プラノバール®の効果|副作用や飲み方・飲み合わせについて解説
プラノバール®とは
プラノバール*1は、月経周期をコントロールしている黄体ホルモンと卵胞ホルモンという2つの女性ホルモンからできているホルモン剤です。いわゆるピルと呼ばれる薬で、成分の含有量から中用量ピルに分類されています。
女性ホルモンを補充することでホルモンバランスを整え、月経周期および量の異常、月経時の諸症状などを改善します。
プラノバール*1の成分
プラノバール*1の成分は『ノルゲストレル』と『エチニルエストラジオール』です。
『ノルゲストレル』は人工的に合成された黄体ホルモンで、『エチニルエストラジオール』も合成による卵胞ホルモンです。
プラノバール*1の効果
プラノバール*1の効能・効果は次の通りです。多くの婦人科系疾患の治療に使われています。
効能又は効果
○機能性子宮出血
○月経困難症、月経周期異常(稀発月経、頻発月経)、又は生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全
月経トラブル
プラノバール*1によって排卵を止め、子宮内膜が厚くならないようにすることで、生理痛や生理にまつわる疾患を改善することができます。
生理周期が24日以内の頻発月経、生理周期が39日以上の稀発月経のほか、出血量の多い過多月経、不正出血などにも効果的です。
また、保険適用外にはなりますが生理日を調整する目的でプラノバール*1が処方されるケースもあります。
不妊治療
月経周期を整えたり、体外受精などの不妊治療を行う際に妊娠しやすい子宮の状態をつくるなどの目的によりプラノバール*1が処方されることがあります。
不妊治療でピルを服用する場合、排卵後に服用することで黄体ホルモンを補い、着床しやすい環境をつくり高温期を維持させる働きがあります。
ただし、プラノバール*1は服用方法によって期待する効果とは逆の効果を示す可能性があるため、指示通り服用することが大切です。
プラノバール*1の避妊効果は?
プラノバール*1の効能・効果に避妊はないため、避妊目的のみで処方されることはほとんどありません。しかしながら、ピルの働きの1つである排卵を抑制する作用を利用して、治療目的で処方されることがあります。
緊急避妊(アフターピル)としての効果
中用量ピルであるプラノバール*1は、排卵を遅らせたり、着床を防ぐことで妊娠を防ぐとして緊急避妊の際に用いることがあります。
ただし、プラノバール*1は緊急避妊薬として認可されていません。国内で認可されている緊急避妊薬は『ノルレボ®』というピルですが、医療の現場では、緊急避妊を目的にする場合ノルレボ*2かプラノバール*1を選べることがあります。
プラノバール*1の副作用
中用量ピルであるプラノバール*1は、薬に含まれる女性ホルモンの量が低用量ピルや超低用量ピルより多く、体への負担もあります。
プラノバール*1服用時の主な副作用として、吐き気・嘔吐、食欲不振、眠気などがあります。また、ニキビや色素沈着などの肌荒れもあります。
特に飲み始めでは、吐き気やだるさを感じる場合が多くあります。飲み始めの副作用は、薬を服用している間に徐々になくなっていきます。
プラノバール*1を飲むと太る?
プラノバール*1の添付文書によると、副作用としてむくみや体重増加があり、5%未満の割合で起こると報告されています。
むくみや体重増加の原因は、ピルそのものによる作用というよりは、ピルに含まれる卵胞ホルモンが持つ保水作用や黄体ホルモンの食欲を増進させる作用が一因となっていると考えられています。
血栓症のリスクがある
プラノバール*1の重大な副作用の1つに血栓症があります。血栓症は血管のなかに血栓と呼ばれる血の塊ができることが原因で起こる病気で、次のような症状があげられます。
| 部位 | 主な症状 |
|---|---|
| 手足 | 突然の足の痛み・腫れ、手足のしびれ、まひ |
| 胸 | 鋭い胸の痛み、突然の息切れ、押しつぶされるような痛み |
| 頭 | 激しい頭痛、めまい |
| 口 | 舌のもつれ、しゃべりにくい |
| 目 | 目のかすみ |
その他、失神や足のむくみ、足がつるなど、服用前にみられなかった症状が出た場合もすぐに服用をやめ、医療機関を受診してください。
なお、プラノバール*1を使用中にやむを得ず手術が必要となった場合には、血栓症の予防に配慮する必要があります。必ず手術を担当する医師に、プラノバール*1を服用中であることを伝えてください。
プラノバール*1が処方されると、『プラノバール*1配合錠患者携帯カード』が配布されます。患者携帯カードは保険証と一緒に持ち歩くように指示され、緊急の際は医療機関がプラノバール*1を服用していることが分かるようにするものです。血栓症は早く気がつき、すぐに治療を受けることで重症化を防ぐことができます。服用中の方は忘れずに携帯しましょう。
プラノバール*1の飲み方
プラノバール*1は21錠で1シートの薬です。服用する際は次の点に注意しましょう。
■使用する際はコップ1杯程度の水またはぬるま湯と一緒に飲んでください。
■指示された量よりも多く飲んでしまった場合、医師または薬剤師に相談してください。
服用量および回数・飲む量は、症状などに合わせて医師が決めるため人によって異なります。月経トラブルの場合、成人の飲む量および回数は次の通りですが、必ず医師の指示に従い服用してください。
■機能性子宮出血に使用する場合
通常、1日1錠を7~10日間続けて飲みます。
■月経困難症、月経周期異常(稀発月経、頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全に使用する場合
通常、1日1錠を月経の始まりを第1日目として数えて5日目より約3週間続けて飲みます。
体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり、量を加減したりすると症状が悪化することがあります。指示通りに飲み続けることが重要です。
プラノバール*1で生理日をずらす場合や緊急避妊をする飲み方は、医師の指示を守り服用してください。
プラノバール*1はいつ飲む?
緊急避妊での処方や、医師から特別な指示がない限り、プラノバール*1を飲む時間はいつでも構いません。ただし、できるだけ毎日同じ時間に飲むことが望ましいです。
プラノバール*1を飲むと生理がこない?
プラノバール*1を飲み終わると、数日以内に生理がくることが多いですが、生理がこないこともあります。出血の量や出血が続く期間は個人差がありますが、プラノバール*1を服用し始めたばかりの頃や飲んだ日数が少ない場合、薬の作用により出血の量が少ないことや出血自体がないということがあります。
念のため、処方元の病院に相談するようにしましょう。
プラノバール*1を飲み忘れた場合の注意点
プラノバール*1を飲み忘れた時は、服用目的によって対処が異なることがあるため、正しい服用方法を処方元の病院に相談しましょう。
プラノバール*1との飲み合わせ
プラノバール*1などのピルは、飲み合わせに注意が必要な薬やサプリメントが数多くあります。
添付文書で併用に注意とされている具体的な薬・サプリメントは以下の通りです。一緒に服用すると、飲み合わせによっては効果を弱めたり、場合によっては強めることで効果が過剰に現れ、副作用を招くなど本来の効果に影響が出る場合があります。
薬の併用には専門的な判断が必要です。以下に該当しない薬・サプリメントで飲み合わせが気になる方は、併用する前に必ず医師・薬剤師に相談してください。
プラノバール*1が処方される時に服用中の薬・サプリメントがある場合や服用中に医療機関を受診する場合も医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
プラノバール*1の効果を増強させる薬
・フルコナゾール
・ボリコナゾール
・アセトアミノフェン
・HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル)
・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(エトラビリン) など
プラノバール*1によって効果が増強する薬
・副腎皮質ホルモン(プレドニゾロンなど)
・三環系抗うつ剤(イミプラミンなど)
・セレギリン塩酸塩
・シクロスポリン
・テオフィリン
・オメプラゾール など
プラノバール*1の効果を減弱させる薬
・リファンピシン
・バルビツール酸系製剤(フェノバルビタールなど)
・ヒダントイン系製剤(フェニトインナトリウムなど)
・カルバマゼピン
・トピラマート
・ボセンタン
・モダフィニル
・テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリンなど)
・ペニシリン系抗生物質(アンピシリン水和物など)
・HIVプロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビルメシル酸塩、 リトナビル、 ダルナビル、 ホスアンプレナビル (リトナビル併用時)、 ロピナビル・リトナビル配合剤など)
・ネビラピン
プラノバール*1によって効果が減弱する薬
・Gn-RH誘導体(ブセレリン酢酸塩など)
・血糖降下剤(インスリン製剤、 スルフォニル尿素系製剤、 スルフォンアミド系製剤、 ビグアナイド系製剤など)
・ラモトリギン
・モルヒネ
・サリチル酸
その他の薬・食品
・テルビナフィン塩酸塩|抗真菌薬
プラノバール*1のような黄体ホルモン・卵胞ホルモン配合剤との併用で、月経異常があらわれたとの報告があります。
・セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort、 セント・ジョーンズ・ ワート)含有食品
ハーブの一種です。欧米では抗うつ薬として広く処方されていますが、日本では気分が落ち込んだ時などに使える健康食品として市販されています。
プラノバールの効果を減弱させ、不正性器出血の発現率が増大するおそれがあります。
プラノバール*1の服用で気をつけたいこと
プラノバール*1の服用中に気をつけたいことを確認しておきましょう。
不正出血が続く場合
プラノバール*1に限りませんが、ピルを服用すると生理以外の出血を起こすことがあります。
不正出血は主にホルモンバランスが崩れることで起こり、茶色っぽいおりものが出ることもあれば、生理のような血が出るなど、血の状態は人によって様々です。特に飲み始めの周期は不正出血がみられるケースが多くあるため、出血の量が多い場合や出血が長期間続く場合は必ず医師に相談してください。また、薬の飲み忘れで不正出血が起こる可能性もあるためご注意ください。
お酒を飲んだ場合
プラノバール*1を飲んでいてもアルコールの摂取は禁止ではありません。ただし、嘔吐してしまった場合、薬の効果が薄まってしまう恐れがあります。そのため、お酒が弱い方や体調が悪い場合は、量を少なくするか飲まないようにするなど注意してください。お酒を飲んだ場合は脱水症状を起こさないためにも、必ず水を飲むようにしましょう。脱水状態では血栓症などの副作用のリスクが上がることがあります。
たばこを吸う場合
35歳以上でたばこを吸う方は血栓症のリスクが格段に高くなります。プラノバール*1を含むピルを服用する場合は、禁煙することが望ましいです。
また、仕事中など同じ姿勢のままでいることはやめ、定期的に体を動かすようにし、水分をとるようにしましょう。
プラノバール*1の購入について
プラノバール*1は医師の処方が必要な薬です。薬局やドラッグストアでは購入できないため、婦人科で処方してもらう必要があります。
保険が適用されるケース
添付文書に効能・効果として記載されていない避妊、緊急避妊、生理日をずらす目的で処方された場合、プラノバール*1は保険が適用されず自費となりますが、月経困難症などの治療薬として用いられる場合は、保険が適用されます。
市販薬やジェネリックはある?
2024年7月時点で、プラノバール*1と同じ成分を含む市販薬やジェネリック医薬品は販売されていません。
ただし、月経困難症の症状のひとつである生理痛をやわらげる薬は市販されています。
個人輸入は避けましょう
ピルをインターネットなどの通信販売で購入したり、個人輸入で入手する方もいらっしゃいますが、個人輸入でピルを購入する場合は、以下のリスクがあります。
◼︎個人輸入で入手した医薬品で発生する問題はすべて自己責任となる
◼︎販売ページに商品についての詳細な説明がないため、購入後に自分で外国語の取扱説明書を読む必要がある
◼︎日本国内で流通している医薬品とは異なり、品質が保証されているとは限らない
■正規品かどうかの判別が難しい
◼︎副作用があったときに国の補償などを受けられない
病院で処方してもらった医薬品で重大な副作用が起きた場合は、医薬品副作用被害救済制度などで補償されることがありますが、個人輸入の医薬品などは補償の対象外になります。
個人輸入は様々な危険がともなう恐れがあるため、避けましょう。ご自身の安全のためにも、病院で相談し、適切に処方してもらうようにしましょう。
※1プラノバールはあすか製薬株式会社の登録商標です。
※2ノルレボはラボラトワール アッシュ エル ア ファルマの登録商標です。


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