十味敗毒湯はニキビや皮膚炎・湿疹に用いられる漢方薬
十味敗毒湯は、化膿を繰り返すニキビや化膿しているおでき、皮膚炎・湿疹などに用いられます。
十味敗毒湯の効能効果
十味敗毒湯には、膿の排出を助ける作用や、炎症を鎮める作用があります。この2つの働きにより、化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、湿疹・皮膚炎などに効果をあらわします。
効能効果 |
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体力中等度なものの皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿するものの次の諸症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹・皮膚炎、水虫 |
十味敗毒湯は、赤みを伴う皮膚トラブルがある方や、皮膚にかゆみや痛み、化膿がある方に適した漢方薬です。
効果の出方には個人差がある
十味敗毒湯を服用して、実際に効果が現れるまでの具体的な日数には個人差があります。また、十味敗毒湯を服用すると、まれに症状が悪化することがあります。
市販薬の添付文書に記載された日数を過ぎても症状がよくならない、または症状が悪化するような場合は、市販薬の使用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
ニキビには抗菌作用や抗炎症作用のある塗り薬が推奨されている
ニキビに対しては『尋常性痤瘡治療ガイドライン2017』のなかで、抗菌作用や抗炎症作用のある塗り薬や、医療用の飲み薬(抗生物質)が、まずはじめに使用する薬として推奨されています。
また、十味敗毒湯については、抗菌作用や抗炎症作用のある塗り薬が効かなかったときの選択肢のひとつとして推奨されています。
■殺菌作用や抗炎症作用がある塗り薬は、市販でも購入することができる
殺菌作用や抗炎症作用がある塗り薬は、市販でも購入することができるため、ニキビに効く市販薬を探していて、塗り薬を試していない場合は、まずは塗り薬を試してみるのも一つの方法です。
殺菌作用や抗炎症作用がある市販の塗り薬については、以下の記事で紹介しています。
市販で購入できる十味敗毒湯
ツムラ漢方十味敗毒湯エキス顆粒
ツムラ漢方十味敗毒湯エキス顆粒 20包【第二類医薬品】
効能効果 |
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体力中等度なものの皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿するものの次の諸症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹・皮膚炎、水虫 |
ツムラ漢方十味敗毒湯エキス顆粒は、10種類の生薬が配合された顆粒タイプの漢方薬で、化膿を繰り返すニキビや化膿しているおでき、皮膚炎・湿疹などに用いられます。
錠剤は飲み込みにくいという方におすすめです。2歳から服用できます。
ツムラ漢方十味敗毒湯エキス顆粒を、1か月くらい※服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
※化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期に服用する場合には1週間位
十味敗毒湯エキス錠クラシエ
十味敗毒湯エキス錠クラシエ 180錠【第二類医薬品】
効能効果 |
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体力中等度なものの皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿するものの次の諸症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹・皮膚炎、水虫 |
十味敗毒湯エキス錠クラシエは、11種類の生薬が配合された錠剤タイプの漢方薬で、化膿を繰り返すニキビや化膿しているおでき、皮膚炎・湿疹などに用いられます。
漢方薬特有の味やにおいが苦手な方におすすめです。5歳から服用できます。
十味敗毒湯エキス錠クラシエを、1か月くらい※服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
※化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期に服用する場合には1週間位
十味敗毒湯と他の薬は併用してもいい?
十味敗毒湯と他の薬との併用で禁止されている薬はありませんが、十味敗毒湯と他の漢方薬を併用するときには注意が必要です。
複数の漢方薬を服用すると配合されている生薬が重複し、作用が強くですぎたり、副作用を引き起こしたりするおそれがあります。
複数の漢方薬を併用するときは、服用前に医師または薬剤師に相談するようにしましょう。
十味敗毒湯の処方薬と市販薬の違いは?
十味敗毒湯の処方薬と市販薬では、含まれる生薬成分や服用量、効能効果が異なります。
生薬成分の違い
処方薬と市販薬では、配合されている生薬成分に違いがあります。たとえば処方薬であるコタロー十味敗毒湯エキス顆粒と、市販薬であるツムラ漢方十味敗毒湯では、以下のような違いがあります。
■コタロー十味敗毒湯エキス顆粒に含まれる生薬成分
日局サイコ、日局ドクカツ、日局オウヒ、日局ハマボウフウ、日局キキョウ、日局カンゾウ、日局センキュウ、日局ショウキョウ、日局ブクリョウ、日局ケイガイ |
■ツムラ漢方十味敗毒湯
日局キキョウ、日局サイコ、日局センキュウ、日局ブクリョウ、日局ボクソク、日局ドクカツ、日局ボウフウ、日局カンゾウ、日局ケイガイ、日局ショウキョウ |
服用量の違い
処方薬は、医師が患者さんの身体の状態や年齢、体重、症状などに基づいて服用量を適宜調節し処方するのに対し、市販薬では安全性を考慮し、1日の服用量が年齢ごとに決められています。
効能効果の違い
処方薬と市販薬では、添付文書に記載された効能効果が異なります。たとえば処方薬であるツムラ十味敗毒湯エキス顆粒(医療用)と、市販薬であるツムラ漢方十味敗毒湯エキス顆粒では、以下のように効能効果が異なります。
■ツムラ十味敗毒湯エキス顆粒(医療用)
化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、急性湿疹、水虫 |
■ツムラ漢方十味敗毒湯エキス顆粒
体力中等度なものの皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿するものの次の諸症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹・皮膚炎、水虫 |
処方薬と市販薬ならどちらがいい?
処方薬と市販薬ならどちらがいいかについての、明確な区分けはありません。
医師の診断を受けて詳しく検査したい場合は病院を受診する、忙しくてすぐに病院に行けない場合は市販薬を試してみるなど、ご自身の状況に応じて適切な方を選びましょう。
■ニキビの症状緩和のために市販の十味敗毒湯の使用を考えている場合
ニキビは症状の進行具合によって特徴があり、適した薬の成分も異なります。
白ニキビ | ニキビの最初の段階で、毛穴に皮脂が詰まった状態の白~乳白色の発疹 |
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黒ニキビ | 詰まった皮脂が酸化し黒っぽく変色した状態 |
赤ニキビ | 詰まった毛穴の中でアクネ菌が繁殖し炎症をおこした状態で、赤く腫れる |
黄ニキビ | 化膿し、膿がたまった状態。受診推奨 |
白・黒・赤ニキビの場合は、市販の十味敗毒湯で対処可能ですが、黄ニキビの状態まで進行している場合は、ニキビ跡が残るおそれもあるため皮膚科を受診することをおすすめします。
十味敗毒湯と清上防風湯、荊芥連翹湯の違いは?
十味敗毒湯と清上防風湯、荊芥連翹湯では、効能効果と作用が異なります。
十味敗毒湯 |
・化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、湿疹・皮膚炎に効果をあらわす ・膿の排出を助ける作用、炎症を鎮める作用 ・赤みを伴う皮膚トラブルがある方や、皮膚にかゆみや痛み、化膿がある方に |
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清上防風湯 |
・ニキビ、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ)に効果をあらわす ・皮膚の炎症やかゆみ、痛みをを抑える作用、化膿を鎮める作用 ・顔が脂っぽく赤いニキビがある方、顔や頭に化膿している湿疹がある方に |
荊芥連翹湯 |
・ニキビや蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎に効果をあらわす ・炎症を抑える作用、化膿を鎮める作用 ・慢性的にニキビができやすい方、鼻と皮膚が化膿しやすい方に |
十味敗毒湯の効能効果と作用
十味敗毒湯は、化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、湿疹・皮膚炎などに効果をあらわす漢方薬で、膿の排出を助ける作用や、炎症を鎮める作用があります。
十味敗毒湯は、赤みを伴う皮膚トラブルがある方や、皮膚にかゆみや痛み、化膿がある方に適しています。
清上防風湯の効能効果と作用
清上防風湯は、にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ)に効果をあらわす漢方薬で、皮膚の炎症やかゆみ、痛みをを抑える作用や、化膿を鎮める作用があります。
清上防風湯は、顔が脂っぽく赤いニキビがある方、顔や頭に化膿している湿疹がある方に適しています。
■ツムラ漢方清上防風湯エキス顆粒
ツムラ漢方清上防風湯エキス顆粒 20包(第2類医薬品)【第二類医薬品】
効能効果 |
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体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるものの次の諸症:にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ) |
ツムラ漢方清上防風湯エキス顆粒は、顔が脂っぽい方の赤いニキビに効果をあらわします。
荊芥連翹湯の効能効果と作用
荊芥連翹湯は、ニキビや蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎に効果をあらわす漢方薬で、炎症を抑える作用や、化膿を鎮める作用があります。
荊芥連翹湯は、慢性的にニキビができやすい方、鼻と皮膚が化膿しやすい方に適しています。
■ツムラ漢方荊芥連翹湯エキス顆粒
ツムラ漢方荊芥連翹湯エキス顆粒20包【第二類医薬品】
効能効果 |
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体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび |
ツムラ漢方荊芥連翹湯エキス顆粒は、顆粒タイプの漢方薬で、皮膚が化膿しやすい方の慢性的なニキビに効果をあらわします。
錠剤は飲み込みにくいという方におすすめです。
■荊芥連翹湯エキス錠Fクラシエ
荊芥連翹湯エキス錠Fクラシエ 180錠【第二類医薬品】
効能効果 |
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体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび |
荊芥連翹湯エキス錠Fクラシエは、錠剤タイプの漢方薬で、皮膚が化膿しやすい方の慢性的なニキビに効果をあらわします。
漢方薬特有の味やにおいが苦手な方におすすめです。
ニキビ跡になってしまった場合
ニキビ跡になってしまった場合の対処法は、ニキビ跡の症状によって異なります。
クレータのような凸凹したニキビ跡がある場合は、市販薬ではなく、医療機関でのケミカルピーリングやレーザー治療など専門的な治療が必要となります。凸凹したニキビ跡を治療したい場合は医療機関を受診しましょう。
ニキビ跡のなかでも、赤みやしみの症状は、市販されている医薬品や医薬部外品で症状の改善や予防を行うことができます。
赤みやしみの症状に効く市販の医薬品や医薬部外品については、以下の記事で紹介しています。
じんましんや湿疹・皮膚炎によるかゆみには抗ヒスタミン薬が推奨されている
じんましんや湿疹・皮膚炎によるかゆみに効く市販薬には、十味敗毒湯の他に、抗ヒスタミン薬があります。
抗ヒスタミン薬は、漢方薬に比べてかゆみを素早く抑える効果があり、『蕁麻疹診療ガイドライン2018』のなかでも、第2世代の抗ヒスタミン薬が、まずはじめに使用される薬として推奨されています。
そのため、じんましんや湿疹・皮膚炎によるかゆみに効く市販の飲み薬を探しているときは、基本的には抗ヒスタミン薬がおすすめです。
ただし、運転などで眠くなっては困る方や、抗ヒスタミン薬の服用ができない方などは、漢方薬を使用することもできますが、漢方薬は抗ヒスタミン薬に比べて、素早い効果が期待できません。
じんましんや湿疹・皮膚炎によるかゆみに効く市販薬(抗ヒスタミン薬)については、以下の記事で紹介しています。
水虫のケアには抗真菌成分配合の塗り薬の使用が必要
市販薬を使って水虫のケアを行うためには、抗真菌成分が配合された塗り薬を使用する必要があります。抗真菌成分が水虫の原因菌である白癬菌をやっつけることで、水虫に効果をあらわします。
十味敗毒湯の効能効果にも水虫がありますが、十味敗毒湯はあくまでも水虫が原因によるかゆみを抑える漢方薬であり、水虫の原因菌である白癬菌をやっつける効果はありません。
そのため、水虫のケアをしたい方は、漢方薬ではなく、抗真菌成分が配合された塗り薬を選びましょう。
ただし、水虫によるかゆみが強いときは、抗真菌成分が配合された塗り薬に加えて、十味敗毒湯を使用するのも一つの方法です。
抗真菌成分が配合された塗り薬については、以下の記事で紹介しています。