クロミッドの効果
クロミッドは、脳内の排卵に関わる部位に作用することで排卵を促す排卵誘発剤です。排卵が起こりにくい状態や排卵日が特定しづらい排卵障害に効果があり、不妊治療に広く使われています。
なお、クロミッドなどの排卵誘発剤は医師のもと処方される薬です。ネット通販などでは購入することができません。
成分は『クロミフェンクエン酸塩』
クロミッドの成分は『クロミフェンクエン酸塩』です。『クロミフェンクエン酸塩』には、女性ホルモンのバランスを調整し、卵巣を刺激して排卵を起こりやすくする働きがあります。
いつ排卵するの?
月経周期が28日の方の場合、月経周期の14日目頃に排卵が起こります。しかし、クロミッドを飲んでも排卵しない、排卵が早まる、遅れて排卵するなど、個人差が大きいため排卵時期は断定できません。
クロミッドを使用しながら、予測される排卵日前に病院で卵胞チェックを受けることで排卵日を特定しやすくなります。
服用中に性行為をしても大丈夫?
クロミッドを服用中、かかりつけの医師に性行為のタイミングを指導されることもありますが、指導されたタイミング以外に性行為をしても問題はありません。また頻度や回数について悩まれる方もいるかと思いますが、通常通りで大丈夫です。ただし、治療の内容によっては性行為を避けるタイミングもあるため、まずは医師にご相談いただくことをおすすめします。
男性にも使用するの?
クロミッドの効能効果には「乏精子症における精子形成の誘導」があり、男性にも処方されるケースがあります。
精子形成には、様々なホルモンが関係しています。男性不妊でFSH、LHのホルモン数値が低い場合には、ホルモンへの刺激を高めることを目的としてクロミッドが処方されることがあります。
2022年4月から不妊治療が保険適用となったことを受け、クロミッド錠の男性不妊症への処方も保険適用となりました。
クロミッドの副作用
クロミッドの副作用として、卵巣が腫れてお腹が痛くなったり、目のかすみや発疹、頭痛、吐き気、疲労感などの症状が現れることがあります。服用中、副作用と疑われる症状が出た場合や何か気になる症状がある場合は、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。
双子が生まれやすいの?
排卵誘発剤は卵巣を刺激するため、卵巣が過剰に刺激されると、1回で排卵する卵子の数が多くなることがあります。その結果として、多胎妊娠(双子、三つ子など)になることもあります。
日本における多胎児の分娩頻度はおよそ1%です。
クロミッドを用いた治療で妊娠した場合、 双子が約4%、三つ子が約0.1%であったとの報告があります。
クロミッドを飲むと太る?
クロミッドの添付文書によると、体重増加の副作用はみられていません。しかし、他に体重増加の副作用がある薬を併用しているなど、併用している薬が原因で太ることも考えられます。何か気になることがある場合は医師に相談しましょう。
眠気が起こりやすいの?
クロミッドの添付文書には眠気の副作用は書かれていませんが、疲労感から眠気が起こることは考えられます。また、目のかすみなどの視覚症状が現れることがあるため、クロミッドの使用中は自動車の運転などは避ける必要があります。
クロミッドの飲み方
排卵障害にもとづく不妊症の排卵誘発を試みる場合、通常第1クールに1日1回1錠を5日間服用します。第1クールで効果がみられなかった場合は、1日2錠を5日間服用します。用量、期間は1日2錠、5日間を限度とします。
生殖補助医療における調節卵巣刺激の場合、通常1日1錠を月経周期3日目から5日間服用します。効果がみられなかった場合は、次クール以降は1日2錠に増量できます。
乏精子症における精子形成の誘導の場合、通常1回1錠を1日おきに服用します。
いずれの場合も一日の服用量、使用開始の日は一人一人異なります。必ず医師の指示に正しく従って飲んでください。
いつからいつまで飲む?
女性が服用する場合は、月経開始3~5日目から飲み始めることが多いですが、個人の状態によって処方は異なる可能性があります。必ず医師の指示に正しく従って飲んでください。
なんで5日目から飲むの?
通常1回の排卵に向けて数十個の卵胞が発育しますが、月経開始5日目頃には数十個あるうちの1個だけが残り、排卵する卵胞(主席卵胞)として大きくなっていきます。
医師の指示より前の時期にクロミッドを飲んでしまうと、主席卵胞が定まらないまま卵胞が何個も大きく育ち、卵胞が大きく育たなかったり、多胎妊娠となるリスクが高まることも考えられます。医師の指示通りに飲むことで、卵子の発育や成熟を促し、排卵をさせることによって妊娠率の向上を期待します。
飲み忘れた場合は?
クロミッドを飲み忘れた場合は、気が付いた時点ですぐに飲んでください。ただし、2回分を一度に飲むことはできません。
気になることがある場合はかかりつけの医師や薬局に確認しましょう。
飲酒はしてもいいの?
クロミッドの添付文書には、飲み合わせに注意が必要な薬や食品の指定はありません。
ただし、妊娠を希望する場合は、食生活の改善や規則正しい生活を心がけるよう注意しましょう。
排卵日を知る方法について
クロミッドの服用中、様々な方法で排卵日を予測することができます。
もし効果が得られない場合は、クロミッドの服用量を増やしたり、注射剤を使用するなどの方法をとることもあるため、気になることがある場合はかかりつけの医師にご相談ください。
卵胞チェック(経膣超音波検査)
クロミッドの使用だけでなく、病院での卵胞チェックを併用することで、排卵日が特定されやすくなります。予測される排卵日の数日前から卵胞チェックを行い、排卵が近づくと卵胞の大きさは18-22mm程度になります。卵胞の大きさから、逆算して排卵日を予測します。
排卵検査薬
排卵検査薬により尿中のLH(黄体化ホルモン)の変化をとらえ、排卵日を予測します。LHは排卵が近づくと急激に増加し、LHが増加する現象をLHサージと呼びます。LHサージが起こってから約40時間以内に排卵する確率が高くなります。
●排卵検査薬のLH検出感度について
排卵検査薬はLHの分泌量の変化を感知することによって排卵日を予測しますが、商品によってLHの検出感度は30~50mIU/mLあたりと異なります。LHの分泌量が上昇し始めてからすぐに検知ができた方が、早く排卵日を予測することができます。そのため、もし早めに排卵日を知りたければ、低い分泌量でも検知ができる感度の高い検査薬を使用する方がよいでしょう。(mIU/mLの数値が低い方が感度が高いです。 )
ただし、検出感度が50mIU/mLの製品の場合は一概に感度が鈍いというではなく、確実に判定することを目的としていると考えられます。
市販の排卵検査薬はあくまでも目安であり、使用するタイミングや状況により結果が異なることもあります。不妊治療を受けている方は医師に相談しながら使用しましょう。
①ハイテスターH
検出感度 |
30mIU/mL |
---|---|
尿をかける時間 | 5秒以上 |
判定時間 | 10分 |
特徴 |
・スティックが長く持ちやすい ・検出感度が高い |
キャップを反対側につけることでスティックが長くなり、尿をかける時も使いやすいです。検出感度も30mIU/mLと、感度が比較的高い検査薬です。
結果はラインの色の濃淡ではなく、ラインの本数で判断します。
②クリアブルー排卵日予測テスト
検出感度 |
40mIU/mL |
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尿をかける時間 |
5秒 |
判定時間 | 3分 |
特徴 | ・判定時間が比較的短い |
尿を5秒間かけ、3分後に判定結果がわかるスティック状の排卵日検査薬です。
判定までの時間が比較的短いため、長い時間待ちたくない方におすすめです。
排卵検査薬の詳しい使い方や選び方については、こちらの記事で解説しています。
性交渉のタイミング
予測された排卵日の数日前から当日、または翌日にかけて、性交渉を複数回行います。病院ではタイミング療法などと呼ばれています。排卵日前後のタイミングで、性交渉をすることにより精子と卵子が受精する確率を高めます。
精子の子宮内での生存日数や、排卵後の卵子の受精能力には年齢や個人差が大きく関わってくるため、一概にはこのタイミングで性交渉をすると良いとは言えません。
何か気になることがあればかかりつけ医に相談してみましょう。
薬について相談したいことや、心配や不安がある方は、ミナカラ薬局の薬剤師相談をご利用ください。