プレドニン®の効果・副作用を解説:ムーンフェイスとは?
プレドニン®とは?
プレドニン*1はステロイドの一種
プレドニン*1とはプレドニゾロン(略語:PSL)を有効成分とする薬です。副腎皮質ホルモン(ステロイド)を科学的に合成したステロイド剤の一種です。
プレドニン*1などのステロイド剤は炎症を抑える作用が非常に強く、さまざまな病気の治療に使われます。
ジェネリック医薬品が販売されており、成分名であるプレドニゾロンという名称で複数の製薬会社から出ています。
ジェネリック医薬品のプレドニゾロンも、使用方法や気をつけるべきポイントはプレドニン*1と同様です。
プレドニン*1の剤形
プレドニン*1には次の3つの剤形があります。
| 薬名 | 剤型 | 有効成分 |
| プレドニン*1錠5mg | 錠剤 | プレドニゾロン |
| 水溶性プレドニン*1 | 注射剤 | プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム |
| プレドニン*1眼軟膏 | 軟膏 | プレドニゾロン酢酸エステル |
今回はこの中のプレドニン*1錠とプレドニン*1眼軟膏に焦点を当て、その効能や副作用などについて詳しく見ていきましょう。
なお、プレドニン*1と同じ成分の飲み薬や眼軟膏は市販されていませんが、プレドニゾロンが配合された湿疹や皮膚炎など皮膚に使う塗り薬は市販されています。
プレドニン*1の効果・作用
プレドニン*1錠5mgの成分・含有量
1錠中にプレドニゾロンが5mg含まれています。
炎症や免疫をおさえる効果が非常に強く、さまざまな病気に使用されています。
効果が強い反面、間違った使用方法をすると重大な副作用を招く可能性もあるため、必ず医師の指導のもと服用する必要があります。
プレドニン*1錠5mgの効能・効果
内分泌疾患・リウマチ疾患・膠原病・川崎病の急性期・腎疾患・心疾患・アレルギー性疾患・重症感染症・血液疾患・消化器疾患・重症消耗性疾患・肝疾患・肺疾患・結核性疾患・神経疾患・悪性腫瘍・外科領域・整形外科領域・産婦人科領域・泌尿器科領域・皮膚科領域・眼科領域・耳鼻咽喉科領域
具体的な病名
・関節リウマチ・潰瘍性大腸炎・難治性口内炎など体内の炎症
・蕁麻疹や虫刺されなど皮膚の炎症
・喘息や気管支炎など呼吸器の疾患
・花粉症やアトピーなどのアレルギー症状
・難聴や耳鳴りなどストレスによる耳の異常
・卵管整形術後の癒着防止や排卵障害の治療
・白血病や貧血など血液の異常
・その他、腎臓病(ネフローゼ病)、メニエール病、がんなどの治療 など
プレドニン*1眼軟膏の成分・含有量
1g中にプレドニゾロン酢酸エステルが2.5mg含まれています。
プレドニゾロン酢酸エステルは、全身に効果のあるプレドニゾロンを、眼などの限られた部分にのみ効くようにした成分です。
基本的な効果に違いはありません。
プレドニン*1眼軟膏の効能・効果
外眼部及び前眼部の炎症性疾患の対症療法(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、前眼部ブドウ膜炎、術後炎症)
プレドニン*1の用法・用量
プレドニン*1錠5mgの用法・用量
通常、成人にはプレドニゾロンとして1日5~60mgを1~4回に分割経口投与する。
成人の場合、1日にあたり1〜12錠を1〜4回に分けて服用しますが、患者の年齢や症状によりこれは変動します。また、治療する病気によっては用法用量が異なる場合があります。
独断で服用量を増やしたり減らしたりすると、副作用や離脱症状が深刻になる危険性があります。
医師から指示を受けた使い方を守って服用しましょう。
用法・用量に関する使用上の注意
今までに薬を服用してプレドニゾロンにアレルギー症状が出たことがある方、男性における夜間多尿による夜間頻尿の治療薬としてデスモプレシン酢酸塩水和物を使用中の方は使用できません。
また、 有効な抗菌剤の存在しない感染症や消化器官の病気、精神病、高血圧、糖尿病などの方は、症状によってはプレドニン*1を使用できないことがあります。治療中の病気がある方は必ず医師に伝えましょう。
プレドニン*1眼軟膏の用法・用量
通常、1日数回、適量を塗布する。
なお、症状により適宜増減する。
プレドニン*1眼軟膏の使用方法
まず手を石鹸でよく洗います。
下まぶたを軽く引き、チューブを少し押して下まぶたに薬を塗布しましょう。チューブの先が直接眼球やまぶた、まつげにつかないよう、鏡を見ながら慎重におこなってください。
薬を塗布したら目を閉じて、眼球全体に軟膏が馴染んで広がるのを待ちます。
眼の外側に出てしまった薬は清潔なティッシュなどで拭き取ってください。
用法・用量に関する使用上の注意
今までにプレドニゾロン製剤を使用して何らかのアレルギー症状が出たことがある方は使用できません。
また、眼の病気によってはプレドニン*1眼軟膏を使用できない場合もあります。
長期間の使用で眼圧が上がったり、緑内障があらわれるおそれがあるため、医師が指示した使用期間を守ってください。
プレドニン*1の副作用
プレドニン*1には炎症をおさえるなど強力な効果がありますが、副作用も報告されています。
再評価結果における安全性評価対象例2299例中、副作用は512例(22.27%)に認められた。主なものは、満月様顔貎が110件等であった。
プレドニン*1錠5mgインタビューフォーム
いずれの副作用も、ひとりひとりの体の状態や服用量・期間などに差があるため、絶対にこの症状が出る・出ないと言い切ることはできません。
副作用の多くはプレドニン*1の服用をやめると改善します。
一方で、長期間にわたり服用していた場合は、服用をやめたタイミングで離脱症状が起こることもあり、しっかりとした理解が必要です。
体調変化は重大な副作用の前兆の可能性もあるため、違和感を感じたら医師や薬剤師に相談しましょう。
プレドニン*1錠5mgの主な副作用
| 主な症状 | |
| 消化器 | 腹部の張り、吐き気、下痢、便秘、嘔吐、胃の痛みなど |
| 易感染 | 免疫抑制作用により風邪やインフルエンザ・肝炎などの感染症にかかりやすくなる |
| 精神神経系 | 多幸感、神経過敏(不安感・イライラ)、不眠など |
| 頭痛 | 離脱症状(後述)の主な症状ですが、服用中にも発症 |
| 睡眠障害 | 不眠 |
| 骨粗しょう症 | 骨密度の低下、腰痛、筋肉の痛み・こわばり、関節の痛みなど |
| 内分泌系 | 生理不順、クッシング症候群様症状など |
| 高血糖 | 頻尿、多尿、口の渇き、糖尿病症状の悪化 |
| 血圧の上昇 | 血中のナトリウム濃度が増えるため、血圧が上昇する |
| 皮膚トラブル | 発疹、かゆみ、皮下出血、ニキビ、多毛、脱毛(円形脱毛症など)など |
プレドニン*1眼軟膏の主な副作用
| 主な症状 | |
| 緑内障(0.1%未満) | 光をまぶしく感じる、涙が出る、眼に異物感を感じる |
| 角膜ヘルペス | 光をまぶしく感じる、涙が出る、眼に異物感を感じる、充血、見えにくくなる |
| 過敏症 | 刺激感 |
| 視力の低下 | 目のかすみなど(長期間使用の場合) |
ムーンフェイスとは?
プレドニン*1の代表的な副作用としてムーンフェイスがあります。
ムーンフェイスとは満月様顔貌(まんげつようがんぼう)とも呼ばれ、顔が丸く、赤味を帯びた状態になることを指します。顔の両ほほを中心に脂肪がつき、毛細血管が拡張することで顔が赤くなってしまいます。
中心性肥満の一種で、顔だけでなく体幹など体の中心に脂肪がつくこともあります。
ムーンフェイスはステロイドの長期服用が原因
ムーンフェイスの原因は、プレドニン*1などのステロイド薬やステロイドホルモンを大量に、または長期間服用したために起こる脂質の代謝異常です。その結果、顔や身体に脂肪がつきやすくなります。
プレドニン*1の服用を減らしていくと、ムーンフェイスの症状も消失していくことがほとんどです。
プレドニン*1の副作用で太る?
プレドニン*1を服用すると、食欲が増進することがあります。
また、足のむくみが同時に発症することもあり、下半身を中心に太ってしまうということもあります。
多くの場合、プレドニン*1の服用を減らすと食欲も落ち着き、少しずつ体重も元に戻っていきます。
プレドニン*1服用中は、間食や高カロリーな食べ物を控えるなど、急激に体重が増加しないように食事内容や食事量に注意しましょう。
プレドニン*1の離脱症状と減量方法について
プレドニン*1を長期間服用していた場合、急に服用をやめると離脱症状が出ることがあります。具体的な症状やその程度は服用量や服用期間などによりますが、多ければ多いほど、長ければ長いほど症状も出やすいというのが一般的です。
主な症状
プレドニン*1の離脱症状には、強い倦怠感や関節痛、吐き気、頭痛、血圧の低下などがあります。これはプレドニン*1の大量摂取や長期間の使用から副腎の機能が低下し、副腎皮質ホルモンの分泌量が減少することで起こります。
また、服用を急にやめてしまうと、食欲不振や筋肉痛・関節痛、手の震えだけでなくショック症状などが現れる場合もあります。くれぐれも医師と相談しながら、少しずつ減らしていくようにしましょう。
プレドニン*1の離脱症状が出る期間
プレドニン*1の服用をやめる場合、薬の量をだんだん減らして体を慣らしていく必要があります。そのため、服用量が多い・服用期間が長いと、それだけ離脱にかかる期間も増え、離脱症状も長く続きます。
離脱症状が出る具体的な期間については、状況によるところが大きいので一概にいうことはできません。また、治療をおこなう病気の種類によっては、プレドニン*1を一生飲み続けなければならない、ということもあります。
あまりにも離脱症状が深刻な場合、医師の判断で一度薬の量を増やしていくなどの対処がされる場合もあります。離脱のためにはある程度の我慢が必要という意見もありますが、症状がつらいときは我慢しすぎずに医師に相談しましょう。
プレドニン*1の減量方法
プレドニン*1の服用量を減らしていく方法は、病状や医師の判断で変わっていきます。
一般には検査結果や症状をみながら減らしていく、というやり方で服用量を決めていきます。
同じ病気の治療を行っていても、期間や症状などにより減量スピードは異なります。副作用への恐怖もあるかもしれませんが、勝手に服用量を減らしたりせず、医師とよく相談することが大切です。
プレドニン*1とその他薬の比較
プレドニン*1とその他ステロイド剤の比較
プレドニン*1とならび広く使用されるステロイド剤のひとつにリンデロン®(ベタメタゾン類)があります。
リンデロン*2はプレドニン*1のおよそ6倍という強力な抗炎症作用を持ち、そのためプレドニン*1より用量の調節が難しいといえます。
プレドニン*1およびリンデロン*2は炎症を抑える作用を持つという点は同じですが、治療する病気や症状などによって、より適切な薬が処方されます。
プレドニン*1と非ステロイド剤の比較
ステロイド剤に比べると効果の強さは劣りますが、アスピリン®やロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はプレドニン*1と同じように抗炎症作用があります。
一方で、ムーンフェイスや食欲増進などのプレドニン*1特有の副作用はNSAIDsにはありません。
また、タクロリムスやシクロスポリンなどの免疫抑制剤は、プレドニン*1と同様に免疫抑制の効果があります。ステロイドは副作用の観点から長期投与が難しいですが、免疫抑制剤は長期投与されるケースがあります。
また、免疫抑制剤はステロイドの減量や特定の副作用を軽減するために併用されることがあります。
プレドニン*1の使用上の注意
プレドニン*1は正しく使えばさまざまな病気の治療に効果が望める薬です。一方で、使い方を間違えればリスクもあります。
妊娠中・授乳中についての使用のほか、飲み合わせや食べ合わせの関係についても解説します。
妊娠中・授乳中および小児への使用など
■プレドニン*1錠の場合
ステロイド薬であるため、妊娠の使用で胎児への影響を心配する人もいますが、大量に服用しなければ胎児への影響はほとんどないと報告されています。
授乳中の使用も深刻な影響はありません。「母乳とくすりハンドブック」によると、母乳へは少量排出されますが、乳児に悪影響をおよぼさないと考えられています。また、服用量が1日40mgを上回る際は、授乳までに4時間以上あけることが勧められています。
小児への使用については、低出生体重児や新生児・乳児などへ使用すると、身長が伸びない・体重が増えないなどの発育抑制があらわれる場合があります。プレドニン*1を服用する際には医師の指示する用量を守り、体の状態をよく観察するようにしましょう。
■プレドニン*1眼軟膏の場合
妊娠中の方へは、治療上の有益性が危険性を上回る際に使用できますが、長期・頻回の使用は避けることとされています。
授乳中の方は、プレドニン*1眼軟膏の添付文書には特に記載されていません。
また、2歳以下の子どもの場合は症状などをみながら慎重に使用する必要があります。
いずれの場合も、医師の指示する用法用量にしたがって使用してください。
プレドニン*1を使用するうえでの日常生活の注意
■激しい運動は避けましょう
一定量までならある程度の運動は可能ですが、長期間服用する場合はきちんと医師に相談しましょう。
■生ワクチンは避けましょう
プレドニン*1服用中に生ワクチンの予防接種をすると、ワクチン由来の感染の増強または持続させる危険性があります。
■マスクを着用しましょう
プレドニン*1服用中は免疫力が下がっています。感染症予防のため、外出の際にはマスクを着用し、手洗いうがいを徹底しましょう。
■血液検査を受けましょう
プレドニン*1服用中は尿検査や体重測定など、さまざまな検査を受けるよう指示されます。中でも血液検査は、副作用の予防や離脱症状の軽減などに役立つ検査です。しっかりと受けるようにしましょう。
プレドニン*1の飲み合わせ・食べ合わせ
■医薬品以外との飲み合わせ・食べあわせ
| アルコール | 問題ありません。 |
| タバコ | 問題ありません。 |
| コーヒー | 問題ありません。 |
| グレープフルーツ | 問題ありません。 |
■薬など医薬品との飲み合わせ
プレドニン*1を処方される際、抗生物質などの薬と一緒に服用するよう指示される場合が多いです。これらの薬は病気の治療に効果がある場合だけでなく、プレドニン*1の副作用を予防するための薬の場合もあるため、処方された薬はしっかりと飲むようにしましょう。
しかし、飲み合わせによっては注意が必要な場合もあります。ほかの薬を飲む場合は医師に相談してください。
併用に注意が必要な薬剤名などは以下の通りです。
・バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール・フェニトイン・リファンピシン)
・サリチル酸誘導体(アスピリン*3・アスピリン*3ダイアルミネート・サザピリン など)
・抗凝血剤(ワルファリンカリウム)
・経口糖尿病用剤
・インスリン製剤
・利尿剤(フロセミド・アセタゾラミド・トリクロルメチアジド など)
・活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール など)
・シクロスポリン
・エリスロマイシン
・非脱分極性筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物・ベクロニウム臭化物)
・キノロン系抗菌剤(レボフロキサシン、メシル酸ガレノキサシン水和物など)
また、主な市販薬との飲み合わせを以下にまとめましたので、参考にしてください。
| バファリン® | 併用中にプレドニン*1を減量すると、サリチル酸中毒のおそれがあります。必ず医師に相談してください。 |
| ロキソニン® | 問題ありません。 |
| 胃薬 | 基本的には問題ありません。併用するように処方されることもあります。 |
| 風邪薬 | 問題ありません。ただし風邪薬に含まれる解熱剤の種類によっては、効果が弱まったりや副作用が起こるおそれがあります。一度医師に相談したほうがいいでしょう。 |
まとめ
プレドニン*1はステロイド剤の一種であり、炎症を抑える効果などを持つためさまざまな病気の治療に使用されています。しかし、強力な効果を持つ薬であるため、その効果だけでなく副作用や離脱症状などのデメリットについても正しく知っておく必要があります。
処方された際に疑問点や不安があればきちんと医師に相談し、用法用量などの注意を守って正しく使用するようにしましょう。
※1プレドニンはシオノギファーマ株式会社の登録商標です。
※2リンデロンは塩野義製▲薬▼株式会社の登録商標です。
※3アスピリンはバイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの登録商標です。
※4バファリンはライオン株式会社の登録商標です。
※5ロキソニンは第一三共株式会社の登録商標です。

この記事は参考になりましたか?
新着記事
ご利用に当たっての注意事項
- 掲載している情報は、セルフメディケーション・データベースセンターから提供されたものです。
- 適正に使用したにもかかわらず副作用などの健康被害が発生した場合は(独)医薬品医療機器総合機構(TEL:0120-149-931)にご相談ください。
- より詳細な情報を望まれる場合は、購入された薬局・薬店の薬剤師におたずねください。
- 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラ及び、セルフメディケーション・データベースセンターではその賠償の責任を一切負わないものとします。
掲載情報について
掲載している各種情報は、株式会社ミナカラが調査した情報をもとにしています。出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。 掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラではその賠償の責任を一切負わないものとします。情報に誤りがある場合には、お手数ですが株式会社ミナカラまでご連絡をいただけますようお願いいたします。 使用されている写真はイメージです。実際の内容と異なる場合があります。



