インフルエンザにロキソニン®は使える?高熱や頭痛に使える成分を確認しよう
インフルエンザの流行シーズンになると、「ロキソニン®は使えない?強力すぎる?」「インフルエンザのときにロキソニン*1は使えるの?」といった質問をよく受けます。
インターネット上の情報も「ロキソニン*1はインフルエンザのときも使える」「ロキソニン*1はインフルエンザのときに使えない」といった意見がバラバラで、混乱される方もいるのではないでしょうか。
実際、医療の現場でもインフルエンザのときにロキソニン*1を処方する医師もいれば、処方しない医師もおり、同じ症状でも使えると判断する医師もいれば、使わないと判断する医師もいるのが現状です。
しかし「明らかにインフルエンザのときにロキソニン*1を使うのはNG」な人や状態、ロキソニン*1を使うときに注意したいこと、また、ロキソニン*1以外にもインフルエンザのときに使ってはいけない成分があります。
インフルエンザでは解熱剤の成分に要注意!
インフルエンザのときに、成分によっては使えない解熱鎮痛剤があります。
インフルエンザにかかっている15歳未満の子どもに対して一部の解熱鎮痛剤を使用したときに、インフルエンザ脳症の予後悪化や「急性脳症」や「肝臓の障害」がおこるライ症候群という症状が発生したと報告されています。
死亡事故も起きていることから、インフルエンザでは一部の解熱鎮痛剤の使用を控えるようにと注意喚起されています。
インフルエンザで使えない代表的な解熱鎮痛成分
15歳未満の子どもがインフルエンザのときに使用を原則禁止されている成分は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)に分類される成分のうち、「サリチル酸系」と呼ばれるグループ、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸などです。
インフルエンザの疑いがあるときは、これらの成分が含まれたものは市販薬も含めて使用しないようにしましょう。
また、15歳未満に対しての使用が禁止されていますが、安全性を考えて成人の方もインフルエンザが疑われる場合はなるべく使わないようにしましょう。
具体的な成分名と代表的な製品は次の表をご参照ください。
| 成分名 | 代表的な医療用医薬品 |
| アスピリン®・アセチルサリチル酸(サリチル酸系) | アスピリン*2、バイアスピリン®、バファリン®配合錠 など |
| サリチルアミド(サリチル酸系) | PL配合顆粒、幼児用PL配合顆粒、ピーエイ配合錠 など |
| エテンザミド(サリチル酸系) | エテンザミド など |
| ジクロフェナクナトリウム | ボルタレン®、ナボール® など |
| メフェナム酸 | ポンタール® など |
成人はロキソニン*1が使われるケースも多い
20歳以上の成人では、インフルエンザ治療薬(イナビル®・タミフル®・リレンザ®など)と一緒に処方されることが多い薬にロキソニン*1(後発品名:ロキソプロフェンNa錠など)があります。
インフルエンザの発症率が最も高いのも、世間で話題となる異常行動などが最も多いのも、インフルエンザ脳症・ライ症候群などの注意が最も必要なのも、未成年が中心です。
また、成人ではロキソニン*1とインフルエンザ脳症・ライ症候群との間に関連性が認められていないこともあり、事実上使用しても良いと判断されています。
ただし、医師・薬剤師によっては「インフルエンザにはロキソニン*1も使用しない」と考えている人もいるので、ロキソニン*1を処方しない医療機関もあります。
インフルエンザの頭痛や高熱にも
インフルエンザでは高熱が出るので、睡眠や食事が十分にとれなくなり、体力が落ちて重症化してしまうケースがあります。
このような場合、まずはロキソニン*1やアセトアミノフェンなどの解熱剤で熱を下げ、しっかりと安静できるようにしましょう。
なお、発熱や頭痛・痛みへのロキソニン*1の使用は対症療法であり、ロキソニン*1自体にインフルエンザを治療する効果はありません。
インフルエンザシーズンにロキソニン*1を使う場合の注意点
すぐに病院に行ける場合は病院で処方してもらいましょう
ロキソニン*1などの対症療法薬は、インフルエンザの疑いがある場合はイナビル*8・タミフル*9・リレンザ*10などの治療薬とセットで使用するべき薬です。
インフルエンザで咳や鼻水や痰がひどい場合は市販の総合かぜ薬ではなく、症状にあった成分の薬を病院で処方してもらいましょう。
なお、市販の総合かぜ薬は熱や咳などかぜの様々な症状に対応するために複数の成分が入っており、インフルエンザのときに使えないものや不向きな成分もあります。
また、すぐに病院を受診できない場合、インフルエンザに使えるロキソニン*1以外の市販の解熱鎮痛剤は以下の記事で紹介しています。
市販のロキソニン*1を使用するときの注意点
ロキソニン*1Sを販売している第一三共ヘルスケアによると、インフルエンザの疑いがあるとき、発熱外来等にかかりづらい場合は解熱目的で一時的にロキソニン*1Sを使用できると回答しています。
ただし、次に挙げる方もしくは3~5日間服用しても発熱が繰り返されるなど症状が重い場合は病院を受診してください。
・ 高齢者
・ 妊娠中の方
・ 基礎疾患がある方
・ 呼吸困難あるいは息切れがある
・ 胸の痛みが続いている
・ 嘔吐や下痢が続いている
・ 発熱が3日以上続いている
・ 症状が悪化してきた
また、ロキソニン*1Sは15歳から使えることになっていますが、10代はインフルエンザ脳症を含めて重症化や異常行動の発生率が比較的高い傾向にあります。
重症化リスクが高い方は、市販薬での対処ではなく病院の受診をおすすめします。
熱が下がっても安静にしていましょう
インフルエンザの治療薬(イナビル*8・タミフル*9・リレンザ*10など)と一緒にロキソニン*1を使うと、あっという間に熱が下がって体調が良くなってしまうことがあります。
しかし、インフルエンザウイルスは体調が良くなっても2~3日は体内に残っていいます。
「治った」と勘違いして無理をすると、体内に残っているウイルスによって再発症することもあるので、熱が下がっても3日間は安静にして過ごしましょう。
ロキソニン*1は予防接種後に使える?
インフルエンザワクチンの予防接種後に起こる発熱や頭痛など副反応の症状には、ロキソニン*1を使用してもほとんど問題はありません。
ただし、15歳未満は使用を避ける、複数の解熱剤を併用しないなど、通常の注意を守って正しく使用してください。
おわりに
処方薬ロキソニン*1と同じ有効成分が配合された市販薬も買えるようになり、1回の使用でインフルエンザを治療できるイナビル*8が登場するなど、インフルエンザ治療はここ数年で飛躍的に進歩しました。
一方で、あっという間に回復してしまうケースが増えるからこそ、治りきらずに無理をして再発したり、他人にうつしてしまうケースも増えています。
便利な薬が登場している今だからこそ、薬を上手に活用してしっかりとした治療と感染予防を実現しましょう!
※1ロキソニンは第一三共株式会社の登録商標です。
※2アスピリンはバイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの登録商標です。
※3バイアスピリンはバイエル薬品株式会社の登録商標です。
※4バファリンはライオン株式会社の登録商標です。
※5ボルタレンはノバルティス アクチエンゲゼルシャフトの登録商標です。
※6ナボールは久光製薬株式会社の登録商標です。
※7ポンタールはパーク・デイヴィス・アンド・カンパニー・エルエルシーの登録商標です。
※8イナビルは第一三共株式会社の登録商標です。
※9タミフルはエフ・ホフマン-ラ ロシユ アーゲーの登録商標です。
※10リレンザはグラクソ グループ リミテッドの登録商標です。


この記事は参考になりましたか?
新着記事
ご利用に当たっての注意事項
- 掲載している情報は、セルフメディケーション・データベースセンターから提供されたものです。
- 適正に使用したにもかかわらず副作用などの健康被害が発生した場合は(独)医薬品医療機器総合機構(TEL:0120-149-931)にご相談ください。
- より詳細な情報を望まれる場合は、購入された薬局・薬店の薬剤師におたずねください。
- 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラ及び、セルフメディケーション・データベースセンターではその賠償の責任を一切負わないものとします。
掲載情報について
掲載している各種情報は、株式会社ミナカラが調査した情報をもとにしています。出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。 掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。 当サービスによって生じた損害について、株式会社ミナカラではその賠償の責任を一切負わないものとします。情報に誤りがある場合には、お手数ですが株式会社ミナカラまでご連絡をいただけますようお願いいたします。 使用されている写真はイメージです。実際の内容と異なる場合があります。



