ルナベル®︎の効果|避妊効果・副作用・飲み方・飲み合わせも解説
ルナベル®︎について
ルナベル*1は、月経困難症の治療や生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整に使われる薬です。
ルナベル*1は、月経周期をコントロールしている、黄体ホルモンと卵胞ホルモンという2つの女性ホルモンが配合されているホルモン剤で、いわゆるピルと呼ばれています。
ルナベル*1の成分
ルナベル*1の成分は、『ノルエチステロン』と『エチニルエストラジオール』です。
『ノルエチステロン』は、人工的に合成された黄体ホルモンで、『エチニルエストラジオール』も合成による卵胞ホルモンです。
ルナベル*1配合錠LD/ULDの違い
ルナベル*1は、卵胞ホルモンの含有量の違いにより、『ルナベル*1配合錠LD』と『ルナベル配合錠ULD』の2種類に分かれています。
LDはLow Dose、ULDはUltra Low Doseの略で、それぞれ低用量、超低用量を意味します。
ルナベル*1ULDの方が新しく登場した薬で、ルナベル*1LDに比べ卵胞ホルモンの量を少なくすることで、悪心(吐き気)や頭痛などの副作用の発現を低減しています。
ルナベル*1の購入について
ルナベル*1は、医師の処方が必要な薬です。薬局やドラッグストアでは購入できないため、医療機関で処方してもらう必要があります。
オンライン診療での処方も
「毎日忙しくて病院に行く時間がない!」という方は、診察から薬の受け取りまでスマホ・PCを通じてルナベル*1などのピルを処方してもらうこともできます。
ただし、医師の判断により、検査や対面診療が必要となる場合もあるため、処方可能かどうかオンライン診療を受ける予定の病院にあらかじめ確認しておきましょう。
ジェネリック医薬品はある?
ルナベル*1のジェネリック医薬品として、フリウェル*2というピルがあります。フリウェル*2は複数のメーカーから販売されています。
市販薬はある?
2024年6月時点で、ルナベル*1と同じ成分を含む市販薬は販売されていません。
ルナベル*1の効果
ルナベル*1には、排卵をおさえて、子宮内膜が厚くならないようにする効果があります。具体的には、子宮内膜が厚くなるのを防ぐことで、子宮内膜で産生される痛みの原因となる物質『プロスタグランジン』を減らし、月経困難症による痛みなどの症状をやわらげます。
プロスタグランジンには、生理中、子宮を収縮させ、はがれ落ちた子宮内膜を体外に押し出す役割があります。プロスタグランジンが必要以上に分泌されると、経血を外に押し出そうと子宮が過度に収縮され、痛みも強くなります。
また、生殖補助医療では、ルナベル*1を一定期間服用したあとに中止することで子宮内膜を剥落させ(生理を起こし)、調節卵巣刺激を開始する時期を規定します。
ルナベル*1の避妊効果は?
ルナベル*1と同じ有効成分が配合された薬の中には、避妊の効果が認められた薬もありますが、ルナベル*1の添付文書には、『本剤を避妊目的で使用しないこと』との注意書きがあります。
長年にわたる研究から、経口避妊薬(超低用量を含む低用量ピル)には、避妊以外に月経困難症を始めとする疾患にも効果があるという結果が明らかにされています。
海外では経口避妊薬に月経困難症の適応を認めている国もありますが、日本では、疾患の治療を目的とした薬と避妊を目的とした薬とで、保険適用を分ける必要があるため、ルナベル*1では避妊の効果が承認されていません。
避妊薬が必要な方は、医師に相談するようにしましょう。
ルナベル*1の副作用
ルナベル*1の主な副作用として、服用開始初期にホルモンバランスの変化により、不正出血、吐き気、頭痛などがみられることがあります。治療を続けるうちに症状は落ち着きますが、副作用と疑われるような症状に気づいたら、必ず医師にご相談ください。
また、不正出血が心配なときは、あらかじめパンティライナー(おりものシート)や軽い日用のナプキンを用意しておくと安心です。
ルナベル*1を飲むと太る?ニキビができる?
ルナベル*1の添付文書によると、起きる頻度は0.1~5%未満とされていますが、体重増加、ざ瘡(ニキビ)などの副作用が報告がされています。
特に飲み始めは体内のホルモンバランスが一時的に変化することで、体重が増加したり、ニキビなどの肌トラブルが起きたりという変化が副作用として現れることがあります。
ただしその一方で、体重減少といった副作用の報告もあるため、個人差が大きいようです。
ルナベル*1を飲むとうつになる?
ルナベル*1の副作用として、起きる頻度は不明とされていますが、服用後、うつのような気分の落ち込みといった副作用がみられることがあります。
しかし、うつ状態が起こった原因が、超低用量を含む低用量ピルによるものだという研究結果はなく、因果関係ははっきりしていません。
重大な副作用のひとつである血栓症
頻度は不明ですが、ルナベル*1の重大な副作用の1つに血栓症があります。血栓症は血管のなかに血栓と呼ばれる血の塊ができることが原因で起こる病気で、次のような症状があげられます。
| 部位 | 主な症状 |
|---|---|
| 手足 | 突然の足の痛み・腫れ、手足の脱力・まひ、 ふくらはぎが赤くなっている、ふくらはぎを握ると痛い |
| 胸 | 激しい胸の痛み、突然の息切れ、胸が押しつぶされるような痛み |
| 頭 | 激しい頭痛、前兆のある痛み (頭痛の前にチカチカあるいはキラキラしたり、閃光が走ったりする) |
| 腹 | 激しい腹痛 |
| 口 | 舌のもつれ、しゃべりにくい |
| 目 | 突然の視力障害(見えにくいところがある・視野が狭くなる) |
その他、足のしびれ・赤み・ほてりなど、服用前にみられなかった症状が出た場合もすぐに服用をやめ、医療機関を受診してください。
なお、ルナベル*1を使用中にやむを得ず手術が必要となった場合には、血栓症の予防に配慮する必要があります。必ず手術を担当する医師に、ルナベル*1を服用中であることを伝えてください。
ルナベル*1が処方されると、『ルナベル*1配合錠患者携帯カード』が配布されます。患者携帯カードは保険証と一緒に持ち歩き、緊急の際は医療機関がルナベル*1を服用していることが分かるようにするものです。血栓症は早く気がつき、すぐに治療を受けることで重症化を防ぐことができます。服用中の方は忘れずに携帯しましょう。
ルナベル*1の飲み方について
ルナベル*1の添付文書による服用方法は以下の通りですが、必ず医師の指示に従い服用してください。
●月経困難症
1日1錠を毎日同じ時間に、定められた順に従って21日間服用した後、7日間休薬します。
計28日間を1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から新しいシートに入り、以後同様にくり返します。
体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり、量を加減したりすると症状が悪化することがあります。指示通りに飲み続けることが重要です。
●生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整
1日1錠を毎日同じ時間に、定められた順に従って、通常14~21日間服用します。
ルナベル*1を飲み始めるタイミング
ルナベル*1を初めて服用する場合、月経開始日から5日目の間に飲み始めます。
ルナベル*1を飲み忘れた時はどうする?
ルナベル*1の飲み忘れに気づいたときは、すぐに飲み忘れていた分の1錠を服用し、当日の1錠もいつもの時間に服用してください。
2日以上服用し忘れた場合は、気づいた時点で前日分の1錠を服用し、当日の1錠をいつもの時間に服用し、その後は当初のスケジュールどおりに服用を続けてください。
飲み忘れた日数が多くなると、不正出血が起きる可能性が高くなるため、ご注意ください。
ルナベル*1とヤーズ®︎の違い
ルナベル*1の中でも、超低用量ピルの『ルナベル*1配合錠ULD』と同じように、月経困難症の治療に使われる超低用量ピルとしてヤーズ*3という薬があります。
ルナベル*1とヤーズ*3は、同じ卵胞ホルモン『エチニルエストラジオール』を配合しておりますが、黄体ホルモンの種類に違いがあります。
ヤーズ*3に配合される黄体ホルモン『ドロスピレノン』は、ルナベル*1に含まれる黄体ホルモン『ノルエチステロン』に比べ男性ホルモン様作用が少ないため、体重増加やニキビなどの副作用が出にくいとされています。
ルナベル*1の服用で気をつけたいこと
ルナベル*1の服用中に気をつけたいことを確認しておきましょう。
不正出血が続く場合
ルナベル*1に限りませんが、ピルの服用期間中に生理以外の出血を起こすことがあります。
不正出血は主にホルモンバランスが崩れることで起こり、茶色っぽいおりものが出ることもあれば、生理のような血が出るなど、出血の状態は人によって様々です。
特に飲み始めの周期は不正出血がみられるケースが起こりやすいと言われています。また、出血の量が多い場合や出血が長期間続く場合は他の病気の可能性も考えられるため、必ず医師に相談してください。また、薬の飲み忘れで不正出血が起こる可能性もあるためご注意ください。
お酒は飲み過ぎに注意
アルコールには利尿作用があるため、お酒を飲みすぎると脱水症状となり、血が固まりやすくなる原因になります。
お酒を飲んだ場合は、脱水症状を起こさないためにも、必ず水を飲むようにしましょう。
たばこは吸わないようにしましょう
喫煙によって、心筋梗塞など心血管系の障害が起こりやすくなるという報告があります。ルナベル*1を含むピルを服用する場合は、禁煙しましょう。
血栓症を予防するために
血栓症のリスクを減らすために、日常生活で次のことも意識するとよいでしょう。
●座りっぱなしは避け、こまめに動きましょう
オフィスなどで長時間座ったままでいると、血流が滞り、血が固まりやすくなります。
数時間ごとに立って歩き回る、足のエクササイズをするなど、こまめに動くよう心がけましょう。また、エアコンのきいた室内は空気が乾き、体の水分も奪われやすいため、意識して水分をとるようにしましょう。
ルナベル*1との飲み合わせ
ルナベル*1などのピルは、飲み合わせに注意が必要な薬やサプリメントが数多くあります。
添付文書で併用に注意とされている具体的な薬・サプリメントは以下の通りです。一緒に服用すると、飲み合わせによっては効果を弱めたり、場合によっては強めることで効果が過剰に現れ、副作用を招くなど本来の効果に影響が出る場合があります。
薬の併用には専門的な判断が必要です。以下に該当しない薬・サプリメントで飲み合わせが気になる方は、併用する前に必ず医師・薬剤師に相談してください。
ルナベル*1が処方される時に服用中の薬・サプリメントがある場合や服用中に医療機関を受診する場合も医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
ルナベル*1の効果を増強させる薬
・フルコナゾール
・ボリコナゾール
(※)ルナベル*1の血中濃度が上がるだけではなく、ボリコナゾールの血中濃度も上昇するおそれがあります。
・アセトアミノフェン
(※)ルナベル*1の血中濃度が上がり、アセトアミノフェンの血中濃度が低下するおそれがあります。
・HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル)
・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(エトラビリン)
ルナベル*1によって効果が増強する薬
・副腎皮質ホルモン(プレドニゾロンなど)
・三環系抗うつ剤(イミプラミンなど)
・セレギリン塩酸塩
・シクロスポリン
・オメプラゾール
・テオフィリン
・チザニジン
ルナベル*1の効果を減弱させる薬
●ルナベル*1の効果を減弱させる薬
・HIVプロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビルメシル酸塩、 ホスアンプレナビル (リトナビル併用時)、リトナビル、 ダルナビル(リトナビル併用時)、 ロピナビル・リトナビル配合剤)
・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(ネビラピン)
・アプレピタント
・ホスアプレピタント
・ルフィナミド
●ルナベル*1の効果を減弱させるだけではなく、不正出血の発現率が増大するおそれのある薬
・リファンピシン
・リファブチン
・バルビツール酸系製剤(フェノバルビタールなど)
・ヒダントイン系製剤(フェニトインナトリウムなど)
・カルバマゼピン
・トピラマート
・ボセンタン
・モダフィニル
・テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリンなど)
・ペニシリン系抗生物質(アンピシリンなど)
ルナベル*1によって効果が減弱する薬
・Gn-RH誘導体(ブセレリン酢酸塩など)
・血糖降下剤(インスリン製剤、 スルフォニル尿素系製剤、 スルフォンアミド系製剤、 ビグアナイド系製剤など)
・ラモトリギン
・モルヒネ
・サリチル酸
その他の薬・食品
・テルビナフィン塩酸塩
ルナベル*1のような黄体ホルモン・卵胞ホルモン配合剤との併用で、月経異常があらわれたとの報告があります。
・セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort、 セント・ジョーンズ・ ワート)含有食品
ハーブの一種です。欧米では抗うつ薬として広く処方されていますが、日本では気分が落ち込んだ時などに使える健康食品として市販されています。
ルナベル*1の効果を減弱させ、不正出血の発現率が増大するおそれがあります。
ルナベル*1のネット販売や個人輸入について
ルナベル*1などのピルをインターネットなどの通信販売で購入したり、個人輸入で入手する方もいらっしゃいますが、個人輸入でピルを購入する場合は、以下のリスクがあります。
◼︎個人輸入で入手した医薬品で発生する問題はすべて自己責任となる
◼︎販売ページに商品についての詳細な説明がないため、購入後に自分で外国語の取扱説明書を読む必要がある
◼︎日本国内で流通している医薬品とは異なり、品質が保証されているとは限らない
■正規品かどうかの判別が難しい
◼︎副作用があったときに国の補償などを受けられない
病院で処方してもらった医薬品で重大な副作用が起きた場合は、医薬品副作用被害救済制度などで補償されることがありますが、個人輸入の医薬品はすべて補償の対象外になります。
個人輸入は様々な危険がともなう恐れがあるため、避けましょう。ご自身の安全のためにも、病院で相談し、適切に処方してもらうようにしましょう。
※1 ルナベルはノーベルファーマ株式会社の登録商標です。
※2 フリウェルは一般社団法人日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会の登録商標です。
※3 ヤーズはバイエル インテレクチュアル プロパティー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの登録商標です。


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