めんちょう(面疔)とは?
めんちょう(面疔)とは、毛嚢炎の中でも、鼻や口元などの顔の中心にできた、赤く腫れたできもののことをいいます。毛嚢炎とは、毛穴や汗腺に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して生じる赤または白色の吹き出物のことです。
また、めんちょうは、一般的におできとも呼ばれ、強い赤みにはっきりした痛みや熱感を伴うことも特徴として挙げられます。
鼻のてっぺんを押すと痛いのはなぜ?
めんちょうと似た症状のひとつに、ニキビがあります。
顎から鼻のてっぺんにかけてできものができていて、押すと痛い場合、めんちょうやニキビなどの肌トラブルの可能性があります。
めんちょうとニキビの違い
めんちょうとニキビは原因となる細菌に違いがあり、めんちょうは黄色ブドウ球菌など、ニキビはアクネ菌が原因となって発症します。
めんちょうとニキビは、できる場所にも違いがあります。ニキビは、皮脂分泌の多い場所にできやすいですが、めんちょうは顔の中心部にできやすいです。
さらに、めんちょうはニキビを潰したりすることでもなります。ニキビだと思っていた赤いできものが急に硬くなったり、腫れ上がってきたら要注意です。数日様子を見ていても症状が改善する様子もなく、痛みが続く場合には、めんちょうの可能性もあります。
もしも鼻にあるできものがニキビと分かる場合は、アクネ菌に効果のある薬を使いましょう。こちらの記事では、ニキビの種類別に使える市販薬を解説しています。
めんちょう(面疔)には何の薬がいい?
めんちょう(面疔)で病院にかかると、原因となる細菌に対する抗生物質や抗菌剤の飲み薬や塗り薬などが処方されます。
市販の抗生物質・抗菌剤でもめんちょうに効く薬はありますが、塗り薬のみで飲み薬はありません。
めんちょうに使える市販の塗り薬は、ステロイド成分無配合の抗生物質・抗菌剤と、ステロイド成分が入った抗生物質があります。ステロイド成分には炎症をおさえる効果があるため、赤みや腫れなどの症状が強くでている場合は、ステロイド配合の抗生物質を選びましょう。
炎症がそこまで強くない場合や、お子様のめんちょうの場合は、ステロイド無配合の抗生物質・抗菌剤を選ぶとよいでしょう。
ステロイドのランクについて
ステロイド成分は、作用の強さによって5段階にランク分けされており、症状や部位などに応じて適した強さが異なります。
5段階のうち、ストロンゲストとベリーストロングは病院で処方される処方薬のみで、市販薬は、ストロング、ミディアム、ウィークの3段階に限られています。
お子様の顔などの皮膚の薄い部分は、吸収率が高く、思わぬ副作用が出る可能性があるため、ステロイド成分の入った薬は避けるようにしましょう。また、めんちょう以外の皮膚の症状で、お子様の体に使用する際もミディアムもしくはウィークをおすすめします。
めんちょう(面疔)に効く薬|ステロイド無配合の抗生物質・抗菌剤
ステロイドが入っていない抗生物質・抗菌薬を紹介します。
どちらも子どもから大人まで使える薬ですが、それぞれ含まれている成分や剤形によって特徴が異なるため、お好みでお選びください。
オデキュアEX
オデキュアEX 12g【第二類医薬品】
特徴 |
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・抗生物質+腫れを鎮める成分配合 ・クリームタイプ ・膿んで腫れた痛いめんちょうに |
毛穴に侵入・繁殖した雑菌をおさえる抗菌剤スルファジアジンと、腫れを鎮めるジフェンヒドラミンサリチル酸塩を配合した薬です。
膿を出して、腫れをおさえることで、痛みをともなうめんちょうを改善します。
効能効果 |
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化膿性皮膚疾患(とびひ,めんちょう,毛のう炎) |
クロロマイセチン軟膏2%A
クロロマイセチン軟膏2% 15G(第2類医薬品)【第二類医薬品】
特徴 |
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・1種類の抗生物質のみ配合 ・クリームタイプ ・化膿しためんちょうに |
抗生物質クロラムフェニコールのみを配合した商品です。
のびがよく、患部に塗っても目立ちにくいクリーム剤なので、顔などにできためんちょうに適しています。
効能効果 |
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化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
テラマイシン軟膏a
テラマイシン軟膏a 6g【第二類医薬品】
特徴 |
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・2種類の抗生物質のみ配合 ・軟膏タイプ ・しみて痛いめんちょうに |
抗生物質オキシテトラサイクリン塩酸塩とポリミキシンB硫酸塩を配合した薬です。
2種類の抗生物質が、それぞれ異なる菌に効果を発揮することで、すでに化膿してしまっためんちょうを改善します。
皮膚を保護する力が高い軟膏タイプのため、患部が破けて触るとしみるめんちょうに適しています。
効能効果 |
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化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
クロマイN軟膏
クロマイ−N軟膏 6G(第2類医薬品)【第二類医薬品】
特徴 |
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・2種類の抗生物質と抗真菌剤配合 ・軟膏タイプ ・化膿しためんちょうに |
クロラムフェニコールとフラジオマイシン硫酸塩の2つの抗生物質と、抗真菌剤のナイスタチンを配合しています。
患部を保護する軟膏タイプなので、化膿しためんちょうに効果を発揮します。
効能効果 |
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化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
オノフェF
メディケアオノフェF 7G(第2類医薬品)【第二類医薬品】
特徴 |
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・抗菌剤+炎症をしずめる成分+組織の修復を促す成分配合 ・軟膏タイプ ・お子様にも使いやすい |
殺菌作用をもつスルファジアジンと、患部の炎症をしずめる酸化亜鉛、組織の修復を促すアラントインを配合しています。
しみにくい軟膏タイプのため、お子様にも使用しやすい商品です。
効能効果 |
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化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
めんちょう(面疔)に効く薬|ステロイド配合の抗生物質
ステロイド配合の抗生物質は、炎症の程度によってステロイドの強さを選ぶことができます。
ただし顔は皮膚が薄く、薬の吸収率が高いため、広範囲(目安として500円玉を超える程度)には使用しないでください。
ベトネベートN軟膏AS
ベトネベートN軟膏AS 5g【指定第二類医薬品】
特徴 |
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・ステロイド成分+抗生物質配合 ・ステロイドの強さ|ストロング(強い) ・かゆみや赤み・腫れなどの炎症が強くでているときに |
ステロイド成分ベタメタゾン吉草酸エステルと、細菌の発育や増殖をおさえるフラジオマイシン硫酸塩が配合された薬です。
ステロイドの強さは、市販薬でもっとも強いストロングのため、炎症が強くでているときに適しています。
効能効果 |
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◯化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん ◯化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
フルコートf
フルコートf【指定第二類医薬品】
特徴 |
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・ステロイド成分+抗生物質配合 ・ステロイドの強さ|ストロング(強い) ・赤み・腫れなどの炎症が強くでているときに |
ステロイド成分フルオシノロンアセトニドと、細菌の発育や増殖をおさえるフラジオマイシン硫酸塩が配合された薬です。
ステロイドの強さは、市販薬でもっとも強いストロングのため、赤みや腫れが強くでているときに適しています。
効能効果 |
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◯化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん ◯化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
テラ・コートリル軟膏
テラ・コートリル軟膏a 6g【指定第二類医薬品】
特徴 |
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・ステロイド成分+抗生物質配合 ・ステロイドの強さ|ウィーク(弱い) ・赤み・腫れなどの炎症をともなうめんちょうに |
ステロイド成分ヒドロコルチゾンと抗生物質オキシテトラサイクリン塩酸塩を配合した薬です。
ステロイド成分ヒドロコルチゾンの強さは、5段階中最も弱いウィークです。赤み・腫れなどの炎症をともなうめんちょうに適しています。
効能効果 |
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◯化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん ◯化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
クロマイ-P軟膏AS
クロマイ−P軟膏AS 6g【指定第二類医薬品】
特徴 |
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・ステロイド成分+抗生物質配合 ・ステロイドの強さ|ウィーク(弱い) ・赤み・腫れなどの炎症をともなうめんちょうに |
クロラムフェニコールとフラジオマイシン硫酸塩の2つの抗生物質と、ステロイド成分のプレドニゾロンが配合された薬です。患部を保護する軟膏タイプです。
毛穴に侵入・繁殖した雑菌をおさえる抗菌剤スルファジアジンと、腫れを鎮めるジフェンヒドラミンサリチル酸塩を配合した薬です。
膿を出して、腫れをおさえることで、痛みをともなうめんちょうを改善します。
効能効果 |
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◯化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん ◯化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎) |
めんちょう(面疔)の原因
めんちょう(面疔)は、毛穴や汗腺に、皮膚に常在している黄色ブドウ球菌などの細菌が入り込み、炎症が起きることでなります。
黄色ブドウ球菌は、健康な人の皮膚にも存在する常在菌で、通常は感染症を引き起こすことのない菌ですが、傷ができていたり、免疫が低下していたりすると、感染症を引き起こします。
また、ニキビを潰したり、鼻の脂を絞って毛穴を刺激したりすることでも毛穴から細菌が侵入・繁殖し、めんちょうの原因となります。
そのほかにも、スキンケア用品などで過度に保湿・保護し毛穴をふさいでしまったり、免疫を抑制する作用があるステロイド外用薬を長期間使ったり、皮膚が清潔ではなかったりすると、めんちょうの原因となります。
めんちょう(面疔)の治し方
めんちょう(面疔)は、自然治癒することもありますが、経過をみてもよくならない場合は、原因となる細菌に効果をあらわす市販薬でケアすることもできます。
ただし、顔にできたできものがめんちょうかどうか分からない場合や、市販薬が効かない場合は、原因菌に合った治療が必要なため皮膚科を受診してください。
病院での治療方法
病院では、めんちょうができている部分に抗生物質入りの軟膏を塗ったり、抗生物質を内服したりすることで、感染を引き起こしている細菌の活動をおさえます。
症状が進行している場合は、膿を出すために皮膚を切開することもあります。
家でのセルフケア
既にできてしまっためんちょうを早く治すためにも、薬による治療に加えて日常生活でも次のことに気をつけてみてください。
●肌を清潔に保つ
化粧をしたまま寝たり、汗をかいた後そのまま放置したりと、肌を不潔な状態にしているとめんちょうもできやすいため、肌を清潔に保つことが大切です。
ただし、洗顔のしすぎは皮膚の皮脂を減らしすぎてしまうため、1日2回程度で洗顔後の保湿も行ってください。症状がある間は、なるべく低刺激の洗顔料、スキンケア用品を使用することをおすすめします。
●患部を触って刺激しないようにする
痛みがあるとつい気になって触ってしまいますが、治りを早くするためにはなるべく触らないようにしましょう。手についている雑菌が患部についてしまい、より悪化する可能性もあります。
また、痛み・赤み・かゆみなどがある場合は、その部分を覆うようなメイクもなるべく避けた方がいいでしょう。
●規則正しい生活を心がけましょう
めんちょうは、免疫力が弱っていると悪化しやすいため、規則正しい生活を心がけることも大切です。睡眠不足や食生活に栄養の偏りがあるなど、皮膚のバリア機能を低下させる生活習慣に心のあたりのある方は、睡眠と栄養バランスを改善できるように気をつけましょう。