管にも影響します。 花粉の季節には気管が敏感になり、咳が増えたり、喘息が悪化したりすることがあります。 これは後鼻漏とは別のメカニズムで、気管そのものが反応しやすくなる状態です。
対処法について
咳や喘息が気になる場合は、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を用いて気道の炎症を抑えることもあります。咳がでている場合には鼻の治療だけでは改善しないことも多いため、鼻と気道の両方を同時にケアする必要があります。
花粉症と副鼻腔炎 ― 黄ばみ鼻水や頭痛の原因に
花粉症で副鼻腔炎になりやすいわけ
花粉症で鼻の粘膜に炎症が続くことで副鼻腔にも炎症が起き、「副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)」へ進展することがあります。
黄色や緑色の粘り気のある鼻水、ほおや額の重み、頭痛、臭いを感じにくいなどといった症状が出る場合は、花粉症が引き金になっている可能性があります。
治療の選択肢
副鼻腔炎が軽度であれば、ステロイド点鼻薬や抗ヒスタミン薬で鼻の炎症を落ち着かせることで改善が期待できます。
しかし、細菌感染を伴う副鼻腔炎では抗生物質が必要になるケースもあります。長引く鼻詰まりや黄色い鼻水が続く場合は、早めに診断を受けることが大切です。
花粉症と肌荒れ ― かゆみ・赤みが出るわけ
花粉が肌を刺激して炎症が起きるしくみ
花粉が肌に付着すると、バリア機能が弱っている部分を中心に炎症が起き、赤み・かゆみなどを引き起こします。特に、アトピー性皮膚炎の人や肌が敏感な人は、花粉による刺激の影響を受けやすいです。
治療の選択肢
肌荒れが起きているときは、まずバリア機能を整えるために保湿を徹底することが重要です。
加えて、かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬で症状を抑えるほか、赤みや炎症にはステロイド外用薬を短期間使うこともあります。肌の状態を見ながら適切な薬を選ぶことがポイントとなります。
花粉症と全身症状―だるさ・眠気・集中力の低下はなぜ起こる?
鼻詰まりによる口呼吸
鼻詰まりがひどいと、口呼吸となり、浅く速い呼吸になりがちです。すると、脳の血流低下をきたすため、脳が酸欠になったような状態に陥り、眠気や集中力の低下を引き起こします。
薬の副作用が原因のことも
一部の抗ヒスタミン薬は眠気を起こしやすいため、薬の影響で日中のパフォーマンスが低下することもあります。効果と副作用の出方には個人差があるため、治療薬の組み合わせを変えて個別にアレンジすることが欠かせません。
治療と対策
眠気がつらい場合は、鼻詰まりの治療を強化したり、第二世代抗ヒスタミン薬の中でも、眠くなりにくい薬への変更が有効です。最近では仕事中や運転時でも使いやすい薬が増えており、症状と生活スタイルに合わせた薬選びが可能になっています。
同じ病院で治療を続けることで、副作用の有無や効果を相談しながら自分にあった薬を探すことができます。細かな調節を希望される場合には、内科のアレルギー専門医に受診することをおすすめします。
黄砂・PM2.5にご用心
近年、黄砂やPM2.5などの大気汚染物質が、アレルギー症状を悪化させると報告されています。これらの微粒子が花粉に付着したり、肌や気道の粘膜を刺激したりすることで、症状が強く引き起こされると考えられています。
花粉情報だけでなく、PM2.5や黄砂の情報にも注意しましょう。濃度が高い日は外出を控える、マスクを着用する、帰宅後は衣類や髪についた花粉やほこりを落とすなどの対策が、症状の悪化予防につながります。
まとめ ― 花粉症は“全身ケア”が大切
症状に合わせた治療薬の使い分けがポイント
花粉症は単なる鼻炎症状だけではなく、口・肌・呼吸器・脳など全身に影響を及ぼすこともあります。全体像を把握した上で、症状の出ている部位に合わせて薬を組み合わせることで、つらい時期を快適に過ごすことができます。
東京大学医学部医学科卒業
東京大学大学院医学系研究科内科学専攻博士課程修了
秋葉原駅クリニック
生活のなかで実践できるセルフケアの開拓や、患者さんの不安を軽くできる、やさしい医療を目指している。
【資格】
•日本アレルギー学会専門医
•日本内科学会総合内科専門医
【著書】
•これ、もしかしてアレルギー?
【連載】
•ポスタルくらぶ 「欧先生の診察室」
昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル
困ったときは早めに医師へ ― オンライン診療も活用できます
市販薬で対応しきれない症状や、咳・肌荒れ・副鼻腔炎などが長引く場合は、早めに医師へ相談することが大切です。
症状が強いときや呼吸が苦しいときなどは、直接受診した方が安心です。一方で、すぐに受診できないときや、まずは相談だけしたい場合にはオンライン診療も役立ちます。オンライン診療なら、自宅から医師に相談できるため、状況を見極める“つなぎ”として利用してもよいでしょう。
ミナカラ オンライン診療は自宅からスマートフォンやパソコンで医師に相談でき、診察後は処方された薬を自宅まで届けてもらうことも可能です。
【オンライン診療の流れ】
1 自分の症状にあった診療科を予約する
2 医師による診察、薬剤師による服薬指導をビデオ通話で受ける(服薬指導は薬を配送で受け取る場合のみ)
3 提携薬局から自宅に薬が届く、または近くの薬局で受け取る
●お薬は配送、または、お近くの薬局での受け取りを選ぶことが可能
●診察の結果、医師の判断により希望のお薬が処方されないこともあります。
●オンライン診療についてのお問い合わせはこちら:https://e-clinic.minacolor.com/pages/contact
まとめ
花粉症対策の基本は、「花粉が飛びはじめる前に」「症状がなくても毎日続ける」「花粉が飛び終わるまで服用を続ける」の3ステップです。
忙しい方でもオンライン診療を活用すれば、自宅で医師に相談しながら無理なく継続ケアが可能です。今年の花粉シーズンは、「先手の対策」で快適に乗り切りましょう。
次回は、舌下免疫療法について知ろう!をお伝えします。
ご利用に当たっての注意事項
- 掲載している情報は、セルフメディケーション・データベースセンターから提供されたものです。
- 適正に使用したにもかかわらず副作用などの健康被害が発生した場合は(独)医薬品医療機器総合機構(TEL:0120-149-931)にご相談ください。
- より詳細な情報を望まれる場合は、購入された薬局・薬店の薬剤師におたずねください。
- 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラ及び、セルフメディケーション・データベースセンターではその賠償の責任を一切負わないものとします。
掲載情報について
掲載している各種情報は、株式会社ミナカラが調査した情報をもとにしています。出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。 掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラではその賠償の責任を一切負わないものとします。情報に誤りがある場合には、お手数ですが株式会社ミナカラまでご連絡をいただけますようお願いいたします。 使用されている写真はイメージです。実際の内容と異なる場合があります。

