ミナカラ
妊娠・授乳中にイブ®︎A錠EXは使える?イブプロフェンが与える影響について
最終更新日
2025.04.03
薬剤師監修日
2025.04.03

妊娠・授乳中にイブ®︎A錠EXは使える?イブプロフェンが与える影響について

妊娠中・授乳中は胎児や赤ちゃんへの影響から、飲める薬が制限されます。今回は、市販薬のイブ*A錠EXについて妊婦さん・授乳中の方への影響を解説します。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする
  • はてなブックマークでブックマークする
  • noteで書く
編集
小寺 瑶
監修薬剤師
ミナカラ薬局薬剤師小寺 瑶

頭痛・歯痛などのツラい痛みや発熱は、妊娠中であろうと、授乳中であろうと起こるものです。
妊娠中や授乳中は、自分の体と同じくらいに胎児や赤ちゃんへの影響を心配する時期ですから、解熱鎮痛薬の使用も慎重にならざるをえません。

自分の不調と、胎児や赤ちゃんへの心配とで頭を悩ます方も多いかと思いますが、今回は「イブ*A錠EX」の、妊娠中や授乳中の使用について解説します。

イブ*A錠EX:妊娠中・授乳中の使用について

イブ*A錠EXの妊娠中・授乳中の使用について、製薬会社の添付文書には次のように明記されています。

・出産予定日12週以内の妊婦:使用できません
・妊婦又は妊娠していると思われる人:医師や薬剤師に相談してください
・授乳中の人:医師や薬剤師に相談してください

副作用やトラブルを避けるためにも、服用にあたっては使用上の注意を守ることが大切です。
必ず担当医に相談して、指示を守ってください。

妊娠と薬の関係

① 妊娠中は、薬の代謝が変化する

妊娠中は、女性ホルモンの変化によって体にさまざまな変化がおこります。
薬の効果への影響としては、具体的に

 

●胃のphが上昇するため、薬が溶けスピードなどに影響を与える
●胃や腸などの動きがゆっくりになり、薬の吸収が遅れる
●嘔吐によって薬の吸収率が下がる
●体内の血液量が増えて、薬の血中濃度が下がる
●薬を代謝する酵素の働きが下がり、副作用が出やすくなる 

 

などが挙げられます。

妊娠中はいつもと薬の効き目が違って現れる可能性があるため、たとえこれまで服用経験がある薬でも慎重になる必要があります。

② 妊婦が服用した薬は、胎盤を通過して胎児に影響を与える

イブ*A錠EXの中心的な解熱鎮痛成分はイブプロフェンです。
痛みや熱の原因物質であるプロスタグランジンの体内での合成を抑え、鎮痛、解熱効果を発揮します。

市販薬のイブプロフェンは15歳から服用できますが、「プロスタグランジンの合成を阻害」というイブプロフェンの作用が、逆に次のような副作用も生み出します。

 

●胎児の動脈管収縮や閉鎖
●新生児持続性肺高血圧症
●持続性胎児循環症 など

 

お母さんのお腹の中にいる胎児は、まだ肺で呼吸をしていません。
このため血液は肺を通らず、右心室から直接大動脈へと流れるという、胎児ならではの特別な循環をしています。この血液循環のための特別な管が「動脈管」です。
出生後、赤ちゃんはすぐに肺呼吸を始めますので、動脈管は役目を終えて半日ほどで自然に閉鎖します。しかし、まだ母体の中にいるうちに動脈管が収縮したり閉鎖すると、胎児の血液循環に重大な影響をもたらします。

イブプロフェンなど、プロスタグランジンの合成阻害によって解熱鎮痛作用をもたらす成分は、胎盤を通過して胎児の動脈管などに何らかの影響を与える可能性があると考えられています。

授乳と薬の関係

母乳は、乳腺中を流れる血液から作られます。

薬の成分は血液によって全身の組織にいきわたりますので、乳腺の中にも流れ込み、その結果わずかながら母乳にも含まれてしまいます。一方で、乳腺で濃縮されたり、乳児の体内で蓄積されるなど、特別な薬でない限り、薬剤を服用していても授乳による赤ちゃんへの影響はほとんどないといわれています。

国立成育医療センターの発表する「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」によるとイブプロフェンも影響は少ないと考えられています。しかし、母体、乳児、それぞれの体調・体質なども大きく関わってきますので、服用にあたっては必ず医師に相談・確認するようにしてください。

※イブはエスエス製薬株式会社の登録商標です。

かかりつけ医をオンラインで。医師によるオンライン診療で薬を処方。ミナカラ e-クリニック。
監修薬剤師
小寺 瑶
ミナカラ薬局薬剤師
小寺 瑶
【経歴】

福岡大学薬学部薬学科卒業
福岡大学大学院薬学研究科薬学専攻修士課程修了
株式会社大賀薬局
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局

この記事は参考になりましたか?

ご利用に当たっての注意事項
  • 掲載している情報は、セルフメディケーション・データベースセンターから提供されたものです。
  • 適正に使用したにもかかわらず副作用などの健康被害が発生した場合は(独)医薬品医療機器総合機構(TEL:0120-149-931)にご相談ください。
  • より詳細な情報を望まれる場合は、購入された薬局・薬店の薬剤師におたずねください。
  • 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラ及び、セルフメディケーション・データベースセンターではその賠償の責任を一切負わないものとします。
掲載情報について

掲載している各種情報は、株式会社ミナカラが調査した情報をもとにしています。出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。 掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラではその賠償の責任を一切負わないものとします。情報に誤りがある場合には、お手数ですが株式会社ミナカラまでご連絡をいただけますようお願いいたします。 使用されている写真はイメージです。実際の内容と異なる場合があります。