おむつかぶれに効く薬|ステロイド無配合の塗り薬とその選び方を解説
おむつかぶれとはどんな状態?
おむつかぶれとは、正式には「接触皮膚炎」といわれる、いわゆるかぶれのひとつで、おむつ皮膚炎と呼ばれることもあります。
おむつかぶれは、おむつが触れているところに、赤みやブツブツが生じたり、ただれて真っ赤になったりする状態です。ひどくなると、皮膚がジュクジュクしてかゆみや痛みがでたり、水ぶくれができたりします。
おむつかぶれは、おしり全体に起きることもあれば、汚れやすい肛門のまわりやウエスト、太もものつけ根などにだけ起きることもあります。
「最近下痢気味だった」というときや、「うんちをしていたのに気づかず、しばらくおむつを交換しなかった」「夏場で汗をたくさんかく時期に蒸れやすくなっていた」「おしりをゴシゴシ拭きすぎた」というときに、おむつかぶれは起きやすいです。
おむつかぶれに効く薬の選び方
おむつかぶれで病院にかかると、炎症をおさえる塗り薬と一緒にワセリンなどの皮膚の保護剤が処方されることがあります。
ワセリンなどの保護剤は、炎症をおさえる効果はありませんが、皮膚を保護する効果があり、おむつとの摩擦などの刺激から皮膚を守ります。そのため、おむつかぶれの症状がそれほどひどくない場合や、「多少荒れているな」と感じる程度の場合は、市販のワセリンで様子をみることもできます。
ただし、赤みやブツブツなどの症状がはっきりある場合は、ワセリンでは十分にケアできないことがあるため、抗炎症作用のある塗り薬を使いましょう。
ここからは、おむつかぶれに効く市販薬を子ども用と大人用に分けて紹介します。
ステロイドについて
おむつかぶれに処方される薬は、主に非ステロイドの抗炎症剤ですが、非ステロイドで治りにくいときは、抗炎症作用の強いステロイド剤が処方されることもあります。
おしりや肛門まわりなどのおむつが当たる部分は、皮膚が薄く、薬の吸収率が高いため、市販のステロイド剤を自己判断で使うと、薬の思わぬ副作用がでる可能性もあります。
加えて、薬を塗った部分がおむつで密閉されてしまうと、余計に吸収率が高くなってしまうため、市販のステロイド剤の使用は避けるようにしましょう。
ただし、おむつかぶれで病院にかかり、ステロイドを処方された場合は、医師の指示を守ってお使いください。
おむつかぶれに効く薬|子ども用
子ども用のおむつかぶれに効く市販薬は、有効成分や剤形によって適した症状が異なるため、おむつかぶれの症状に合わせてお選びください。
いずれの薬もスーッとする成分やステロイド成分は入っておりません。
ポリベビー
| 剤形 | 軟膏 | |
|---|---|---|
| 成分 | ジフェンヒドラミン | かゆみ止め成分 |
| トリクロロカルバニリド | 殺菌成分 | |
| 酸化亜鉛 | 皮膚の保護成分 | |
| ビタミンA油 エルゴカルシフェロール(ビタミンD2) | 皮膚を健康に保つ成分 | |
ポリベビーは、患部を保護する機能に優れた軟膏タイプの薬です。肌の温度で溶けてやわらかくなり、伸びのよい使用感でもあります。
かゆみ止め成分や殺菌成分のほか、酸化亜鉛が皮膚の分泌物を吸着して患部を乾かします。加えて、酸化亜鉛には患部を保護し、炎症をやわらげる効果もあります。
2種類のビタミンは皮膚を健康に保ち、カサつきなどを防ぎます。
患部がジュクジュクしているときのおむつかぶれに適しています。
ムヒ・ベビーb
| 剤形 | クリーム | |
|---|---|---|
| 成分 | グリチルレチン酸 | 抗炎症成分 |
| ジフェンヒドラミン | かゆみ止め成分 | |
| イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 | |
| トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 | |
ムヒ・ベビーbは、弱酸性のクリームタイプの薬です。
かゆみをおさえる成分に加えて、抗炎症成分が赤くヒリヒリした炎症に効果を発揮します。また、殺菌成分が雑菌の繁殖をおさえたり、血行促進成分が血流を改善することで肌の新陳代謝を高め、患部の回復を早めます。
クリームのため、伸びが良いです。また、1日5〜6回を目安にこまめに塗り直すこともできます。
レスタミンコーワパウダークリーム
| 剤形 | クリーム | |
|---|---|---|
| 成分 | グリチルレチン酸 | 抗炎症成分 |
| ジフェンヒドラミン塩酸塩 | かゆみ止め成分 | |
| 酸化亜鉛 | 皮膚の保護成分 | |
抗炎症成分はかぶれを起こしている炎症を鎮め、かゆみ止め成分がかゆみを引き起こす物質の働きをおさえます。皮膚を保護する成分の酸化亜鉛は、皮膚の表面を乾燥させることで、おむつかぶれの治りを助けます。
やわらかいパウダークリームで、滑らかに塗り広げられて、乾くとさらさらします。塗った後は、白残りもしにくいです。
白色ワセリンソフト
| 剤形 | 軟膏 | |
|---|---|---|
| 成分 | 白色ワセリン | 皮膚の保護成分 |
白色ワセリンは、柔らかく不純物の少ないワセリンです。
油膜で皮膚の表面にバリアをつくることで、尿や便がはじかれて直接肌に触れるのを防いだり、おむつとの摩擦も防いでくれます。さらに皮膚の水分蒸発もおさえるため、患部の乾燥を防ぎます。
手の体温ですっと溶け、伸ばし広げることができます。
おむつかぶれの軽い症状に適しています。
おむつかぶれに効く薬|大人用
大人用のおむつかぶれに効く市販薬は、有効成分や剤形といったポイントを軸に、好みや使用するシーンに応じてお選びください。
いずれも、スースーする成分やステロイド成分は含まれておりません。
レスタミンコーワパウダークリーム
| 剤形 | クリーム | |
|---|---|---|
| 成分 | グリチルレチン酸 | 抗炎症成分 |
| ジフェンヒドラミン塩酸塩 | かゆみ止め成分 | |
| 酸化亜鉛 | 皮膚の保護成分 | |
抗炎症成分はかぶれを起こしている炎症を鎮め、かゆみ止め成分がかゆみを引き起こす物質の働きをおさえます。皮膚を保護する成分の酸化亜鉛は、皮膚の表面を乾燥させることで、おむつかぶれの治りを助けます。
広い範囲にもすーっと塗れて、パウダー状にサラッとかわくクリームです。無着色かつ低刺激性で、荒れた肌への負担にならないよう工夫されています。
メンソレータム カブレーナ
| 剤形 | クリーム | |
|---|---|---|
| 成分 | ウフェナマート グリチルレチン酸 | 抗炎症成分 |
| ジフェンヒドラミン | かゆみ止め成分 | |
| トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 | |
| ベンゼトニウム塩化物 | 殺菌成分 | |
2種類の抗炎症成分やかゆみ止め成分などが含まれているため、デリケートな皮膚の痛がゆいかぶれや、かゆみなどの症状を鎮める効果があります。
パッケージには「尿かぶれ」とありますが、おむつかぶれを含むかぶれの症状に使えます。
尿ケア製品のムレによるかゆみだけではなく、痛み・ヒリヒリ・ブツブツなどの炎症症状にも適しています。
オイラックスソフト
| 剤形 | クリーム | |
|---|---|---|
| 成分 | グリチルレチン酸 | 抗炎症成分 |
| クロタミトン ジフェンヒドラミン塩酸塩 | かゆみ止め成分 | |
| アラントイン | 組織修復成分 | |
| トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 | |
| イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 | |
2種類のかゆみ止め成分以外に抗炎症成分が含まれているため、かゆみだけでなくかぶれによるヒリヒリ、赤みにも効果を発揮します。
また、組織修復成分が傷ついた皮膚が修復するのを助けます。そのほか、殺菌成分は雑菌の繁殖をおさえ、血行促進成分は血流を改善することで、症状の回復を助けます。
特にかゆみが気になるというときにおすすめですが、赤くヒリヒリしているような感じがあるという場合にも使えます。
おむつかぶれの原因
おむつかぶれは、いくつかの要因が重なって起こりますが、主な原因は、尿や便による刺激です。
密閉されたおむつの中で、汗による湿気でおしりが蒸れ、皮膚がふやけて傷つきやすくなっているところに、尿に含まれるアンモニアや便の中にある有害物質などが皮膚に刺激を与えて炎症を起こします。
それ以外にも、おむつの紙やゴムなどおむつ自体が刺激となったり、おむつのサイズが合わなかったりして皮膚との摩擦が起きていたりすることで、おむつかぶれが生じることもあります。
おむつかぶれの治し方
おむつかぶれは、おしりがうっすら赤い、小さなブツブツが少し出てきた、という軽い症状であれば、市販薬の使用やご自宅でのケアを適切に行うことで治ることもあります。
おむつかぶれの症状がひどいようであれば、皮膚科の受診が必要ですが、薬による治療以外にも、おむつかぶれを治すためには皮膚の清潔・乾燥・保護を意識することが大切です。
日頃のケアを徹底しておくことで、おむつかぶれの再発を予防することもできます。
病院での治療
おむつかぶれで病院にかかると、炎症が軽いときは、亜鉛華軟膏などの保護剤を中心とした塗り薬が処方されます。
炎症がひどくなると、非ステロイド系の抗炎症作用のある塗り薬が使われたり、さらに炎症がひどい場合はステロイド配合の塗り薬を短期間で使うということも検討されます。
また、皮膚がただれているときはアズノール®︎*1軟膏などの傷を治す薬が使われることもあります。
おうちでのケアでできること
特に授乳や離乳食の前後、寝て起きた後などは、おむつを見てみましょう。排泄のあった後は速やかにおむつを交換し、常におしりが清潔な状態を保つことが重要です。
おむつ交換や入浴の際は、ゴシゴシこするように拭いたり洗ったりせず、ぬるま湯を含ませたやわらかい布やガーゼなどで押さえるようにして水気を拭き取りましょう。
●入浴について
よく泡立てた石鹸でやさしく洗い、ぬるま湯でしっかり洗い流しましょう。
おしりが真っ赤にただれて痛そうなときは、低刺激性の石鹸を使うか、石鹸を使わずにシャワーの水圧だけで洗うのもよいでしょう。
市販のおしりふきは、刺激成分が含まれていることがあるため、おむつかぶれが治るまでの間は使用を避け、ぬるま湯で洗う程度にしましょう。
洗ってよく乾かした後は、ワセリンなどの保湿剤で皮膚の保護膜をつくり、症状に応じて炎症をおさえる塗り薬を塗ります。
●おむつのサイズも確認しておきましょう
特に敏感肌の赤ちゃんの場合は、おむつ内の環境に気を付けるだけでなく、おむつ自体のサイズが合っているかどうかを体重と照らし合わせて確認しておきましょう。
また、赤ちゃんによって、おむつの合う・合わないがあるため、一度かぶれた場合は、他のおむつを試してみるのも手です。
おむつかぶれが治らない場合は?
市販薬やおうちでのケアを試しても改善がみられない場合、カンジダと呼ばれるカビの一種が感染して起こる皮膚カンジダ症の可能性も考えられます。
皮膚カンジダ症は、カンジダが皮膚で増えて、 おしりや股などに赤いブツブツができます。 カンジダは温かくて湿った場所を好むため、おむつの中にも繁殖しやすくなります。
皮膚カンジダ症は、おむつかぶれと異なり、おむつがあたる場所以外にもできますが、おむつかぶれに使う塗り薬を使うと、悪化してしまうこともあります。
そのため、一連の対策で効き目を感じられない場合や、症状が長引く場合は、必ず皮膚科を受診してください。
おむつかぶれに効く薬に関するQ&A
Q 手元にあるリンデロン®を使ってもいい?
A リンデロン*2は、病院で処方される処方薬と、薬局やドラッグストアで買える市販薬があります。
お子様の皮膚は大人に比べて薄く、薬の吸収率も比較的高くなります。また、市販薬のリンデロン*2にはステロイドが含まれているため、副作用が生じるおそれを考慮すると、自己判断での使用はおすすめできません。
病院で処方されたリンデロン*2は、その時の患者様の症状に合わせて医師が処方する薬です。
症状が似ている場合でも、原因が異なる場合には使用する薬も異なるため、残ってしまった処方薬を別の機会に自己判断で使うのはやめましょう。まずは、医師の診察を通して、適切な治療を受けていただくことをおすすめします。
ただし、おむつかぶれで病院にかかり、リンデロン*2を処方された場合は、医師の指示を守ってお使いください。
Q ベビーパウダーは使える?
A かぶれの症状がでている間は、ベビーパウダーが刺激になってしまったり、おしりの周りのしわやひだに残って固まってしまうと雑菌が繁殖しやすくなるため、使用は控えましょう。
また、ベビーパウダーは皮膚の状態や症状によって使用をおすすめできる場合とそうでない場合があるため、おむつかぶれが治った後に使用をご希望の場合は一度医師に相談しましょう。
Q オロナイン®は効果がある?
A オロナイン*3に含まれる成分は、殺菌・消毒成分のみであり、かゆみやかぶれをおさえる効果はありません。おむつかぶれには、かゆみ止めや抗炎症成分などが含まれた市販薬の使用をおすすめします。
※1アズノ-ルは日本新薬株式会社の登録商標です。
※2リンデロンは塩野義製▲薬▼株式会社の登録商標です。
※3オロナインは株式会社大塚製薬工場の登録商標です。


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