生理中・生理前後に眠いのはなぜ?眠気の理由と対策5選を解説
生理前や生理中、女性にはさまざまな体の変化が訪れます。頭痛やむくみ、イライラや憂鬱など、不快な症状は人によってさまざまです。中でも多くの女性が感じているのが、眠い・だるいなどといった症状です。
いつものように頭がシャキッとしない、異常な眠気で仕事も家事も集中できない、やる気がでない。そう感じた数日後に生理が来た、そのような経験をしたことがある女性は少なくないでしょう。
生理中や生理前後に眠いと感じるのは、なぜなのでしょう。そして、生理の異常な眠気を解消する方法はあるのでしょうか。
この記事では、生理の眠気の原因と対策、眠いときは寝たほうがいい?などの疑問について解説します。
生理前や生理中に眠いと感じる5つの主な原因
生理前後で異常な眠気に襲われる原因はひとつではありません。個人差はありますが、以下のような原因が考えられます。
女性ホルモンの黄体ホルモンが増えるため
排卵後から生理が始まるまでの2週間は女性ホルモンの一種、黄体ホルモン(プロゲステロン)が増量します。
プロゲステロンが分解されると、眠気を引き起こす物質・アロプロゲステロンが生成します。アロプロゲステロンの作用によって、なかには睡眠薬を飲んだときと同じくらいの眠気を感じる方もいます。
基礎体温が上がるため
生理前は高温期となり、低温期に比べて基礎体温が0.3~0.6度ほど上昇します。
人間は体温が下がったときに眠気を感じ、昼と夜の体温の差が大きいほど熟睡することができます。
高温期である生理前は、夜になってもなかなか体温が下がらないため熟睡しづらくなり、寝不足から日中に眠気が現れると考えられています。
貧血
生理にともなう出血が多いと、貧血になる場合があります。貧血になると、体中に酸素を届ける血液が不足し、脳が疲労することで眠気が引き起こされます。
夜に熟睡できない
生理中はイライラとストレスを抱えがちに。その結果、体が緊張状態になり熟睡ができなかったり、短時間で目が覚めてしまうことがあります。
また、女性ホルモンバランスによる自律神経の乱れから、眠りが浅くなり日中に異常な眠気が出ることもあります。
生理痛の薬に眠くなる成分が入っている
つらい生理痛をやわらげるために薬を服用している場合、その薬に眠くなる成分が含まれている可能性があります。
たとえば、ブロムワレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素は、鎮痛成分の働きを助けますが、副作用として眠気を生じやすい成分です。
眠くなる成分が含まれていない生理痛の薬はこちらの記事でも紹介しています。
生理前に眠気を感じるのはPMSの可能性も
生理になってからではなく、生理前にも強い眠気を感じる女性は多くいます。一方で、夜の寝つきが悪くなることによる寝不足から昼間の眠気につながる女性もいます。
生理前に睡眠の悩みを感じる原因は女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌バランスにあります。
生理前は睡眠の悩みだけではなく、イライラしたり涙もろくなったり、疲れやだるさ、頭痛、胸が張って痛むなど心や体の不調を感じやすく、これらをPMS(月経前症候群)と呼びます。
PMSで生活に支障が出る場合は、婦人科を受診もしくは、市販薬の使用を検討してもよいでしょう。
眠いときは寝た方がいい?生理の眠気の対策5選
生理周期による眠気は生活サイクルを見直すことで、ある程度やわらげることができます。日常のちょっとした工夫で、生理の眠気を撃退しましょう!
仮眠できるなら寝た方がいい
仮眠ができるようなら、ぜひ眠りましょう。15分程度でも、眠気を解消する効果が期待できます。目を閉じて安静にするだけでも有効です。
ただし、寝過ぎには注意しましょう。30分以上の睡眠は目覚めが悪くなります。
また、午後の遅い時間に仮眠をとると、夜の睡眠に影響を与えるおそれがあるため、夕方以降の仮眠は避けましょう。
自分に合った漢方薬を飲む
漢方薬には、生理による不快な症状をやわらげるものがあります。
生理にともなう不調に効く漢方薬には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)などがありますが、ひとりひとりの体質によって適するものは異なります。
婦人科の医師や薬剤師などに相談のうえ、自分に合った漢方薬を選んでもらうとよいでしょう。
体内時計を整える
人間の体内時計は1日およそ25時間であり、何もしないと毎日少しずつずれていってしまいます。体内時計の乱れは、質の良い睡眠に影響を与える原因のひとつです。
朝起きたらすぐに太陽の光を浴びる、毎日同じ時間に就寝するなどを習慣づけると、体内時計をリセットすることができます。
一方で、夜の明るい光は体内時計を遅らせる原因となり、時刻が遅くなるほど影響は大きくなります。夜に使う照明は、赤っぽい暖色系の蛍光灯が理想的です。
ストレッチをする
体に刺激を与え、血液の循環を良くするストレッチは手軽にできて、生理の眠気対策にもなります。
気持ちがよいと感じるほどの力で、上半身を伸ばしたり、肩の力を抜いて首をゆっくり回してみましょう。
体を温める
夜の睡眠の質を高めるために、入浴の際はシャワーだけで済ませるのではなく、なるべく湯船につかりましょう。
眠る時間の2時間ほど前にぬるめのお湯につかるのがよいでしょう。
38度から40度ほどのぬるめのお湯につかることで、一時的に体温が上がります。そして、ベッドに入る頃にちょうど体温が下がり、寝つき改善や熟睡に役立ちます。
生理で眠い・・!こんな人に多いため注意
生理の眠気に女性ホルモンの変化が関わっている以上、生理で眠くなるのは自然なことです。それでも眠気が強く出る場合は、普段の生活習慣に原因がある可能性があります。
思い当たる点がないか、チェックしてみましょう。
鉄分不足
鉄分の摂取が不足していると、生理中に眠いと感じる傾向が強くなります。慢性的な肩こりや倦怠感、頭痛がある人は鉄分不足の可能性が。このほか朝の起床が辛く、午後には眠くなる人も注意です。
寝る直前までスマートフォンやパソコンを使用している
脳に刺激を与えてしまうスマートフォンやパソコンを就寝の直前まで使用することは控えましょう。睡眠の質を低下させる原因になります。
寝室の環境が悪く睡眠の質が悪い
睡眠時間をきちんと確保していても、睡眠の質が悪いために寝不足になっている可能性があります。慢性的に寝不足だと、当然、生理中に眠いと感じます。
寝室の温度や湿度の管理や自分に合った寝具選びができているかチェックしてみましょう。
◼︎温度:夏→25~27℃、冬→18~20℃
◼︎湿度:50~60%
ストレスが多い
過剰なストレスはホルモンバランスの乱れを生み、生理中の眠気の要因となります。毎日リラックスした時間を設けるよう、生活サイクルを見直してみましょう。
さいごに:生理が終わっても眠い女性も
中には生理が終わっても、眠気が治まらないと悩む女性もいます。原因のひとつに、生理中から続く貧血が考えられます。
また、ホルモンバランスの乱れも眠気の原因になります。生理が終わると同時に分泌量が増える女性ホルモン(卵胞ホルモン)が、生理後も少量しか分泌されないためです。
この通り、生理前から生理後すべてにおいて、貧血とホルモンバランスは重要です。これらには、日頃の食事や睡眠が大きく影響しています。
貧血対策には、鉄分を多く含む食事を摂ったり、足りない分はサプリメントなどで補うとよいでしょう。
また、自律神経を整える生活習慣を心がけましょう。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル
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